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アベノマスク8億円検品、穴だらけ 不良発覚後の契約、消えた瑕疵担保責任…

検察庁法改正案の今国会成立の見送りに関して記者団に説明するため、マスクを外す安倍晋三首相=首相官邸で2020年5月18日午後6時45分、竹内幹撮影
検察庁法改正案の今国会成立の見送りに関して記者団に説明するため、マスクを外す安倍晋三首相=首相官邸で2020年5月18日午後6時45分、竹内幹撮影

 政府が配布を進める布マスクは、配送費や印刷費などにも多額の税金が投入されている。中でも気になるのが検品費用とされる8億円だ。政府は「当初から予定していた」と説明するが、契約書や関係者の話をたどると、カビなどの不良品が大量に発覚したことから、慌てて検品を依頼した疑いが出てきている。さらに契約条件にも不可解な点が……。【上東麻子、山口朋辰/統合デジタル取材センター】

 政府はこれまで、全戸向けの半分にあたる6500万枚と妊婦・介護施設など向け2000万枚の計8500万枚を8億円かけて、検品している。菅義偉官房長官は15日の記者会見で、「マスク配布事業にあたり、当初から計上した予算の中で対応するもの」と説明。「当初から配布前のマスクの最終チェックを行うことになっており、予算を追加的に投入するものではないと聞いております」と述べた。

問題公表4月18日、契約は23日

 布マスク配布までの流れを確認しよう。メーカーや商社は海外から布マスクを調達、国内に搬送し、妊婦・介護施設など向けは直接、市町村に届け、全戸向けは大日本印刷(本社・東京都新宿区)でのパッキング作業を経て各家庭に届けられている。

 大日本印刷広報部によると4月初旬、政府側から打診され、4月中旬までに作業を始めた。契約した業務内容は、個包装されたマスクを2枚1組にして「3つの密を避けましょう!」と書かれた水色のチラシとともに袋に入れ、指定された郵便局に送ること。「数量の確認をして、作業中に気づけば不良品を避けるが、検査作業としては請け負っていない」という。

 厚生労働省のマスクチームに配られた資料によると、4月16日までに全戸向けにパッキング作業をした200万枚のうち、カビ、虫の混入などの問題事例が約200件あったことが報告されていた。18日には厚労省が、妊婦向けマスクに不良品が相次いでいることを発表した。不良品を出した興和と伊藤忠商事は23日、全戸向けと妊婦用の未配布分の全回収を発表した。

 政府は検品作業を「当初から予定していた」としているが、受注先の宮岡(本社・埼玉県川口市)と契約したのは、厚労省が不良品について発表した後の23日だった。同社幹部は、「契約の数日前に突然、厚労省マスク班から依頼の電話があった」と証言する。依頼された内容は、マスクの表裏…

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