Colaboバッシングとジェンダー・バックラッシュ

勝部元気・文筆家・社会事業家
勝部元気氏=小出洋平撮影
勝部元気氏=小出洋平撮影

 家庭などに居場所がなく困難を抱える若い女性を支援する一般社団法人Colabo(コラボ)に対するデマとバッシングが続いている。

 ジェンダー平等やフェミニズムに関する主張への反発と同時に、「彼女たちの主張を受け入れるようになる社会」への反発が背景にある。

わずかな前進に大きな攻撃

 ジェンダーギャップ指数などの指標をみても、ジェンダー平等に関する日本の状況はほとんど変わっていない。

 一方でネットを中心とした横のつながりによって、日本でも「#MeToo」などフェミニズムの動きが見えやすくなった。それに対する反発がバックラッシュ(反動)として出てきている。

 ジェンダー平等が進んだことへの反動だと単純に言うことはとてもできない。課題意識を持つ人やアクションを起こす人が少しずつ増えてきて、わずかながら前進があるなかで、そのわずかな前進に対して非常に大きな攻撃がきている。

 ただ、地球温暖化におけるグレタ・トゥーンベリさんのように、キーパーソンがいて、部分的に進んでいくことがある。

 コラボバッシング問題でも小池百合子東京都知事は今のところコラボに対して否定的な発言はしていない。限定的ではあってもそのことはコラボ側にとっては意味があるだろう。

 小池氏の政治家としての評価は別としても、女性の社会進出が進んだ、有力な女性の政治家が現れるようになったことの結果の一つだとは言える。

「表現の自由」

 バックラッシュの動機としては、米国の反移民運動などでもよく「相対的剥奪感」が指摘される。

 ジェンダー平等社会では女性との対等な関係を構築する能力や偏見なく接することが地位獲得には必須だが、それが苦手な人ほど、男社会で享受している特権を失うことが死活問題なのだろう。

 また、女性蔑視的な表現が批判されることによって、自分の趣味、領域が侵害されるのではないかという危機感を持つ。趣味といっても自分のアイデンティティーに関わると捉えているので、自分自身への攻撃と見なす傾向がある。

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文筆家・社会事業家

 1983年生まれ。早稲田大学社会科学部卒。現代日本社会の構造的ゆがみと、人々の抱える生きづらさの要因や偏見を「言語化」することを得意とした執筆活動を展開。朝日新聞社『論座』などで連載。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。また、ソーシャルアクション支援のプラットフォーム「Social-Activist.com」や、ジェンダー平等社会にふさわしい男性のあり方を普及推進するプロジェクト「#MenWithWomen」を主催。その他、さまざまな社会課題解決を目指す団体のサポートも行っている。所有する資格数は71個。趣味は山登り。登った山の数は約2200座。