参加台数600台!?『さいたまイタフラミーティング』はイタリア車&フランス車だけでなくイギリス車や国産車でもOKで希少車も多数エントリー!

2024年11月17日(日)に『さいたまイタフラミーティング』が埼玉県吉見町にある吉見総合運動公園で開催された。今回で11回目を数えるこのイベントには、関東一円を中心に新旧さまざまなイタリア車とフランス車が600台以上も集まった。昨年に引き続き、今回はミーティング当日の様子をリポートする。

イタリア車&フランス車600台以上がさいたまに大集結!

2024年11月17日(日)、埼玉県吉見町にて『さいたまイタフラミーティング2024』が開催された。イベントを主催するのはオーナー有志で結成された「さいたまイタフラミーティング実行委員会」で、誰でも気軽に参加できるイタリア車&フランス車のミーティングとして2012年から始まった。その後、エントリーの増加に伴う会場変更や、新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴う自粛などを経て、2022年からは会場を現在の吉見総合運動公園に移して開催している。

筆者がこのイベントをリポートするのは、昨年に続いて二度目となる。前回は長年連れ添っている段付きのジュリアクーペでエントリーしたのだが、忙しさにかまけてしばらく動かしていなかったらバッテリー上がりを起こしてしまい、急遽アシ車のフィアット500PINK!で会場を訪れることにした。

スタッフ駐車エリアに案内された筆者のフィアット500PINK! もう1台の愛車、アルファロメオ・ジュリアクーペはバッテリー上がりにより今回は出動ならず。残念。
2023年の同イベントの様子。

なかなかお目に掛かれないマニアックなクルマの姿も……

午前9時にゲートオープンを迎えると新旧のイタリア車とフランス車が続々と入場してくる。その多くは首都圏ナンバーをつけてはいるが、なかには甲信越や中部、東北からの参加車両もちらほら見かける。

ゲートオープンと同時に続々入場を開始するエントリー車。

このイベントの見所はエントリー車のバリエーションの豊富さにある。その多くがアルファロメオやフィアット、ランチア、シトロエン、プジョー、ルノーなどの日本でも人気の欧州系メーカーなのだが、アルファロメオSZ(ES30)やフィアット・クロマ、アウトビアンキ・ビアンキーナ・パノラミカ(ワゴン)、ルノー・ドーフィンなど日頃なかなかお目にかかれないマニアックな車両の姿もある。

毎回600台以上を集める『さいたまイタフラミーティング』は、規模だけでなくマニアックかつ希少な車両が集まることでも知られるイベントだ。これを目当てに来場するファンも多い。

なかにはシムカやタルボ・マトラ、ダチア(ルーマニアのメーカーだが、現在はルノー傘下にある)などの知る人ぞ知るメーカーの車両もエントリーしていた。

『さいたまイタフラミーティング』の横断幕の向こう側がスワップミート会場。ミニカーやプラモデル、古本、中古パーツなどのほかにイタリア&フランス製の雑貨やアパレル、食器など販売されるものもさまざま。

一応はイタリア車とフランス車を対象としたイベントなのだが、「イタリア車やフランス車が好きな人なら誰でも参加OK」という良い意味で“ゆるさ”があり、イギリス車や国産車でエントリーする人の姿もあった。

同好の士どうしの語らい、スワップミート、楽しみ方は人それぞれ

幸いなことに、この日は天候にも恵まれ、澄み切った青空がどこまでも続く。気温は11月中旬とは思えないほどのポカポカの陽気で、上着を脱いでしまったほどだ。撮影のためカメラのファインダーを覗くと、影の長さに季節が晩秋であることをはじめて実感させられる。

