Vフォー・ヴェンデッタ
【マクノスケ】
清水で見てきました。
事前の触れ込みで「第2次世界大戦後のパラレルワールドのイギリスが舞台」と聞いていたんですが、実際は「第3次世界大戦が勃発してアメリカがイギリスの植民地になっているという設定」で、移住者、異教徒、同性愛者、不治の病人など異端者が排除されるというファシズム国家となったイギリスにVと名乗る仮面をつけた男が現れ、政府の転覆を宣言!
これに関わることになったヒロイン・イヴィー(ナタリー・ポートマン)とVの過去にまつわる話が展開されます。従来のヒーロー物とは、多少異なった形を取りながらも、アクションシーンでは、CGと実際の動きを上手く合成して映像として魅せるという部分でも思いっきりツボでした。
作品中のキーワードとなる「ガイ・フォークス事件」や「岩窟王」「十二夜」「チャイコフスキーの1812」など事前に知っていればもっと楽しめたのになあーと自分の無知さを嘆きました。せめて「巌窟王」の主人公の名前を知っていれば、もっと感動出来たのが悔しい。
ナタリー・ポートマンは、これで「エピソード3」でついた悲劇のヒロインのイメージを払拭(名誉挽回?)したのではないかと思われる程、熱演!途中途中で泣かされる場面あり、最期の盛り上がりでも映画の中の人々と熱くなれるシーンありと、久々に自分の好きなジャンルで手応えありの作品と出逢えて嬉しさ倍増!帰りに「V」のマスク(お面)まで買ってしまいましたー!うちへ帰ってきてつけてみたんですが(*^_^*)、これが、髪型が同じなのもあって、なかなか似てるんですねー。(笑)写真を撮ったらまたアップするので見てやって下さーい。
あ、そうだ!最期に情けない話をひとつ。
事前にジョン・ハート(私的には「ヘルボーイ」のお父さん役をやっていたので注目していたんですが…)が出ているというので楽しみに見に行ったのに、最期のシーンまで気づかない私っていったい…??あれだけ映っていたにもかかわらずです。ホント、情けないなあ。
【マクタロウ】
「君たち、革命の血を絶やしてはいけない」
これは今から10年以上前、私が友人達と小さな焼鳥屋で飲んでいた時、隣の座敷(と言っても3畳ぐらいずつ衝立で仕切られているだけ)から突然乱入してきたお兄さん(70年安保の生き残りと言っていた)の言葉。
この作品を観終わって、最初に浮かんだのが冒頭の言葉だった。今時ちょっと珍しい作品ではないかと思う。
独裁的な政府の打倒を宣言し、次々に要人を暗殺するテロリスト「V」と、彼と係わってしまったために人生が一変してしまう女性イヴィー(ナタリー・ポートマン)。
Vは彼女の中に眠っていた本当の「心」を呼び覚ます(拷問まで加えてしまうところは凄すぎるぞ)のだが、本当に変わったのはVの方だったのではないかと思う。
彼は革命を叫んでいても、実際にやっていたことは「復讐」だった。自分(や多くの人)を実験台にして開発したウィルスにより、現在の地位を築いた政府中枢の人物。彼らを倒すことはイコール政府打倒となるが、目的と結果が逆転していたわけだ。
ところがイヴィーと知り合い、彼女を愛し、人との繋がりを思い出し、彼の目的が純粋な「革命」となったのではなかろうか。
だから列車のスタートはイヴィーに委ね、自らは死を覚悟の上で後始末へと向かったのだろう。(注:1)
イヴィーの「Vは皆であり、私であり、あなたでもある」というセリフには感動する。
はたして今の時代に「革命の血」は流れているのだろうか・・・。
(注:1)
ここまで書いてきて、ふとある人物を思い出す。
「シャー・アズナブル」
彼も復讐のために生き、ニュータイプによる革命を夢想し、最後はやり残した復讐の後始末を行う(最近「ファースト」と呼ばれているガンダム)あたり、かなりかぶっていると思うのだが。
■自由を!永遠に!
[監]ジェームズ・マクティーグ
[製][脚]アンディ・ウォシャウスキー ラリー・ウォシャウスキー
[出]ナタリー・ポートマン ヒューゴ・ウィービング スティーブン・レイ
[制作データ] 2006米/ワーナー
[上映時間] 132分・PG-12
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