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1年でここまで簡単に!生成AIのプロンプト作成術【AI初心者や再挑戦者におすすめ】|Ledge.ai 年末年始特集「24to25」
:::box 2024年の年末から2025年の年始にかけて公開する参加費無料のLedge.ai 年末年始特集「[24to25]{target=“_blank”}」より、今回は特別にサイト内で掲載している一部コンテンツの全文を公開する。2024年のAI関連の重要トレンドや、2025年以降のAIの展望について知りたい方は、ぜひご一読を。 ::: :::button [特集サイトはこちら]{target=“_blank”} ::: 生成AIが業務ツールとして急速に普及している。ChatGPTをはじめとする生成AIは、文章作成やデータ分析など、さまざまな業務で効率化を実現する可能性を秘めている。その中心にあるのが「プロンプト」だ。本記事では、プロンプトの基本から応用までを解説し、初心者でもAIを活用できるヒントをお届けする。 ## プロンプトとは?AIに伝えるためのルール プロンプトとは、AIに「何をしてほしいか」を伝える“指示書”のようなものだ。指示が明確で具体的であればあるほど、AIから得られる回答の精度は高まる。例えば、ただ『レポートを作成して』と依頼するよりも、『2023年度の売上データをもとに、今後の改善点を3つ提案して』と依頼する方が、より役立つ結果が得られる。 ## コピペで始めるプロンプト活用ー便利なプロンプト集 プロンプトについて基本を知っていても、実際に使う場面で「どんなプロンプトを書けばよいのか」と悩むことは多々ある。そんなときに役立つのが、あらかじめ業務ごとに作成された文例集だ。ここでは、さまざまな業務シーンでそのまま使えるプロンプトを集めた、おすすめのサイトを紹介する。 :::box [Promptia ChatGPTなどで使える文例集]{target=“_blank”} [ChatGPTから高度な回答を引き出すプロンプト文例集]{target=“_blank”} [ChatGPT PROMPT LIBRARY]{target=“_blank”} [ChatGPTのプロンプトテンプレート集|日本語で使える主なプロンプトの型を紹介]{target=“_blank”} [生成AIを使いこなすプロンプト集]{target=“_blank”} [【厳選30個】ChatGPTのプロンプトテンプレート一覧!【ビジネスにも】]{target=“_blank”} [【プロ厳選】ChatGPTの汎用プロンプトテンプレート集19選【コピペOK】]{target=“_blank”} [仕事で使えるChatGPTのプロンプト事例集20選]{target=“_blank”} ::: 今回紹介したサイトを活用すれば、プロンプト作成の第一歩をスムーズに踏み出せるだろう。その中でも「Promptia」は、幅広い業務に応える豊富なプロンプトを取り揃えており、初心者でも使いやすい。マーケティングや分析、文章作成など、さまざまな業務シーンでそのまま使えるプロンプトが掲載されている点が特徴だ。さらに、テーマやタグ、タスクで検索するだけで、目的に合ったプロンプトがすぐに見つかる点も魅力となっている。 ![プロンプト_1.png] :::small 画像の出典:[Promptia]{target=“_blank”} ::: ## 「プロンプトの作り方がわからない!」を解決するメタプロンプトとは? さらに進化した活用法として注目されているのが「メタプロンプト」だ。メタプロンプトとは、AIに「最適なプロンプト」を考えさせる手法で、プロンプト設計の手間を減らす方法である。 メタプロンプトの具体的な発案者の記録はないが、この手法が生まれた背景には「AIをより簡単に使いたい」というニーズがある。AIにプロンプト作成を任せることで、ユーザーの負担を軽減し、タスクの目的に適した指示を作ることができる。 以下は、通常のプロンプトとメタプロンプトの違いを比較する例だ。 通常のプロンプトは「AIに直接何をしてほしいか」を伝えるのに対し、メタプロンプトでは「どのような指示を出せば良いか」をAIに考えさせる。 **例:通常のプロンプト** このデータを要約して、次の会議で使えるポイントを3つ教えてください。 **例:メタプロンプト** 次のような目的に沿ったプロンプトを考えてください。目的: データを要約し、会議で使えるポイントを抽出すること。 ### メタプロンプトの活用シーン **① 自分でプロンプトを作るのが難しい場合** 例として、マーケティングレポートを作成する場合を考えてみる。 まず、「私はマーケティングレポートを作りたいのですが、最適なプロンプトを教えてください。」と、依頼したい内容を端的に入力するだけで良い。 ![プロンプト_2.png] このように、簡単な依頼を送信するだけで、より具体的で効果的なプロンプトを提案してくれる。 