東急目黒線奥沢駅改良工事(2022年3月14日取材)


奥沢駅3番線に停車中の東急5080系

来年3月、相鉄線羽沢横浜国大駅と東急目黒線日吉駅を結ぶ新線「相鉄・東急新横浜線」が開業します。東急目黒線内では、ホームの8両対応など相鉄線の直通運転に向けた改良工事が進められています。3月12日に実施されたダイヤ改正より、この改良工事の一環として奥沢駅の新上りホーム・通過線の使用が開始されました。今回は改良工事が完成した奥沢駅の各施設について解説します。

▼関連記事
東急目黒線奥沢駅改良工事(2018年~2021年取材)(2021年3月19日作成)

奥沢駅改良工事の概要

通過線着工前の奥沢駅。下りホームが片面、上りホームが島式(3番線は行き止まり)の2面3線となっていた。 目黒寄りの踏切から奥沢駅を見る。右の留置線は目蒲線時代の車両基地を縮小したもの。
左:通過線着工前の奥沢駅。下りホームが片面、上りホームが島式(3番線は行き止まり)の2面3線となっていた。
右:目黒寄りの踏切から奥沢駅を見る。右の留置線は目蒲線時代の車両基地を縮小したもの。2018年12月29日撮影
上:通過線着工前の奥沢駅。下りホームが片面、上りホームが島式(3番線は行き止まり)の2面3線となっていた。
下:目黒寄りの踏切から奥沢駅を見る。右の留置線は目蒲線時代の車両基地を縮小したもの。2018年12月29日撮影

 奥沢駅は、1923(大正12)年の目黒蒲田電鉄目黒~丸子(現在の多摩川線沼部)間の開業と同時に開設されたもので、戦後駅北側では車両基地が新設され、池上線雪が谷検車区とともに目蒲線・池上線の重要拠点として機能してきました。2000(平成12)年の目蒲線の目黒線・多摩川線への系統分離後は、車両の大型・長編成化により池上線との車両融通が不可能になりました。そのため奥沢駅では、検修庫や長さが短い留置線を撤去し、2面3線(内1線は行き止まり)のホームと7本の留置線に規模を縮小しました。

奥沢駅構内レイアウト(着工前)
奥沢駅構内レイアウト(完成後)
奥沢駅改良工事前後の比較図。ホームを8両に延長するとともに3番線とホームの位置を入れ替え、2番線を通過線化する。留置線は本数を削減し、線形を変更して8両対応に延長する。

 来年3月に予定されている相鉄・東急新横浜線開業後は、目黒線および直通先の東京メトロ南北線・都営三田線・埼玉高速鉄道で8両編成の電車が運行されるようになります。これに伴い、奥沢駅を含む各駅のホームを8両編成に対応するよう延長する必要に迫られました。奥沢駅は駅周辺の土地に余裕がないため、目黒線への再編時はひとまず6両に対応するよう設備が作られており、8両への増結にあたっては線路間隔を広げてホームを延長するなど大規模な工事が必要となっています。留置線については7本全てを延長するのが困難であるため、やむを得ず本数を5本に削減※1し、現状の用地内で8両化することとされました。
 一方これとは別に、目黒線内で運転されている急行のスピードアップという課題がありました。目黒線内で急行の追い抜きができるのは、武蔵小山駅1か所しかありませんでした。急行が各駅停車に追いついてしまうことによる速度低下を防止するため、当駅の改良に合わせて上り専用の追い抜き設備を新設することとされました。具体的には行き止まりとなっていた3番線の線路とホームを逆転させ、2番線はホームを撤去して通過線化します。同様の通過線新設は東横線祐天寺駅(後述)等で先例があり、ラッシュ時の上り優等列車のスピードアップに威力を発揮しています。
 また、奥沢駅の日吉寄りにある自由通りの踏切は以前から遮断時間の長さが問題となっていました。今後急行の追い抜きが行われるようになるとさらに遮断時間が長くなることも予想されるため、バイパスルートとして線路上空を横断するエレベーター付きのデッキを新設します。
 奥沢駅改良工事の手順は以下の通りです。