スワップミート会場に併設されるキッチンカーのコーナー。会場周辺は飲食店が少ないのだが、さまざまなグルメがケータリングで楽しめるのでランチに困ることはない。

あくまでもミーティングが主体のイベントなので、ゲストを招いたトークショーやライブのような派手なステージイベントはない。だが、カメラ片手に会場に集まった色とりどりのクルマを見て回るだけで充分楽しい。集まった来場者たちは、同好の士どうしが愛車を話題に交流を深めたり、テーブルやチェアを広げて家族とピクニックをしたり、愛犬連れで参加して散歩をしたりと、楽しみ方は人それぞれだった。

フィアット600ムルティプラ(初代)による移動カフェ。大変な好評ぶりで終日行列ができていた。

また、ミーティングと言えば、エントリーしたクルマを見て回るだけでなく、スワップミートでのお宝探しも魅力のひとつだ。アマチュアのフリーマーケットではミニカーやプラモデル、古本、中古パーツの販売が中心であったが、中にはフランス製の食器やイタリア製の日用品なども販売されており、旦那や彼氏の付き添いで一緒に参加したご婦人方にも好評だったようだ。

スワップミート会場はアマチュアだけでなく、オイルやホイール、サスペンションなどを取り扱うメーカーやプロショップ出店している。ここで筆者は出店していた株式会社ティー・エー・エスで販売していたP.C.D98のイタリア車&フランス車用ホイール「COLLECTIVE-LINE Latte」を思いがけず手に入れることができた。

前々からフィアット500に履かせたいと思っていたホイールなのだが、貧乏文士ゆえに金銭面のやりくりがつかず、購入を先延ばしにしていたのだ。サンタクロースが来るには少し早かったが、そのことを知る一緒に来場したカノジョが「クリスマスプレゼント10年分」として、ありがたいことに買ってくれたのだ。商品は後日発送され、すでに自宅に届いているのだが、なかなか交換作業の時間が取れず未開封のまま放置している(まさに貧乏暇なしを地で行く生活なのダ)。近くフィアット500に装着してリポートするので楽しみに待っていて欲しい。

『交通事故鑑定人環倫一郎』や『ZOMBIEMEN』で知られる漫画家の樹崎聖先生をスワップミートで発見。愛車のアルピーヌで参加されていた。

1日たっぷりとイタリア車とフランス車の魅力を堪能したところで、イベントは豪華プレゼントが用意された恒例のジャンケン大会を経てお開きとなった。恋人連れや家族連れでのエントリーも多いアットホームなイベントなので、イタリア車やフランス車に少しでも興味のある人なら充分楽しめると思うので、ぜひ次回は足を運ばれてみてはいかがだろうか? なお、会場で見つけてとくに気になったクルマは次回以降にあらためて紹介して行くことにする。

