いつもメカニカルキーボードをレビューしていますが、YouTubeチャンネルの方で「AnyキーのMod-Tapとかが日本語の入力変換には必須」というコメントがあり、今回記事にまとめてみました。また、当ブログでは上記関連記事のアクセスが多く、やはりUS配列キーボードを使う場合の一番の難点は、この日本語入力の切り替えだと思います。他にも、円マーク(¥)やアンダーバー(_)などの記号周りをカスタマイズしたい場合もあると思います。そんな時、QMK/VIAに対応していれば簡単に設定できます。ただし、各キーボードによっては「SPECIAL」のキー一覧に日本語入力特有のキーがない場合もあるので、キーボードごとに確認する必要があります。
もちろん、QMK/VIAに対応していない場合は、上記関連記事のようにサードパーティのソフトウェアを使うことで、簡単に入力切替が出来るようになります。QMK/VIAに対応しているキーボードは、少し価格も高くなっていますので、対応しているなら設定しないともったいないなと思います。
と言うことで、今回はQMK/VIAに対応している「NuPhy Halo75 V2」を使用してキー配列をカスタマイズしてみます。
本記事に辿りついている方は、既にVIAを使ったことがある方が殆どかもしれませんが、これから使ってみたいとか使い始めたばかりでよくわからない方もいると思いますので、出来る限りわかりやすく解説していきたいと思います。
※本記事はWindows11とMacでの使用方法・設定方法を解説しています。
Mac(USキーボード)での設定例を追加しました。
QMK/VIAとは?
VIA/QMKというのは、どちらもメカニカルキーボードのカスタマイズやキーマッピング変更をするための管理ツールです。VIAとQMKって何が違うの?という疑問もあると思いますので、それぞれ説明します。
QMK (Quantum Mechanical Keyboard)
QMKとは、オープンソースのキーボードファームウェアで、キーボードをかなり細かくカスタマイズできます。かなり多くの機能やコマンドが用意されていて、コードを直接書き換えてファームウェアを再ビルドし、キーボードに書き込む必要があり、コーディングの知識が求められることもあり、少し敷居が高いかもしれないです。その分、柔軟性があり、複雑なマクロやレイヤー、カスタムキーマップなども作成できます。
VIA (Visual Interactive Adjuster)
VIAは、QMKを簡単に操作するためのGUIツールです。GUIというと難しく聞こえますが、普段使っているアプリのようにビジュアルで直感的に操作できるということです。QMKファームウェアがVIA対応になっている場合、VIAアプリを使ってキーマップやレイヤー設定を簡単に変更できます。保存しなくてもリアルタイムで設定が反映されるので非常に便利。PCにインストールするタイプのスタンドアロンアプリもありますが、ブラウザで「https://usevia.app/ 」にアクセスして使用するWebアプリ版があるので、ネット環境さえあればどこでも設定可能です。
また、どちらでもJSONファイルといって、キーボードのレイアウトや対応機能が記載された設定ファイルが必要になります。大抵の場合、メーカーサイトで配布しているか、マニュアルに記載されています。
参考までに、GitHubのQMKキーコードのページリンクを載せておきます。沢山ありすぎて拒絶反応が出る方もいるかもしれませんが、今回使うのはほんの一部だけですので安心してください。
VIAを使って日本語入力切り替え(Windows版)
US配列キーボードでには「無変換」「変換」「半角/全角」など日本語配列特有のキーがなく、「Alt + チルダ(~)」だったり「Shift + Capslock」、「Ctrl + Space」という具合に、同時押しでなければ日本語入力切り替えができません。少しカスタマイズすると「Capslock」短押しで切り替わるようにもできます。しかし、Macのようにスペースバーの両隣キーの短押しで切り替えができると非常に便利なので、VIAを使ってそのように設定してみましょう。
前準備として、Windowsの設定からUS配列(英語)キーボードとして接続しておきましょう。もしくは、「ULE4JIS 」でUS配列キーボードとしてエミュレートしておきましょう。