▼脚注
※1:これにより不足する車両留置能力は、東横線元住吉検車区とみなとみらい線元町・中華街駅に新設予定の留置線で代替する計画となっている。ただし、元町・中華街駅の留置線については近年のトンネル工事における事故の多発を受けて用地取得が難航しており、具体的な完成予定時期が不明となっている。


奥沢駅改良工事の手順
奥沢駅改良工事の手順
※クリックで拡大(PNG/147KB)

①着工前
片面ホーム(下り1番線)+島式ホーム(上り2番線+当駅止まり3番線)と留置線7本の構成。

②留置線6~10番線8両化(2018年秋~2020年春)
留置線(6~10番線)を順次使用停止にして本線との接続部分の形状を変更し、8両対応に延長する。

③3番線・留置線4・5番線廃止(2020年春~秋)
3番線と留置線(4・5番線)を廃止し、新上りホームの建設スペースを確保する。

④新上りホーム・横断デッキ建設(2020年秋~2022年春)
3番線・留置線跡地に新3番線(上り待避線)と新上りホームを建設する。また、日吉寄りのホーム端に横断デッキを建設する。

⑤新上りホーム使用開始(2022年3月完成
上り2番線ホームを廃止し、新3番線・横断デッキの使用を開始する。



横断デッキ使用開始(2/26~)

新3番線建設のため仮設化された奥沢駅上りホーム改札口。 8両対応に延長された留置線。元々7両分ほどの長さがあったため、車止めをコンクリートの制走堤に換え、本線との接続分を大回りするよう敷き直し、前後合わせて1両分延長している。
左:新3番線建設のため仮設化された奥沢駅上りホーム改札口。2020年6月27日撮影(同じ場所の2018年12月29日の様子
右:8両対応に延長された留置線。元々7両分ほどの長さがあったため、車止めをコンクリートの制走堤に換え、本線との接続分を大回りするよう敷き直し、前後合わせて1両分延長している。2021年2月19日撮影
上:新3番線建設のため仮設化された奥沢駅上りホーム改札口。2020年6月27日撮影(同じ場所の2018年12月29日の様子
下:8両対応に延長された留置線。元々7両分ほどの長さがあったため、車止めをコンクリートの制走堤に換え、本線との接続分を大回りするよう敷き直し、前後合わせて1両分延長している。2021年2月19日撮影

 奥沢駅の改良工事は2018年春に周辺住民向けの説明会が開催され、同年秋から工事が開始されました。2020年にかけては駅北側にある留置線のうち、改良後も残置される5本を順次使用停止にしながら8両対応へ延長しました。続いて2020年2月以降は行き止まりだった3番線とホーム寄りの留置線2本を廃止するとともに、上りホームの改札口を北側に移設し、跡地に新3番線のホームと線路を建設する工事が開始されました。新3番線と2番線の接続部分は2番線ホームの端に位置していたため、同年末より2番線のホームを目黒方面に3両分仮延長し、停止位置を移動しました。ここまでが昨年の記事で解説済みの内容になります。
 この停止位置移動後は2番線の端が突貫作業で取り壊され、跡地で新3番線ホームに通じる新しい改札口と線路上空を横断するデッキの建設が進められました。横断デッキは今年2月26日(土)より使用が開始されました。

完成した奥沢駅横断デッキ
上り線側は旧改札跡地に階段とエレベーターがある。
下り線側は元からある駅ビルの階段室を改修した。
上り線側の塔屋は留置線が眺められるようガラス張りになっている。
左上:完成した奥沢駅横断デッキ
右上:上り線側は旧改札跡地に階段とエレベーターがある。
右中:下り線側は元からある駅ビルの階段室を改修した。
下:上り線側の塔屋は留置線が眺められるようガラス張りになっている。
上から
1枚目:完成した奥沢駅横断デッキ
2枚目:上り線側は旧改札跡地に階段とエレベーターがある。
3枚目:下り線側は元からある駅ビルの階段室を改修した。
4枚目:上り線側の塔屋は留置線が眺められるようガラス張りになっている。