生成されたプロンプトを参考にすることで、どの部分をカスタマイズすればさらに具体性が増すのかを理解できる。これにより、複雑なタスクにも対応できるようになる。 ![プロンプト_3.png] **② より良いプロンプトを改善したい場合** 例えば、営業成績を分析して次の施策案を提案したい場合、現在使っているプロンプトが「営業成績を分析し、次の施策案を提案してください。」だとする。このプロンプトをもっと具体的で効果的にする方法を考えさせる。 まず、「現在のプロンプトは『営業成績を分析し、次の施策案を提案してください』です。このプロンプトをもっと具体的で効果的にする方法を教えてください。」と入力する。 ![プロンプト_4.png] すると、次のような改善プロンプトが生成される。 生成された改良案を参考にすることで、より具体的で効果的なプロンプトを得られるだけでなく、自分では気づかなかった視点や表現の工夫を学ぶことができる。 ![プロンプト_5.png] ## 「プロンプトジェネレーター」でさらに簡単にプロンプトを作る プロンプトの重要性と設計の工夫について述べたが、次に注目してほしいのが「プロンプトジェネレーター」だ。「自分でプロンプトを考えるのは難しい」と感じる方もいるだろう。また、業務が忙しく、じっくりプロンプトを作る時間が取れない場合もある。プロンプトジェネレーターを使えば、目的に応じたプロンプトを自動生成でき、初心者でもスムーズにAIを活用できる。今回は、初心者でも比較的使いやすいツールを3つご紹介する。 **MuselyのChatGPTプロンプトジェネレーター** MuselyのChatGPTプロンプトジェネレーターは、ChatGPTを使いやすくするためのツールだ。このツールでは、目的に応じたプロンプトを簡単に生成できるため、初心者にも適している。また、特定のニーズに合わせてプロンプトを調整する機能もあるため、より効果的な指示を作成できる点も特徴だ。 ![プロンプト_6.png] :::small 画像の出典:[Musely]{target=“_blank”} ::: **AI プロンプト ジェネレーター** このツールは、ChatGPTだけでなく、ClaudeやMidjourney、Stable DiffusionなどのさまざまなAIモデルに対応している。プロンプトを自動生成し、さらに最適化することで、より精度の高い結果を得ることが可能だ。複数のAIモデルを使い分けたい場合に便利な選択肢となる。 ![プロンプト_7.png] :::small 画像の出典:[AI Prompt Generator]{target=“_blank”} ::: これらのツールは、用途や目標に応じて選ぶと良いだろう。 プロンプトジェネレーターの中でも特に注目したいのが、OpenAIの公式ツールだ。今回は、OpenAIの公式ツール「Playground」の使い方について詳しく紹介する。 ### OpenAI公式ツール「Playground」を使ってみる **利用料金** プロンプトジェネレーターはOpenAIのAPIを利用するため、無料では利用できない。料金体系は使用するAIモデルによって異なる。 GPT-4の場合 入力トークン(プロンプトの部分): 100万トークンあたり約2.5ドル 出力トークン(AIが生成する回答部分): 100万トークンあたり約10ドル プロンプト例: 「会議の議事録を要約してください」(40文字 = 約100トークン) AIの回答例: 200文字の議事録(約500トークン) 合計トークン数: 約600トークン この場合、GPT-4で約0.018ドル(約2円)となる。 **登録方法** OpenAIのプロンプトジェネレーターを利用するには、以下の手順で登録を行う。 1.OpenAIのアカウントにログイン OpenAIの公式サイトでアカウントを作成し、ログインする。GoogleやMicrosoftのアカウントを使用することも可能。 2.APIセクションを開く ダッシュボード内の「APIキー管理」ページを開く。 ![プロンプト_8.png] 3.Playgroundへのアクセス OpenAIの「Playground」にアクセスし、プロンプトジェネレーターの機能を利用する準備を整える。 ![プロンプト_9.png] **使い方** プロンプトジェネレーターを使えば、目的に応じたプロンプトを簡単に作成できる。以下の手順を参考にしてほしい。 1.Playgroundにアクセス 「Playground」にログインし、ツールバーのキラキラマークを押し、テキスト入力画面を開く。 ![プロンプト_10.png] 2.プロンプトの入力 入力窓に目的のプロンプトを入力、Createボタンをクリックする。 例えば、「商品の特徴をアピールするセールスメールを作成してほしい」といった目的を入力する。 ![プロンプト_11.png] 3.生成されたプロンプトの調整 自動生成されたプロンプトを確認し、必要に応じて微調整を行う。 ![プロンプト_12.png] 4.