また、メーカーサイト等で設定したいキーボードのJSONファイルを入手しておきましょう。
キーボードの接続方法
先ほどのusevia.appを開いて「Authorize device」ボタンからキーボードを接続することが出来ます。その前に一旦JSONファイルを読み込ませる必要があるので、以下の手順もしくは動画を参考にしてみてください。
- まずは、JSONファイルを読み込むために「Setting」>「Show Design Tab」をONにしてDesignメニューを表示させます。
- Designタブが表示されたら「Load」ボタンからJSONファイルを読み込みます。
- キーボードをUSB接続して「Authorize device」から接続します。
キーマップの変更方法
キーマップを変更する方法は非常に簡単です。画面左上の「LAYER」から変更したいレイヤーを選択しておきます。そして、変更したいキーを上段のキーボードから選択して、下段に並んでいる対象キーを選択することで変更できます。スクショでは「BASIC」キーだけ表示されていますが、「MEDIA」など他にも様々なキーに変更可能です。
Windows側のキーボード設定の確認
VIAを使って日本語入力切り替えをする前に、まずはUS配列キーボードを使うための設定を確認しましょう。こちらは前提条件になるので一旦確認しておきましょう。
※こちらの事前設定をしていないと、Macと同じように「HAEN(韓/英) or HANJ(漢字)」での設定となります。
上記スクショ①のように、「英語キーボード」になっているか確認します。
もしくは「ULE4JIS 」でUS配列キーボードをエミュレートします。ULE4JISについては、以前の記事をご覧ください。
もう一つ確認しておく部分は、スクショ②のように、無変換・変換キーに「IME-オンとオフ」を割り当てておきます。
こちらの設定は、通常の日本語配列キーボード利用時でも便利なので、私は常にこの設定で使っています。
AnyキーのMOD-TAPを使って日本語入力切り替えを設定
準備が整ったらVIAアプリに切り替え、スペースバー両隣のALTキーに、短押しで「無変換」「変換」キー、長押しで「ALT」が発動するように設定していきます。
- まずは、上段のキーボードの左ALTキーを選択
- 下段キーリストを「SPECIAL」に切り替えて、「Anyキー」を選択
(下記スクショのようにポップアップ表示されます) - ポップアップが表示されるので「MT(MOD_LALT, KC_MHEN)」を入力してConfirm(確認)をクリック
- 右ALTも同様に操作して「MT(MOD_RALT, KC_HENK)」を入力してConfirm(確認)をクリック
これで設定は完了です。とりあえずコピペすればできると思います。
- MT (Mod-Tap) は、短押しと長押しで異なる動作を割り当て
- MOD (Modifier) は、長押し
- KC (Key Code) は、通常キーとして短押し
Halo75 V2のQMKファームウェア対応していませんが、対応するキーボードの場合は「半角/全角」を設定することも出来ます。人によっては、こっちの方が使い慣れているという方もいると思いますので、CTRLキー短押しで「半角/全角」、長押し「CTRL」を割り当てしておきましょう。もちろん、ALTやCapslockに割り当てたいとか、好きなように設定できるので、自由に設定してみましょう。
(※以下手順は左コントロールキーに割り当てた例です)
- まずは、上段のキーボードの左CTRLキーを選択
- 下段キーリスト「SPECIAL」から「Any」を選択
- ポップアップが表示されるので「MT(MOD_LCTL, KC_ZKHK)」を入力してConfirmをクリック
最後に、VIAは保存しなくてもリアルタイムに反映さますので、設定完了したらブラウザを閉じても大丈夫です。また、変更したキー配列は、キーボード本体のメモリに記録されるので、別のPCで使用する場合も再設定の必要はありません。
Mac(USキーボード)での設定例