 横断デッキの上り線側は、旧改札口跡に階段とエスカレーターの塔屋が設置されています。塔屋の上階(デッキ階)の留置線側は巨大なガラス窓になっており、留置線の終端部を眺められるようになっています。今回訪問したのはオープンから1週間程度経った日でしたが、早くもお子様に人気の展望スポットになっており、親子連れが何組も訪れていました。
 一方下り線側は従来からある駅ビルの階段室の壁に穴を開けてデッキに接続しています。駅ビルの2・3階は元々店舗になっており、2階には2022年度上期中にカフェがオープンする予定です。(3階のテナントは未定)

完成したデッキの内部。地上からデッキにいる人の下半身が見えないよう下半分が曇りガラスになっている。
デッキから奥沢駅のホームを見下ろす。
反対側を見る。天候が良ければこの先に富士山が見える。
左:完成したデッキの内部。地上からデッキにいる人の下半身が見えないよう下半分が曇りガラスになっている。
右上:デッキから奥沢駅のホームを見下ろす。
右下:反対側を見る。天候が良ければこの先に富士山が見える。
上:完成したデッキの内部。両側はデッキにいる人の下半身が見えないよう下半分が曇りガラスになっている。
中:デッキから奥沢駅のホームを見下ろす。
下:反対側を見る。天候が良ければこの先に富士山が見える。

 デッキ部分の左右は、地上からデッキにいる人の足元が見えないよう下半分が不透明になったガラスで囲まれています。天井は両端の階段を含め木目調になっており、ラインLEDとダウンライトを組み合わせた電球色の照明になっています。ちなみに、奥沢駅付近の東急目黒線は東北東~西南西方向に線路が敷かれていますが、これを地図上で真っ直ぐ延長していくと富士山に突き当たります。天候の良い日にはデッキから富士山が眺められるかもしれません。

改札口~上りホーム間通路。新3番線の軌道上に仮設の床を設置して2番線ホームへの通路としている。 新3番線用のホームドアは一部を開状態に固定して通路を確保している。
左:改札口~上りホーム間通路。新3番線の軌道上に仮設の床を設置して2番線ホームへの通路としている。
右:新3番線用のホームドアは一部を開状態に固定して通路を確保している。
上:改札口~上りホーム間通路。新3番線の軌道上に仮設の床を設置して2番線ホームへの通路としている。
下:新3番線用のホームドアは一部を開状態に固定して通路を確保している。

 横断デッキの使用が開始された2月末時点で、新3番線の使用開始まで残り2週間となっていたことから、新3番線や新上りホームの施設は大半が完成していました。3月に入ると、改札口と2番線ホームをつなぐ通路の部分にもホームドアが設置され、そのうち2箇所を開扉状態に固定したうえで通路の機能を維持するようになりました。

目黒寄りの歩道橋からホーム端を見る。新3番線は8両対応のため2番線よりも手前まで続いている。
2番線ホームの一部は新3番線の建築限界を侵している。
新3番線を侵している部分のホームは即日撤去できるよう簡易構造になっている。
左:目黒寄りの歩道橋からホーム端を見る。新3番線は8両対応のため2番線よりも手前まで続いている。
右上:2番線ホームの一部は新3番線の建築限界を侵している。
右下:新3番線を侵している部分のホームは即日撤去できるよう簡易構造になっている。
上:目黒寄りの歩道橋からホーム端を見る。新3番線は8両対応のため2番線よりも手前まで続いている。
中:2番線ホームの一部は新3番線の建築限界を侵している。
下:新3番線を侵している部分のホームは即日撤去できるよう簡易構造になっている。

 一方目黒寄りのホーム端は、本線と留置線に挟まれた空間へ新3番線とホームを設置したことから、2番線と新3番線の間に余裕がありません。そのため、使用中の2番線のホームの一部が3番線の走行空間を侵していました。この部分は新3番線の使用開始当日に撤去する必要があるため、数時間でその作業が完了できるようベニヤ板の床やプラスチック製の柵などに置き換えられました。

上り新ホーム3番線使用開始・2番線の通過線化(3/12~)