さいたまイタフラミーティング』フォトギャラリー【イタリア車編】

スワップミートエリアで出会ったフィアット131アバルトラリー。1970年代にランチア・ストラトスに代えてフィアットグループがWRCに投入したグループ4規定に基づいてアバルトが開発したホモロゲマシンだ。
ミニバンの”はしり”とも言える初代フィアット600ムルティプラ 。6人乗りのマルチパーパスカーだが、1998年に登場した2代目とはメカニズム・レイアウトともに共通性がなく、座席配置は前席2人・中席2人・後席2人乗りの6人乗りとなる。
海外誌のアンケートで「世界で二番目に醜いクルマ」(一番醜いクルマはポンティアック・アズテック)に選ばれた2代目フィアット・ムルティプラ。風変わりなデザインだが不思議と魅力がある。
フィアット・ムルティプラのリヤビュー。前席3人+後席3人掛けシートの6人乗りとなる。鬼面人を威す異形なルックスだが、じつはなかなか良くできた実用車。
ほぼオリジナルの状態をキープしているアルファロメオ1300GTジュニア。ダッシュパネルはフラットではなく「おっぱいメーター」を採用していることから段付きの中では後期型となる。
ジュリアシリーズの後継として1974年に登場したアルファロメオ・アルフェッタ。左側が前期型で右側が後期型。錆に弱い車にもかかわらず2台とも大変美しい状態をキープしている。
アルファスッドのモデルライフ途中で追加されたスプリント。水平対向エンジンを用いた革新的なメカニズムを生かしたFWDライトウェイト・スポーツカー。こちらも最近はなかなかお目にかかれないマシンだ。
1990年代の日本で高い人気を誇ったアルファロメオ155。ブリスターフェンダーを備えたフェイズ2だが、前期型のグリルに換装し、エアロパーツ(リップはユニコルセ製?)やスピードラインホイールで武装したツーリングカー仕様。カッコイイ!
ヌボォーラ・ブルーでペイントされたアルファロメオ166。156に設定されたことで人気となり、徐々にラインナップを増やしていったカラー。オプション代で20万円ほどかかったと記憶している。166でこのカラーは珍しい。
アルファロメオが33ストラダーレ以来、久しぶりにリリースしたミッドシップライトウェイトスポーツカーの4C。ジュリエッタ用の1.8L直列4気筒エンジンを横置きし、シャシーにバスタブ構造のCFRPモノコックを採用したことが特徴だ。
3代目ランチア・デルタ。デルタというとWRCで活躍した初代をイメージする人が多いだろうが、こちらは元来のランチアの路線であったエレガントな高級車として仕立てられた。
6代目マセラティ・クアトロポルテ。後継車を作られないまま昨年ひっそりと生産を終了したが、やはりSUVのレヴァンテにはないエレガントさがこのクルマにはある。さまざまなメーカーが集まる『さいたまイタフラミーティング』だが、マセラティのエントリーは極めて少ない。