Macで設定する場合はレイヤー0を使用します。Spaceキー両隣に「LWinとRWin」だったり「LAlt」とあり少し戸惑いますが、Macの場合は「Win=Commandキー」、「Alt=Optionキー」となります。WindowsとMacの両方を設定しようとすると装飾キーがややこしくて混乱してしまいます。
MacのJISキーボードの場合は「英数」「かな」というキーがSpaceキー両隣に存在するので、このキーで入力切替を行います。USキーボードの場合は、この2つのキーがないので、CmdキーにMod-Tapで「英数」「かな」を設定することで入力切替が出来るようになると思ったので色々と試してみたところ、全く上手くいかず…。何かの参考になればと思いますので、メモを残しておきます。
メモ(失敗例)
本来「英数、かな」は「KC_LANG1、KC_LANG2」で設定できると思ったので、長押し Cmd/短押し KC_LANG1というようにMod-Tapで設定してみたところ、ファームウェアが対応していないのかConfirm(確定ボタン)が活性化しませんでした。
他にも、Macのデフォルトで「Control + Space」のコンビネーションで入力切替ができるので、「LCTL(KC_SPACE)」をMod-Tapで設定してみましたが、こちらもNGでした。
こちらのX(Twitter)の投稿ツリーでMod-Tapの話が出ていたので、こちらの内容や他の方のブログも参考に設定してみたところ無事設定できました。要はMacの「英数・かな」にあたるキーコードが非対応なので、「HAEN・HANJ」で代用することで設定可能ということでした。
Space両隣のCmdに、長押し「Command」を設定、短押し「HAEN(韓/英) or HANJ(漢字)」というように設定します。
- まずは、上段のキーボードの左Commandキー(LWin)を選択
- 下段キーリストを「SPECIAL」に切り替えて、「Anyキー」を選択
(下記スクショのようにポップアップ表示されます) - ポップアップが表示されるので「MT(MOD_LGUI,KC_HANJ)」を入力してConfirm(確認)をクリック
- 右Commandキー(RWin)も同様に操作して「MT(MOD_RGUI,KC_HAEN)」を入力してConfirm(確認)をクリック
上記方法で設定したところ、入力切替が動作するようになりました。これで「⌘英かな」や「Karabiner-Elements」で設定しなくても大丈夫です。MacはWindowsと違ってJISキーボードとUSキーボードを認識して共存できるので、設定変更からの再起動だったり「ULE4JIS」のようなソフトウェアも必要ないので便利です。
ちなみに「HAENとかHANJって何?」と思った方もいると思います。
「HAEN」は韓国語入力モードでハングル⇔英語の入力切り替えを行うキーのことです。「HANJ」はHanjaのことで韓国語入力モードでハンジャ(漢字)変換を行うキーです。(日本の漢字は「Kanji」ですが、中国の漢字は「Hanzi」、韓国の漢字は「Hanja」と表記されるらしいです)
Anyキー/Mod-Tapで設定できるキーボード
記事公開当初は、上のMod-Tapでの設定方法までにしていましたが、当ブログのYouTubeチャンネルでレビューしたメカニカルキーボードで「Anyキー/Mod-Tapで日本語切り替え」できるか(要はMod-Tapに対応しているか)を確認してみたので、その結果も掲載しておこうと思い追記しました。そのほか、レビューしていなくても、個人的に所有しているキーボードもいくつか試してみたので、参考までに。
- NuPhy Gem80、Halo75 V2、Air75 V2
- Keychron Q1 Max、V1 Max、K15 Max、K8 Pro
- EPOMAKER Tide75
- AJAZZ AKP846
- DOIO KB16
※各商品リンクからメーカーページもしくはAmazon商品ページにリンクしています。
NuPhyはさすがの安定感。QMK/VIAに対応しているものは全て大丈夫なようです。同シリーズ(Air V2シリーズ、Halo V2シリーズ)も対応しているので、Air60 V2やAir96 V2、Halo96 V2も設定できます。実機は試していませんが、Nos75も設定可能だと思います。