東急目黒線奥沢駅通過線新設工事完成 - YouTube

 横断デッキ使用開始2週間後の3月12日(土)ダイヤ改正より、新3番線・新上りホームの使用が開始されました。同時に2番線はホームの機能が廃止され、上り線用の通過線化されました。週明け3月14日(月)からの平日ダイヤでは、朝ラッシュ時に1本当駅での急行の追い抜きが実施されています。
 また、東急目黒線・東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道線の各駅で進められていたホームの8両分への延長工事についても完成したことから、4月1日(金)より8両編成の運転が開始されました。さらに、ホームドア製造メーカーでの放火事件※2の影響により遅れていた都営三田線の各駅の8両対応工事も完了したことから、5月14日(土)より三田線内でも8両編成の運転が開始されています。(詳細は別の記事で解説予定)

▼脚注
※2:2021年1月14日未明、都営三田線の更新用ホームドアを製造している京三製作所本社工場(横浜市鶴見区)の複数個所で出火し、工場設備や製品の一部が焼損した。工場の電気設備に異常はないなど発生状況に不審な点があり警察による捜査が行われた結果、社内の備品を盗んで逮捕されていた元警備員の男が関わっている可能性が出てきたことから、7月に建造物侵入と放火の疑いで再逮捕された。

▼参考
横浜・鶴見区の信号システム大手・京三製作所に放火した疑い、当時の警備員を再逮捕「供述は拒否」 | 神奈川新聞社


日吉寄りの踏切から見た奥沢駅の工事完成状況
新3番線上にあった通路が撤去され、ホームが廃止された2番線
目黒寄りの一部が撤去された2番線。新3番線は8両の運転開始前だたっためホーム端の2両分がまだ開放されていない。
左:日吉寄りの踏切から見た奥沢駅の工事完成状況
右上:新3番線上にあった通路が撤去され、ホームが廃止された2番線
右下:目黒寄りの一部が撤去された2番線。新3番線は8両の運転開始前だたっためホーム端の2両分がまだ開放されていない。
上:日吉寄りの踏切から見た奥沢駅の工事完成状況
中:新3番線上にあった通路が撤去され、ホームが廃止された2番線
下:目黒寄りの一部が撤去された2番線。新3番線は8両の運転開始前だたっためホーム端の2両分がまだ開放されていない。

 使用が開始された新上りホーム3番線は、前述の通り上り本線(2番線)と留置線に挟まれた空間に作られました。このため、目黒方面に向かうほど幅が狭くなっており、ホーム端では2mほどしか幅がありません。新上りホームは3月12日の使用開始時点で8両分のほとんどの設備が完成した状態でしたが、作業員の出入りのためホーム端の柵の一部が取り付けられていないことや、8両編成の運転開始まで3週間ほどあったため、目黒寄りの2両分はバリケードで仕切られ入れないようになっていました。
 使用を終了した2番線ホームは、3月11日の終電後に3番線の走行空間に飛び出していた部分を撤去しました。14日の訪問時点ではホームドアも残された状態でしたが、その後順次撤去が進められており、5月中旬現在ではホームの床板のみが残った状態となっています。

上り線の駅手前に新設された進路表示器(上段にある35ドットLED表示器) 新3番線と上り本線の分岐部分は普通分岐器となっている
左:上り線の駅手前に新設された進路表示器(上段にある35ドットLED表示器)
右:新3番線と上り本線の分岐部分は普通分岐器となっている
上:上り線の駅手前に新設された進路表示器(上段にある35ドットLED表示器)
下:新3番線と上り本線の分岐部分は普通分岐器となっている

 上り線が2本に増えたことから、奥沢駅の日吉寄りには運転士に進入番線を伝達するための進路予告器・数字式の進路表示器が設置されました。進路表示器は東急電鉄のATC区間では一般的な5×7ドットのLED表示器です。
 2016年に東横線祐天寺駅の通過線で新設されたポイントは、通過時の騒音・振動低減のためクロッシング部分(レールが交差している部分)の一部が可動式で隙間を埋められるノーズ可動式と呼ばれるものが採用されていました。一方、今回奥沢駅3番線の分岐・合流部分に設置されたのは、クロッシング部分の全てのパーツが固定されている一般的なポイントとなっています。奥沢駅は前後の線形の関係で通過速度が最大でも80km/h程度と遅いため、高価なノーズ可動式分岐器を使うほどの騒音は発生しないと判断されたのでしょう。

