杉田水脈氏の「続投」

安田菜津紀・フォトジャーナリスト
安田菜津紀氏=後藤由耶撮影
安田菜津紀氏=後藤由耶撮影

 ※差別の現状をお伝えするために、差別文言を記載している箇所がありますのでご注意ください。

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 「しっかりその内容を受け止めて、今後の政治活動の参考にしてもらいたい」

 なんとも悠長な発言だ。杉田水脈議員の過去の書き込みが札幌法務局によって人権侵犯と認定されたことについての、自民党・安倍派、塩谷立座長のコメントだ。「今後も」ということはつまり、杉田氏は問題なく自民党議員として「続投」ということだ。

 事の経緯はこうだ。2016年に開催された国連女性差別撤廃委員会の後、杉田氏は自身のブログなどに、「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などと投稿していた。

 投稿について、会議に参加していたアイヌの女性が、今年3月、札幌法務局に人権救済を求める申し立てを行った。9月7日付で札幌法務局は、「人権侵犯の事実があった」と認定し、杉田氏にアイヌ文化を学び、発言に注意するよう啓発を行ったという。

 杉田氏によるマイノリティーへ矛先を向けた差別発言は、ここには書ききれないほど指摘されてきた。こうも続くと「またこの人か」と投げ出したくなるが、放置すれば「追認」したことになってしまう。…

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フォトジャーナリスト

 1987年生まれ。認定NPO法人Dialogue for People 副代表。東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。著書に「故郷の味は海を越えて―『難民』として日本に生きる―」(ポプラ社、19年)、「写真で伝える仕事―世界の子どもたちと向き合って―」(日本写真企画、17年)、「君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―」(新潮社、16年)、「それでも、海へ―陸前高田に生きる―」(ポプラ社、16年)など。