Keychronについては、私が持っているKeychronのキーボードが、全てQMK/VIA対応の機種で、同シリーズ(K Proシリーズなど)でも機種によってQMKのみ対応となっていて、VIAに対応していないものもあります。QMKのみ対応の機種でも「Keychron Launcher」を使って設定可能だと思います…。(試していないので断言は控えます)
Epomakerは、サイズ違いのTide65も設定可能です。Tide75/65は最近アップデートと言うか、キーキャップとキースイッチの選択肢が増えたことで人気が出てきているようです。Epomakerは他にもいくつかVIA対応モデルがあったので試してみました。結果としては、TH80 PRO V2やEK21-X、TH40、MS68は設定不可でした。(設定はできても動作しませんでした)
ちょっと意外だったのが、AJAZZ AKP846です。こちらはディスプレイ付きキーボードで、たぶん無理だろうと思っていましたが、試したところ設定できてしまいました。
DOIO KB16は、KIBU SHOPで販売している左手デバイスです。動画編集用・画像編集用だったり、カスタマイズ前提のデバイスなので、もちろんMod-Tapに対応しています。とは言え、左手デバイスでIMEオン/オフを切り替えることはないですよね。
Anyキー/Mod-Tapで設定できない場合のVIA設定例
Anyキー/Mod-Tapで設定できないキーボードでも、VIA対応していればキーリマップして対応できます。ここではEpomaker TH80 PRO V2 VIAを使用して設定した一例を紹介します。以前の記事で紹介した「alt-ime-ahk 」を使用しなくても対応可能です。
alt-ime-ahkも便利なんですが、新しいOUTLOOKなどを使用している際に、ALTもしくはF10で出てくるショートカットキーチップに反応してしまう事があります。以下の設定では、ALTと無変換・変換を分けて設定しているため、その対策にもなります。デメリットとして、ALT+Tabなどコンビネーションが少し使いづらくなりますので、多少の慣れは必要になると思います。
- スペースバー両隣のALTキーに「無変換」「変換」に変更
- ALTキーがなくなったので、WINキーの位置に「ALTキー」に変更
- Capslockはほとんど使わないので「WINキー」に変更
- Capslockはレイヤー2に設定して、Fn+Shift+Capslockで発動
これで設定完了です。
また、TH80 PRO V2のような75%レイアウトキーボードの場合は、F1~F12も色々と使い道があると思うので、活用の幅が広がると思います。65%、60%レイアウトキーボードは、そもそもキー数が少ないので、Fnキーでレイヤーをうまく使うことになります。
まとめ
少し記事が長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。VIAとかQMKと聞くと難しいように思いますが、意外と簡単に設定できたのではないでしょうか。Mod-Tapを設定できるようになったら、「ちょっと使えるようになった感」があって嬉しいですよね。さらに、レイヤーを使って動画編集用にとか、画像編集用に設定したりと、どんどんキーボードを便利に楽しく活用することが出来るようになっていきます。そうすると、今度は左手デバイスなんかも使ってみたくなってしまいます。私はこの流れで QMK/VIA対応の「DOIO KB16」という左手デバイスを2つ購入して仕事用、自宅用で使い分けてみたりとキリがなく…。
また、最近は磁気式スイッチのラピトリキーボードの話題が多くなっています。もちろん、ゲーミング用途であればラピトリキーボードのほうが確実に良いと思います。先日レビューしたNuPhy Field75 HEは、磁気式スイッチキーボードで尚且つ打鍵感も良く、ゲーミングでも仕事でも使えるキーボードでしたが、メカニカルキーボードには、QMK/VIA対応だったり、タイピング性能(打鍵音・打鍵感)、キースイッチの選択幅、手頃な価格など、メカニカルキーボードならではの良さがあるので、用途に合わせて選択することをオススメします。
NuPhy Halo75 V2
通常価格:¥33,000
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