2番線・3番線日吉寄りの停止位置は絶縁継目まで2mほどのところに設置されている 東京メトロ9000系と停目・絶縁継目の位置関係
左:2番線・3番線日吉寄りの停止位置は絶縁継目まで2mほどのところに設置されている
右:東京メトロ9000系と停目・絶縁継目の位置関係
上:2番線・3番線日吉寄りの停止位置は絶縁継目まで2mほどのところに設置されている
下:東京メトロ9000系と停目・絶縁継目の位置関係

 今回使用を開始した3番線と通過線化された2番線は、いずれも引き続き目黒方面からの折り返しにも使用可能な信号システムとなっています。3番線の停止位置は6両・8両ともに改札口に近くなるよう日吉寄りのホーム端合わせ、2番線は逆に目黒寄りのホーム端合わせとなっており、TASC用地上子もそれに合わせて設置されています。
 スペースに余裕が無い中で強引に8両対応に延長したため、2・3番線日吉寄りの停車目標はレールの絶縁継目までわずか1mほどという非常にタイトな位置に設置されています。実際は停車目標より少し手前に停車しますが、それでも当路線を走る車両で先頭車の全長が最も長い(20.66m)東京メトロ9000系では、先頭部分から絶縁継目まで2.5mほどしかないというギリギリの位置関係となっています。ATCのORP(過走防護パターン)やTASCにより確実にオーバーランしないことが保証されているからこそなせる業ともいえます。

のるるんも工事完成を祝福

改札窓口では「のるるん」が新上りホーム開通のテープカットをしていた
改札窓口では「のるるん」が新上りホーム開通のテープカットをしていた

 東急電鉄では、東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転開始前年の2012年に、主力車両である5000系列電車をモチーフにしたキャラクターのるるんを発表し、以後東急線の各駅や沿線で開催されるイベントで着ぐるみショーを行っています。また、ぬいぐるみやキーホルダーなどのグッズも多数展開されており、田園都市線宮崎台駅下にある電車とバスの博物館や武蔵小杉駅ホーム上のショップで購入することができます。
 奥沢駅では今回の横断デッキ開設と上り新ホームの使用開始に合わせて下り線の改札窓口にテープカットをするのるるんのぬいぐるみが飾られました。のるるんの前に渡されたテープは、3月12日の新ホーム使用開始時にハサミを入れるという手の込みようです。このように東急線の一部駅では、周辺で開催されるイベントや季節に合わせて背景付きでのるるんのぬいぐるみを飾ったり、服を着せたりするのが風物詩となっています。
 来年3月の相鉄線との直通時にはぜひ相鉄線のキャラクター「そうにゃん」とイベントが開催できることを期待しつつ、新横浜線開業までのラストスパートを調査してまいりたいと思います。

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相鉄新横浜線(羽沢横浜国大~新横浜) - 相鉄都心直通プロジェクト2019・2020(2)(2020年9月15日作成)
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東急目黒線8両化工事(2019年12月~2021年2月取材)(2021年2月26日作成)
東急目黒線奥沢駅改良工事(2018年~2021年取材)(2021年3月19日作成)

▼参考
目黒線の混雑緩和と快適性向上を実現 当社保有車両の8両編成化による輸送力増強と新型車両3020系の導入 - 東急電鉄ニュースリリース(PDF/189KB)
目黒線奥沢駅の新駅舎・連絡デッキの供用を2月26日より開始 ~目黒線利便性向上に向け通過線・新たな上りホームの供用も3月12日より開始します~ - 東急電鉄ニュースリリース

おまけ:祐天寺駅非常用ホームの修正

 2018年に作成した東横線祐天寺駅通過線完成に関する記事で、上りホーム(3番線)に設置された10両編成対応の非常用ホームが不自然な形状になっていることをお伝えしました。この非常用ホームが正規の形に改修されたという情報を得たため、奥沢駅に向かうついでに調査してまいりました。(別途記事を作るほどの量でもないため、この場を借りてレポートします。)

