2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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亀山敬司氏:もう1つ別の話をします。年配の友人がいて……おじさんなんだけどね。お酒を飲んだときに、「そういえば亀山さん、FXの会社をやっていますよね。実はぼくもFXで儲けているんですよ」と言うので、「へぇ〜、ウチのお客でも強い人はいるけど、すごいね」みたいな話をしてたんだよね。
それが「自分でやっているのではなく、友人に預けているんです」と言うわけよ。ちょっとうさん臭く感じたんで(笑)、「え、どんな感じなの?」と言ったら、「100万預けていたら、毎月5万円ずつもらえるんです」と。
配当が金利みたいに月5パーセント。「それが毎月、口座にちゃんと入ってくるんです」と。それでいうと、年間通すと100万が160万くらいになるのかな。「だから投資を1000万に増やしたんです」という話だった。
「亀山さんもFX詳しいと思うんですけど、けっこう儲かるんでしょうね」と言われたんだけど、ウチの場合はあくまで商売で、手数料みたいなもの、売りと買いの差額の部分で0.0何パーセントかをもらうから、取引が増えれば基本的に儲かるところはあるわけよ。
でも、一般の人たちがトレードをして勝ったとしても、それがずっと安定して続くかというとそうでもなくて、そんななかで、着実に毎月5パーセント払ってくれるところは変だっていう話だよ。
仮にすごい天才がいたとしても、そもそも自分が確実に勝てる人間だったら自分のカネでやるよ。今まで増やしたお金をどんどん増やせばいいんだからね。
そして足りなくても年に60パーセントも払うくらいなら、銀行でもなんでもいいから年利5パーセントくらいで借りるよ。だから、預かったカネに5パーセントを毎月払うということは、ほぼ不可能というか有り得ないと俺は思っている。普通そう思うよね。
それを彼に言うと「いや、でも毎月ちゃんと貰っているんですよ」と、今は1000万を預けていて毎月50万円もらえているって言うんだ。
だから俺は、「たぶんもうちょっと経ったら、『1000万を複利にしたほうが得です』と言ってくるよ」と。
つまり、「『預けっぱなしにしたら1050万が、また1.05倍になるから得です』みたいなことを言ってくるんじゃないかと思うよ」と言ったら、「え? なんでわかるんですか? ついこの前そう言われたんで、そうしようかと思って」と。
これの仕組みをわかりやすく言うと、俺が彼からカネを預かる事業者だとするよね。彼が俺に100万円を預けたとしたら、彼は毎月金利を貰って、1年間で60万受け取ったわけだ。
彼は俺の手元には自分の預けた元金100万円が残っていると思っているけど、それは見えてないよね。
実は俺は預かった100万のキャッシュのうち60万をその人に渡せばいいから、40万が手元にある。今すべてを解約すると言われたら払うおカネが足りないけど、その人はさらに1000万預けたから、今は1040万が残っているんだ。
その中から毎月50万ずつ払ったとしてもしばらくは保つし、途中から複利にしましょうと言えば、もうおカネは減らないわけだ。
彼の頭の中には、俺の手元に元金があって儲かったと思っているかもしれないけど、収支で言えば、俺は初めから一銭も持たなくて何もやらなくても、お金は残っているでしょう。
つまり、完全に解約されない限り、このお金はグルグルまわるというわけだよ。実はそれがなくても、あるように見えちゃうところが怖いところだね。
このようなことは、意外と昔からある手口で、古い歴史がある。昔話でこういうのがある。どこかの村にお地蔵さんがあって、そこに村人がお饅頭を1個お供えしたんだって。
ところが翌日になったら、お饅頭が2つになっていたらしい。「あれあれ? おかしい」と思いながらそのままにしていたら、そのまた次の日になったら4個になっていた。
これはすごいなと噂が広がって、村の衆が集まってきて、じゃあ俺も置こう、俺も置こうと言って、みんな置いたわけよ。
そしたらやっぱり100個置いた饅頭が、翌日には200個になった。噂は隣村まで広がって、試しに米やら野菜やらいろんな物をお供えしたら、これもすべて翌日には倍になっていた。
そうしたら村のみんなは狂喜乱舞して、家中のものを集めてお供えしたんだ。そして翌日、村人たちが勇んでお地蔵さんの前に行ってみると、そこには何一つ残っていなかったとさ。おしまい。
だから結局、最後は「あれ?」というかたちで終わっちゃうという話なんだよ。なので、その人に似たような話をした上で、とにかく一度「ちょっと入り用ができたから、全額解約したいんだよ」と試しに言ってごらん。「今ならまだ戻る可能性があるから」と言ったら、はい、どうなったでしょうか?
戻ったと思う人、手を挙げて。戻らなかったと思う人は?
