こんにちは! 野草フォトクラブ19です。
今回は12月上旬、流山市の旧東葛飾病院裏の江戸川河川敷で見かけた野草の紹介です。
江戸川の土手は春になると一面黄色の菜の花ロードとなります。
でも、春の菜の花だけでなく季節それぞれに野草もたくさん自生しています。
散策のときに、ちょっと足元を覗いてみたら新しい発見があるかもしれませんよ。
見つけた野草たち
季節は晩秋になり、美しく咲く花も少なく、さみしいのですが、マメ科のヤブマメ、ツルマメとクズ、ノブドウ科のノブドウなどの実や種子を見つけてきました。
ヤブマメ(藪豆)
ヤブマメは、道端や荒れ地、藪に生えるマメ科の一年草です。
名前の由来は、林の縁や藪の中に豆のような実をつけることから。
茎はツル性で、他の植物に巻きついて伸びます。
9~10月に先端が淡い紫色をした長靴のような花をつけます【写真2】。
花の長さは1.5~2cmで、2~8個の花が集まって咲きます。
今の時期のヤブマメは、サヤ形の果実をつけ、サヤの中には3~5個の種子が入っています【写真1】。
ツルマメ(蔓豆)
ツルマメは、ヤブマメと同じく道端や野原、荒れ地に生えるマメ科の一年草です。
名前の由来は、ツルになって伸び、ダイズ(大豆)に似ていることから。
ヤブマメと同じようにツル性の茎を他の植物などに絡みつかせて伸びます【写真4】。
花は、ヤブマメより一か月ほど早く8~9月に咲き出します。
花の長さは5~8mmで、3~4個の花が集まって咲きます【写真4、5】。
ツルマメの花はダイズの花にそっくりです【写真5】。
豆のサヤも、大きさこそ小さいもののダイズのサヤにそっくりです【写真3】。
それもそのはず、私たちが知るダイズはこのツルマメを長い年月をかけて改良したものと考えられているのです(大豆の原種)。
それも紀元前数千年の大昔に。
ツルマメの豆は、長さが4~5mmほどの小さなものですが、食べることができます。
日本では縄文時代前期(約7,000~5,500年前)には、すでに食用として利用されていたようです(諸説あり)。
ツルマメから品種改良された栽培種ダイズは、弥生時代に稲作と一緒に朝鮮半島から伝わったと考えられてきました。
しかし、近年の遺伝学的研究等によると、東アジアの複数の地域で栽培化が進み、日本もその起源地の一つであるとする説があります。
ビールの友の枝豆はダイズの未熟な実で、江戸時代から盛んに食されるようになりました。
ちなみにアズキ(小豆)の原種は、同じくマメ科一年草でツル性のヤブツルアズキという野草です。
クズ(葛)
クズは、マメ科のツル性の多年草で、茎に毛が多く触るとざらざらします。
茎は長さ10mほどになり、とても強く手で切るのが大変です。
7~9月に長さ1.5~2cmでビンク~紅桃色の蝶形花を房状に密集してつけます【写真7】。
フジ(藤)の花を逆さにした感じです。
ただ、クズの花は大きな葉に隠れていることが多く、人目につきにくいのです。
今の時期、花は枯れ、サヤ形の果実がみられます【写真6】。
クズの名前の由来は、大和国(奈良県)吉野郡国栖(くず)地方の人がこの根から葛粉(くずこ)を作り、京などで売り歩いたことから。
クズの別名はクズカズラ、秋の七草の1つです。
根を日干しにして乾燥させたものが葛根(かっこん)で、漢方薬の葛根湯や葛湯(くずゆ)の原料になります。
葛根湯は風邪のひき初めに飲むとよく効きますよ。
ノブドウ(野葡萄)
ノブドウは、ノブドウ科のツル性落葉植物で基部は木質化します。
山地、丘陵、野原などに多く生えます。
葉は互生し、普通は幅広の卵形で3中裂します。
葉の付け根の反対側からツル(巻きひげ)が出て、樹などにつかまって伸びます。
ノブドウの巻きひげは全ての節にあります。
一方、似た植物にブドウ科のヤマブドウがあります。
ブドウ科の巻きひげは全ての節にあるわけではなく、2回続けて出て1回休むという面白い特徴があります。
ノブドウは、7~8月に5枚の花弁をもつ直径3~5mmの花を咲かせますが、色が緑で目立ちません【写真10】。
今の時期のノブドウは、直径6~8mmの球形の果実をつけています【写真8,9】。
果実は淡い緑で、熟すと紫色、白色、空色に変わります。
また、ノブドウの特徴の一つに、昆虫の幼虫が寄生して虫えいを作る現象があります。
ノブドウの果実は美味しそうですが、食べられません。
一方、ヤマブドウの果実は食べることができ、ワイン、ジャム、ジュースなどに加工されます。
今回散策した場所
今回散策したのは旧東葛病院付近の江戸川河川敷です。
遠くスカイツリーが見えます。
江戸川河川敷
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この記事を書いたのは…
野草フォトクラブ19
撮影対象を山野草に絞ったちょっとユニークな写真クラブです。 東葛地区で咲く四季折々の花やその花についての楽しい説明など、発信していきたいと思います。