祐天寺駅通過線完成時点での3番線横浜寄り。ホームドアに合わせて10両編成の停止位置を後退させたため、車両が飛び出して停車する範囲に隙間を埋める床板を取り付けている。 同じ場所の2022年3月14日の様子。ホームが正規の幅まで広げられた。
左:祐天寺駅通過線完成時点での3番線横浜寄り。ホームドアに合わせて10両編成の停止位置を後退させたため、車両が飛び出して停車する範囲に隙間を埋める床板を取り付けている。2018年4月7日撮影
右:同じ場所の2022年3月14日の様子。ホームが正規の幅まで広げられた。
上:祐天寺駅通過線完成時点での3番線横浜寄り。ホームドアに合わせて10両編成の停止位置を後退させたため、車両が飛び出して停車する範囲に隙間を埋める床板を取り付けている。2018年4月7日撮影
下:同じ場所の2022年3月14日の様子。ホームが正規の幅まで広げられた。

下りホームから上りホーム横浜寄りの防音壁に取り付けられた床板を見る。 同じ場所の2022年3月14日の様子。背後のアパートを解体してホームを拡幅したことがわかる。
左:下りホームから上りホーム横浜寄りの防音壁に取り付けられた床板を見る。2018年4月7日撮影
右:同じ場所の2022年3月14日の様子。背後のアパートを解体してホームを拡幅したことがわかる。
上:下りホームから上りホーム横浜寄りの防音壁に取り付けられた床板を見る。2018年4月7日撮影
下:同じ場所の2022年3月14日の様子。背後のアパートを解体してホームを拡幅したことがわかる。

 東横線は2013年の東京メトロ副都心線直通開始以後、特急・急行が10両編成、各駅停車が8両編成で運転されています。各駅停車しか止まらない駅では、通常使用する8両分のホームに加えて、運転見合わせ時に10両編成から降車できるよう2両分の非常用ホーム(正式名称「優等列車対応通路」)が設置されています。
 祐天寺駅では当初渋谷寄りに2両分非常用ホームを設置することが計画されており、2016年には実際に工事が行われました。しかし、通過線の工事途上で設置が決まったホームドアは10両編成の停止位置より0.5両分ずれることになりました。このままでは10両編成の停車時にホームドアと車両ドアの位置関係が崩れ、乗降ができなくなってしまいます。そこでやむを得ず完成している非常用ホームの一部を放棄して10両編成の停止位置を横浜寄りに後退させることになりましたが、横浜寄りにはアパートが建っていたことからホームを延長することができませんでした。苦肉の策として、ホームから飛び出して停車する部分に防音壁との隙間を埋める細い床板を取り付けるという不体裁極まりない設計変更を経て通過線の使用開始を迎えました。
 2020年に入り、この無理矢理延長された横浜寄りのホームの背後にあったアパートが取り壊され、ホームを本来必要とされる幅まで広げる工事が開始されました。この工事は2021年の夏頃には完了し、ようやく東横線全ての駅で10両編成でも安全に降車できるようになりました。拡幅されたホームは他の駅で設置された非常用ホームとは異なり、8両編成で乗降に使用している部分と同等の幅が確保されています。
 来年開業予定の相鉄・東急新横浜線は、目黒線だけでなく東横線とも直通運転を実施することが発表されています。相鉄で現在新造が進められている新横浜線の対応車両は、目黒線直通用が8両編成(21000系)、東横線直通用が10両編成(20000系)と分けて造られており、東横線には10両編成が直通することが予想されます。祐天寺駅のホーム改修は、相鉄直通開始に伴う10両編成の増加に備えたものなのかもしれません。

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東急東横線祐天寺駅通過線新設工事(2014年4月5日取材)(2014年4月23日作成)
東急東横線祐天寺駅通過線新設工事(2015・2016年取材)(2016年7月16日作成)
東急東横線祐天寺駅通過線新設工事(2016~2018年取材まとめ)(2018年10月28日作成)
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