(会場挙手)
はい、みんなそう、戻らないと思うよね……それが戻ってきたんだよ。なぜかわかる人、手を挙げて。はいキミ。
参加者:ほかの人からも同じように集めている資金があるので、そこから返した。
亀山:はい。そういうことだね。つまり、お客はその人だけではないから。なぜかというと、その人も俺に話したように、いろいろな人に話をしていたんだよね。もしかしたら、俺もお客になっていたかもしれないわけよ。
もちろんその首謀者もいろんな人に声をかけてるし、その人たちもほかの友人に言っている。悪気なく「こういうわけで、今、俺は儲かっているんだよ」と。結局のところ、見えないところで何百人もお客がいたわけだ。
そんなときに、紹介した友達に、「お金が返ってこない」と騒がれたらどうなる? いっせいに取り付け騒ぎになると思わない? 「解約しろと言ったら返してくれないんだよ」と言われたら。だから、その人はまだ稼ごうと思っていたわけよ。
そこで逃げようと思ったら返さないけど。まだいまは刈り取り真っ最中なわけよ。まだ100人では足りない、1000人まで伸ばすぞと思っているときは、そこは信用を取っていくわけ。
つまり、100人中1人に「返せ」と言われたとする。でも、そのときにはお金は返ってくるわけ。そういう意味で言うと、この詐欺はなかなか発見しにくい。もちろん、「返ってきたよ」と聞いたら、周りの人は安心するよね。「やっぱりあるんだ」と思うじゃない。
でもそれは、100人のうち、たまたま俺みたいな人間に「やめたほうがいい」と言われて解約した100人中の1人なんだよね。
残りの99人が信じている限りは、お金は払ってくれる。つまり、損してもいいと思っているから。その人は無事、1100万戻ったし過去の金利も入ったから、むちゃくちゃおいしかったわけよ。それは詐欺の途中だから、ここが一番おいしい(笑)。
その人は俺の話を信じて、「返ってよかったです。もうやめておきます」ということになったのだけれど。ただ「返ったからもう1回やりますよ」という考え方もできるじゃない。
だって今、みんなは俺の話を聞いて返らないと思ったじゃない。でも返ったら、「いや、亀山さん、疑い深いな。あの人ちゃんと返してくれましたよ。ぼくまた預けますよ。さらに2000万預けますよ」という具合にね。
なので、たまにニュースでなんとか詐欺がありましたとかいう時、何億とか何十億の被害になってない? 1人あたりの投資が100万から1000万とかになり、どんどん周りに広がっていく中で、信用を育てながらどんどん膨れて、最後の最後にぜんぶ飛ぶという話になる。
なぜそうなるかというと、被害者がいないわけよ。つまり、お金を返してくれている限り、被害者がいないから警察も動かない。「返ってこないんですよ」と言われたら警察は動くけど、返ってる間は、警察は「また始まった」と思っていても動けない。
だから、この手の詐欺は、出資法違反みたいなかたちで捜査に入ることがあるの。これは放っておけないというときに別件捜査でいく。詐欺が成立しなくても不特定多数からお金を集めた、出資法違反みたいなことで捜査して、事件が発覚する。そして「帳面上預かっている何十億がない」となったあとで、出資法違反から詐欺に変わるかもしれないけれど。そうなったときに、「え? なにあれ? テレビに出てるの私のファンドじゃない?」みたいなことになって、実態がわかる。いかにこれが発覚しにくくて、だんだん拡がっていくかという話なんだよね。
これも被害者が加害者になる。マルチとは違うけど、被害者の無知が被害者を増やす。「無知は罪だ」ということだね。
マルチも投資も、結局、「そんな甘い話、世の中にはないよ!」ってことかな。でも、なんでこれがなくならないかと言うと、多くの人が、欲はあるんだけど努力したくないということだね。
人にちょっと勧めるだけで、預けるだけで儲かる。よく考えればわかるのに、欲に目がくらむわけ。欲はあるけどないふりをしたい。楽に稼げるおいしい話を信じたくなる。だから欲が消えない限り、このビジネスは定期的に起きるんだよね。ずっと昔から同じことを繰り返してる。
商品が変わるけど、仕組みは基本的に一緒だから。そういった話があるということだけ、理解しておいてもらえたらいいかなと思っています。
これから自分たちも社会の中でいろいろな仕事をしていくと思うけど、「もっと稼ぎたい」と思うことは、別に悪いことじゃないんだよ。
欲は人を動かす原動力だしね。物欲、性欲、名誉欲、そして好奇心とかの知識欲もね。ただ、そのために何に時間をかけるのか、何に投資するのか、ということになる。
マルチや投資とまでは言わなくても副業くらいはしたいと思うかな? どう? そうだよね〜。多いほうがいいもんねぇ。
確かに食ってくためのお金はいるよ。たまには遊びたいしね。でも、今はなるべく勉強しておいたほうがいいというのが俺の考え。
つまり、今いくらかのお金をアルバイトで稼いだとしても、居酒屋とか、あるいはキャバクラとか、いろいろなアルバイトがあるけど、それは今の自分たちの時間を売っていることだと思う。目先の5万、10万稼ぐより、むしろ今は自分に投資をしておくほうが損得で言っても得かな。
投資はなんでもいいよ。スポーツジムに行って身体を鍛えるのも投資だよ。エンジニアだったらプログラミング言語を覚えていくのも1つだし、営業だったらいろいろなニュースを読んだり、「NewsPicks」なんかも1つだし、俺のコメント読んどくのもありだな(笑)。そういったいろんな情報や本を読んだり。
とくにみんなはまだ20代、30代だと思うけれど、今の段階、いろいろなものを吸収できるときに、その時間をなにに使うかというのはけっこう大事。なので、もちろん会社の中でも今からいろいろな仕事があるだろうけど、休み時間とか土日とか家に帰ってからとか、時間をなにに使うだよね。
もちろん楽しいこともいいと思うけど、いまなら体力であろうが知力であろうが、いろいろなものを吸収しやすい。
俺なんかはこの歳になって、いろいろ覚えるのはけっこう大変よ。英語を勉強するのはあきらめているから、外国人を雇ってなんとか仕事をしようとしているけどね。
でも、君たちだったら英語だろうが中国語だろうが、いろいろものを吸収していける。体も、俺が2時間やるより君たちが30分運動をしたほうが筋肉がつくよ。
そのようにいろいろなものを吸収しやすい時期に、時間をなにに使うかということは、アルバイトや、ましてやマルチ商法みたいなことではないかなと思う。てな感じで、俺なりのアドバイスをしておこうかなと思いました。
じゃあ次は、そんなに濃い話じゃなくて、もうちょっと身近でライトな、投資話のインチキを話そうかな。
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