全国100万人超と推計される「ひきこもり」。80代の親が50代の子の面倒を見る「8050問題」も顕在化する中、ひきこもりが長期化する家庭の親子関係に多くみられる、ある「パターン」に着目した山口県宇部市の独自モデルが成果を上げている。その名も「家族心理教育プログラム」。当事者家族らの支援セッションに同席させてもらい、背景を探った。【坂野日向子】
「朝のあいさつはするが会話が成り立たない。私ももう長くないし何とか仕事をしてくれたら」「特定の店には行くが、食料品はメモをもらって私が買い物に行っている」
2019年12月、プログラムを運営するNPO「ふらっとコミュニティ」が拠点を置く市内の一室で開かれたセッション。約10人のひきこもり当事者家族が、机を囲んで近況を語っていた。
NPO理事長で、山口大大学院の山根俊恵教授(精神看護学)は一人一人の話に耳を傾け、助言する。特に心を砕くのは、親子関係の悪化を招く言葉や行動を見逃さないこと。親が子供の代わりに買い物などの用事を済ませてしまう「先回り行動」に対しては「お母さんが買い物すると本人は今困らないが、将来困る。自分で行けない理由はどこにあるのか聞いてみて」といった具合だ。親同士が「その時どう対応したか」「うちの昔の状況と同じだ」などと言葉を交わすこともあり、気持ちや情報を共有する場にもなっている。
なぜ親子関係に着目するのだろうか。山根教授は、ひきこもりが長期化するケースでは親子間のやりとりに一定のパターンがあると説明する。
「仕事や学校をやめた子供に…
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