地下駐車場の美術作品をどう守る? 大阪府に専門の学芸員不在
毎日新聞
2023/8/16 07:00(最終更新 8/16 12:05)
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大阪府所蔵の美術作品105点が地下駐車場に6年間も置かれた問題で、府は保管場所の変更や活用方法を検討することになった。美術の専門家による「特別チーム」を設置し、展示のあり方を諮るという。
ただ、取材を進めると、約7900点ものコレクションを抱える府に、美術を専門とする学芸員がいないことがわかった。コレクションを誰がどのように守るのか。ハード面だけでなく、人材の不足や責任の所在の曖昧さなどソフト面での不備も見えてきた。
発端は1988年に新美術館の構想ができたものの、府が財政難のため96年に凍結、2001年に白紙撤回したことにある。この間に収集した美術品約7900点は、収蔵されるはずの美術館が造られず行き場を失い、そのうち大型の彫刻など105点は17年から咲洲(さきしま)庁舎地下3階の駐車場に置かれた。吉村洋文知事は7月26日の定例記者会見でも「美術館を建てるようなことはしない」と、府による新設は明確に否定した。
鑑賞だけでない美術館の役割
実は、都道府県立の本格的な美術館が存在しない自治体は極めて珍しい。アート鑑賞という点でいえば、府内には国立国際美術館(大阪市北区)や市立の大阪中之島美術館(同)など他に施設はあるものの、コレクションの保全については問題が残る。博物館法は、法に基づく登録博物館(美術館を含む)には「専門的職員として学芸員を置く」と定めている。学芸員は作品の展示だけでなく、保管や調査研究という重要な役割を担っている。
新美術館計画がなくなった大阪府の現状はどうか。
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