韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が卒業したソウル市の私立沖岩(チュンアム)高校は9日から、登校時の服装を自由化する。3日夜の「非常戒厳」の宣布は、尹氏や金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相、李祥敏(イ・サンミン)行政安全相ら同校出身者が首謀したと報じられ、同校への苦情が殺到。生徒が制服で見分けられて嫌がらせを受けることなどを防ぐためだ。
韓国紙「朝鮮日報」などによると、同校の校長は6日、保護者らに対し、9日から2月6日の卒業式まで生徒の服装を一時的に自由化するとの案内文を送った。同校は原則として制服の着用を義務付けてきた。自由化の理由を「生徒たちが登下校中に一部の市民から不当な扱いを受けないようにするため」とした。
制服を着ていると同校の生徒だと分かりやすい。ある生徒は韓国紙「中央日報」にこう話した。「道を歩いていて卵を投げつけられた。沖岩高の生徒への非難はやめてほしい」
金氏は同校で尹氏の1学年先輩で、尹氏の側近。戒厳令の宣布を進言し、国会などに突入した戒厳軍を指揮した。警察を統括する李氏は尹氏の4年後輩。戒厳令が出される約4時間前に金氏と通話したと報じられ、計画に関与した疑いが指摘されている。
また、尹氏が主要政治家の逮捕を指示したとされる呂寅兄(ヨ・インヒョン)・前防諜(ぼうちょう)司令官も同校の卒業生。他にも軍や治安機関には同校出身者が多いとされ、「沖岩派」との呼び方もあるほどだ。
同校を運営する学校法人の理事長は5日、SNS(ネット交流サービス)に「(学校に)一日中、抗議の電話が鳴り響いている。(尹氏らを)『恥ずかしい卒業生』に100万回、選びたい」と投稿した。校長は6日の保護者への案内文で、生徒への嫌がらせなどが「ひどい時には学校または警察に連絡してほしい」としている。【ソウル福岡静哉】