さいたまイタフラミーティング』フォトギャラリー【フランス車編】

1954~60年まで製造されていたシトロエン2CVのAZL型。現在、公開45周年記念上映が行われている『ルパン三世 カリオストロの城』でクラリスが逃走時に使用したクルマでもある。
『ルパン三世 カリオストロの城』に登場するクルマについてはこちらの記事で詳細に解説しています。
シトロエン2CVのAZL型のリヤビュー。後期型でトランクフードになる部分までキャンバストップで覆われているところに注目。
シトロエン2CVのAZL型のエンジンルーム 。排気量は後期型より小さな425cc空冷水平対向2気筒OHVエンジンを搭載する。
宇宙船を思わせるデザインのシトロエンDS。デビューから70年が経過した現在でもそのスタイリングは美しく、斬新だ。ハイドロサスの乗り心地は「空飛ぶ絨毯」のごとし……らしい。GSAやBX、C5などを所有してきた筆者だが、いまだDSのステアリングを握ったことはない。1度乗ってみたい車の最右翼。
シトロエンの傑作車のGS。FWD+水平対向エンジンという1960~1970年代の小型車乗り理想的なレイアウトに、シトロエンのお家芸であるハイドロサスを組み合わせた凝りに凝りまくったメカニズムが魅力。乗り心地も最高だ。
1980年代のシトロエンを代表するBX。エンジン横置きFWD&ハイドロサスの恩恵で全長4.2mほどのボディサイズにもかかわらず広いキャビンとラゲッジルームを実現。当時は故障の多いクルマと恐れられたが、なんのことはない。当時のディーラーとメカニックに修理のノウハウと技術がなかっただけの話。現在は専門店による整備方法が確立しているが、今度はパーツの欠品が……。
BXの後継として1993年に登場したシトロエン・エグザンティア。実用性が高く、乗り心地が良く、程よいサイズで使い勝手は大変良いクルマで、1990年代に人気となった。そんな同車も最近ではパーツの欠品が目立ち始めているそうで最近では見かけることが減っている。
昨年もエントリーしていた『きゃんきゃんバニープルミエール』ならぬシトロエンC3プルリエル。探していた右側のコンビランプは見つかったのだろうか? 
ユニークなフロントマスクが特徴の3代目シトロエンC3。2024年をもって日本向けの生産が終了(現在は在庫販売で新車が買えるようだ)した。本国で発表された4代目の導入はいつごろになるのだろうか?
シトロエン2CVと並び、長らくフランス人のアシとして活躍したルノー4(キャトル)。トーションバーサスペンションを採用したことにより左右でホイールベースが異なるユニークな設計が特徴。
4CVの後継として1956年に登場したルノー・ドーフィン。11年間に渡って200万台以上が生産されたルノー製大衆車のベストセラー。1959~1964年にかけてアルファロメオでも一部改良の上ライセンス生産されていた。4CVをライセンス精算していた日野はコンテッサ900の開発時にこのクルマを参考にしたようだ。
1986年に誕生したFWD中型セダンのルノー21(ヴァンテアン)。日本には正規輸入代理店だったJAX(当時)の手で2.2L直列4気筒SOHC+4速ATのTXEと2.0L直列4気筒SOHCターボ+5速MTのTurboが輸入された。ずいぶん前のことだが、某イベントに取材に行く途中、いすゞの技術者が所有する21ターボに高速でぶち抜かれたことがある。抜き返してやろうと当時の愛車・アルファ155のアクセルを全開にしたがまったく歯が立たず。175psというスペックが信じられないほど速いクルマだった。
大人気のルノー ・カングーの2代目中期型。もともとは商用車として開発されたクルマだが、乗り心地が良く、実用性も高く、新車価格も手頃だったことからフランスから遠く離れた極東の島国でもベストセラーとなった。
2017年に誕生した新型A110のスタイリング上のモチーフとなった初代アルピーヌA110。鋼管バックボーンタイプのシャシーにFRPモノコックボディを与えられたスポーツカーで、現行型のミッドシップではなくRRレイアウトを採用していた。エンジンなどのメカニズムはルノー8(ユイット)のものが流用された。
筆者も初めて実写を見たアルピーヌA110GT4。おそらくは初期モデルの1963年型。RRレイアウトのライトウェイト・スポーツカーのA110の4人乗りバージョンで、ホイールベースを延長して広いキャビンを確保した。
アルピーヌA110GT4のリヤビュー。軽量設計はラリーで活躍したベース車のもを踏襲しており、乗車定員は増えても軽快な走りは変わらなかったと言われる。総生産台数は263台という希少車。おそらく国内には数台しか存在しないと思われる。
WRCレプリカのプジョー206マキシ。ライトポッドだけでなくロールケージも装備した本気仕様だ。

さいたまイタフラミーティング』フォトギャラリー【イギリス車&日本車編】

新車もかくやというほどのピカピカのオースチン1300GT。ミニの姉貴分でアレック・イシゴニスが手掛けたBMC ADO16シリーズの1台。このクルマはイギリス製だが、イタリア車&フランス車でなくともエントリーできる懐の深さが『さいたまイタフラミーティング』の良いところだ。
イタリア製のイノチェンティではなく、イギリス製のローバー・ミニ。美しい水色のボディカラーはオールペイントしたものだろうか? MK-Iホイールがバッチリきまっている。
国産車だが非常に珍しい車両なので紹介する。このクルマは1998年から初代ヴィッツが登場するまでのわずか1年足らずの間に販売されたトヨタ・スターレット・リミックスだ。現在、人気のクロスオーバーSUVのはしりとも言え、わずかに車高を上げ、ツートンカラーやルーフレール、背面にスペアタイヤを備えたRV仕様車。とっくに絶滅したかと思っていた希少車に、まさか『さいたまイタフラミーティング』の会場で出会えるとは……。
盾型にヴィスコンティ・ドラゴンのエンブレムが与えられているが、もちろんアルファロメオではない。このクルマは初代オプティのモデルライフ途中で追加されたクラシックだ。1990年代後半のレトロデザインが流行ったときに登場した。アルファロメオを意識したスタイリングの軽自動車は、ほかにセルボ・クラシックがあった。

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…