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「無職でも大丈夫」フランス人が楽観的な理由

竹内真里・フリーライター
ストライキ期間中の夜のシャンゼリゼ=筆者撮影
ストライキ期間中の夜のシャンゼリゼ=筆者撮影

 昨年12月5日に始まった公共交通機関などの大型ストライキの影響で、年の瀬のフランスは全土で大混乱だった。とはいうものの、クリスマスを前に街は巨大なツリーやイルミネーションで輝き、いつも通りの華やかさだった。

 プレゼントを物色する人たちでにぎわうデパートや街中で、働き盛りの年代の男性を見かける。そう、フランスではなぜか、平日の昼間に「仕事で移動中」以外の男性の姿が多い。愛犬をのんびり散歩させる人、ジョギングする人、店で買い物をする人、カフェで何時間もおしゃべりに夢中の男性もいる。

 いったい何をしている人たちなのだろう? 現地の人に尋ねてみると……。

フランスの完全失業率は8.6%

 フランス語の講師は「そうねえ、フランスは若年層の失業者が多いからかしら……」と言う。公務員のフィリップさんは「フランスは働いてないやつが多いんだ。日本では人目を気にするだろう? ここでは利己主義がまかり通っていて、政府の手当で生きていても恥と思わないんだ」と話す。

 警察官のカリムさんはこんな見方だ。「いろいろなかたちの働き方があるからだと思うよ。パートタイムとか、シフト勤務とか、自営業とか、在宅ワーカーもいるでしょう。不労所得者もね。日中ふらふらしていても失業者とは限らない。僕も夜勤担当だからこうして夕方子どもを迎えに行って、同じ警官で日中勤務の妻と交代して仕事に行くんだ」

 失業者という言葉が出てきたの…

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フリーライター

1978年千葉県生まれ。東京で外国人児童の通訳支援員などを経て、2009年からライターとして取材・執筆に従事。香港に4年滞在後、15年から在仏。日本の新聞や海外旅行情報誌に現地情報などの執筆を続けている。現在はリヨン郊外在住。