学校や保育園でオーガニック(有機)食材を使った給食の提供が広がるよう取り組んでいる。給食は各自治体によって取り組みがさまざまだが、先行的な事例はいくつも出てきている。千葉県いすみ市では、農家に広く協力を呼びかけて買い付けるというやり方で、時間をかけてオーガニック給食を広げた。また、石川県羽咋市では農協も協力している。地域の農家も子どもたちに安全なものを食べさせたいという思いがあるので、こういった取り組みは地域おこしにもつながる。
進む欧米のオーガニック
欧米では今、オーガニック意識がすごく高まっている。米国では特に、農薬会社のモンサント(ドイツ・バイエルが買収)が発売した農薬の発がん性を巡る損害賠償訴訟で、同社が敗訴し賠償を命じられたことなどをきっかけに、農薬の使用を見直す動きが広まる。さらに「マムズ・アクロス・アメリカ」という市民団体が遺伝子組み換え食品の反対運動を展開し、お母さんたちがオーガニック食材を選択し始めることで、遺伝子組み換え食品を避けるスーパーも増えてきた。
ヨーロッパではミツバチに影響があるということで、ネオニコチノイド系農薬の屋外使用を禁じている。
ところが、日本だけが農薬の使用に甘いと思う。その結果、海外からは自国では食べない農薬のかかった作物が日本向けに輸出され、逆に日本の基準で作られた作物は海外では受け入れられないというおかしなことが起きている。
攻める農業も大切かもしれないが、まずは自国民の健康を考えた食の安全を守ることを優先すべきだ。
世界に逆行する日本の農政
2018年4月、米や麦、大豆の安定的供給のため都道府県に種の生産や供給をさせてきた主要農作物種子法(種子法)が廃止された。公的支援がなくなることで、種の高騰が懸念される。また、今国会には種苗法改正案が提出された。シャインマスカットに代表される日本産のブランド種の海外流出を防ぐ目的だ…
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