なぜ iPhone の操作はキビキビしているのか

Coverflow

iPhone のデモを見て印象的なことのひとつは、流れるようなマルチタッチの操作だろう。

Anders Brownworth のとても分かりやすい解説を Carl Howe が取り上げている。

Blackfriars’ Marketing: “More iPhone lessons” by Carl Howe: 19 September 2007

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専用のグラフィックスプロセッサ

ノキアの画面は iPhone に比べはっきり分かるほど遅い。これは iPhone がグラフィックスに特化した専用のプロセッサを持っているためだと思う。例えばカバーフローや住所録のスクロールをしようとすると、iPhone の OS はグラフィックスチップに対してこんな画面やこんなテキストを含む画面があると知らせる。さらに OS は、その画面をディスプレー上のどこに位置させるかグラフィックスチップに伝える。実際に画面を描くのはグラフィックスチップの役目になる。描画専用のハードウェアは描画の速度がずっと早いから、メインプロセッサに負荷をかけることなく非常に反応がキビキビしている感じを与える。

I think the graphics on the Nokia are noticably slower than the iPhone because the iPhone has a dedicated graphics processor. So for example when you want to do coverflow or scrolling of contacts, the OS just tells the graphics chip that there is a surface with this picture or that text on it. Then the OS just tells the graphics chip where to position that pannel and it’s up to the graphics hardware to actually render it. Of course the graphics hardware is much more efficient at rendering things, so it looks extremly responsive without ever burdening the main processor.

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操作が追いつかないときは

グラフィックスのサブシステムが RAM を使い切るまではこれは実にうまくいく。例えばニューヨークタイムズのページを Safari で開いて最下段までスクロールしてみよう。OS がそのページレイアウトをグラフックスチップに伝えて描画する以前にスクロールしてしまうのだ。すると、画面上は市松模様のパターンだけになる。これはコンテンツが描画されなかったときの模様だ。CPU の作業が追いつくとコンテンツが表示される。それでもこの間、インターフェイスが凍り付いたり(freeze)することはない。

This works quite will until the graphics subsystem runs out of RAM. Like, for example, if you load the NYTimes page in Safari and quickly scroll to the bottom before the OS has time to render the layout and send it to the graphics chip. At that moment you end up seeing a checker-board pattern. That’s the pannel without rendered content on it. As soon as the CPU catches up, you see the content, but the interface never “freezes” while that happens.

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OS X だけの優越性

これは革命的なことだといえる。グラフィックスを専用の組み込みハードウェアに処理させる携帯デバイスなんて私が知っている限り存在しない。だからアップルは、市販のすぐ入手できるモバイル OS を買ってくるというわけにはいかなかった。これは当分の間競争力という点で強力な優位性を発揮するものとなるだろう。これは Windows Mobile が考え付ける代物ではなかった。アップルの OS X だけが生まれたその日から備えていたものなのだ。

That’s the revolutionary thing here. No other mobile device that I am aware of offloads graphics processing to specialized hardware. Hence, of course, Apple couldn’t just purchase an off the shelf mobile OS. I think of this as a key competitive advantage for the time being. It’s not something Windows Mobile contemplates yet but it is something Apple has had in OSX from day one.

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Anders Brownworth の上記のコメントを紹介した Carl Howe はつぎのように結んでいる。

音声コミュニケーションのデバイスがハイスピードのグラフィックスプロセッサを必要とするなんて誰が考えただろうか。これこそアップルが、携帯電話マーケットについて「みんなとは違う考え方をして」(Thinking Different)、重要な革新をもたらす見事な例のように私には思える。

After all, who ever imagined that a device designed to facilitate audio communication and playback would need a high-speed graphics processor? To me, this represents a clear example of Apple “Thinking Different” about the mobile phone market and innovating in a significant way.

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技術の優位性についてみんながなんとなく感じていることを、簡潔な文章で分かりやすく説明できる能力はたいしたものだと思う。

すばらしいブロガーのサイトにはすばらしいコメントが集まってくる。

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4件のフィードバック to “なぜ iPhone の操作はキビキビしているのか”

  1. Macとえいちやin楽天広場 Says:

    なぜiPhoneの操作はキビキビしているのか

     こん○○は!!ホイヤーです。本日の更新は 「iPodTouchの表面ガラス板の強度テスト」と「なぜiPhoneの操作はキビキビしているのか」他をご案内いたします。○アンクル・ホイヤーの独りè…

  2. Shinji Says:

    おはようございます(^_^)
    iPhoneじゃないですけど touch には不具合が早速起こっているようですね。
    Winユーザーも流れるようなマルチタッチの操作感を体感したいだろうになぁ(^_^;;

    なにやってんだ?アップル!

  3. sanewo Says:

    ちょっと添削:

    s/グラフィックスを処理して専用のハードウェアにアンロードする/グラフィックス処理を専用ハードウェアで外部処理させる/

    とか?

  4. shiro Says:

    > sanewo さん
    offloads がうまく訳せずに 迷っていました
    ご指摘に従い 「グラフィックスを専用の組み込みハードウェアに処理させる」 としてみましたが・・・

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