出力を活用 完成したプロンプトを使い、生成AIから最適な回答を引き出す。 以下が、生成されたプロンプトを使って実際にGPT 4oに指示を出した結果。メールタイトルから本文まで正確に書き出している。 ![プロンプト_13.png] **プロンプトジェネレーターを活用する際の注意点** プロンプトジェネレーターを活用する際は、いくつかの注意点を押さえておく必要がある。1つは、ジェネレーターが作成するプロンプトは万能ではないこと。目的に合わせてカスタマイズすることが必要だ。汎用的で多用途なプロンプトが出力される一方で、細かいニュアンスが欠けている場合もある。自分の用途に合わせたカスタマイズは欠かせないということを覚えておこう。 2つ目は、ジェネレーターに入力する情報には、プライバシーやセキュリティ上のリスクを伴うことがある。一部ツールでは、入力したデータが記録され、学習に利用される場合もあるため、機密性の高い情報を扱う際には注意が必要だ。便利なジェネレーターだが、過度に依存するのではなく、自力でプロンプトを考える力を養いながら効果的に活用してもらいたい。 :::small 参考: [【OpenAI公式】ChatGPTのプロンプトジェネレーターで自動生成!始め方や使い方と料金]{target=“_blank”} ::: :::small [OpenAIがプロンプトジェネレーターを公開!最適なプロンプトを簡単に作成可能 ]{target=“_blank”} ::: ## AIが嘘をつく?ハルシネーションの対策 生成AIを活用する際には、プロンプトの工夫が重要だが、もう一つ注意すべき大きな課題がある。それが「ハルシネーション」と呼ばれる現象だ。AIが誤った情報を生成してしまうこの問題は、業務や意思決定において大きなリスクが伴う。ここからは、ハルシネーションとは何か、その原因と防止策について解説する。 ### なぜハルシネーションが起こるのか? AIがハルシネーションを起こす理由は、その仕組みに由来する。生成AIは、膨大なデータを学習して統計的なパターンに基づき回答を生成する仕組みを持つ。しかし、この過程で「事実とは異なる回答」が生まれることがある。 **1. AIは「知らない」と答えることが苦手** AIは、質問に対して必ず何らかの回答を出力しようとする。そのため、答えがわからない場合でも、推測や不完全な情報を基に回答を生成してしまうことが多い。これが、あたかも正しい答えを知っているかのように見える「幻覚」を引き起こす一因となる。 **2. トレーニングデータの偏り** AIが学習するデータは、膨大なインターネット上の情報や公開されたデータセットが中心となっている。その中には誤情報や未確認の情報が含まれる場合があり、これが回答に影響を与えることがある。特に、情報源が偏っている場合、AIは特定の視点や誤解を反映した回答を生成してしまう可能性が高い。 **3. 曖昧な指示と情報の古さ** 生成AIはプロンプトの文脈を理解して回答を生成するが、プロンプトが曖昧だったり文脈が不明確な場合、誤解を基にした回答が出力されることがある。また、学習データに最新情報や十分な情報が含まれていない場合、不完全なデータを基に誤った回答を生成するリスクが高まる。 ### ハルシネーションとは具体的にどのような現象なのか? [天秤AI]{target=“_blank”}というAI比較サービスを利用して、複数のモデルに同様の質問を投げかけた。 質問: 「渋谷事変というバンドについて教えてください。」(実際にはそのようなバンドは存在しない) ![プロンプト_14.png] すると、あたかもこのバンドが存在するかのような回答をする。実際に存在するのは「東京事変」というバンドだ。しかし、質問した「渋谷事変」を東京事変として紹介したり、全く異なる バンドの情報を回答するモデルも存在した。 ### この現象を防止するにはどうしたら良いか? 事前に「分からないことは分からないって言って。嘘をつかないで事実を教えてください。」と、プロンプトで指示を出してみる。 ![プロンプト_15.png] すると、「申し訳ありません。渋谷事変というバンドについて特定の情報がデータベースに存在しません」や「渋谷事変は実在するバンド名ではありません。芥見下々さんの漫画、呪術廻戦に登場する重要なイベントです。」といった形で分からないことを正直に回答するようになった。 このような指示を与えることで、誤情報を避け、信頼性の高い回答を得ることが可能になる。プロンプトにあらかじめ明確な条件や「嘘をつかない」という方針を含めることで、より安全で正確なものに近づけられる。 しかし、すべてのモデルがこうした正直な回答をするわけではない。画像にもあるように、一部のAIモデルは「渋谷事変」というバンドが実在するかのように回答しているケースもある。この現象は、AIが不確かな情報を自信満々に出力してしまう「ハルシネーション」の典型例であり、要注意だ。 ### 1. ユーザーによる防止策 **・事前に指示を出す** 上記のように、プロンプトで明確に「嘘をつかないで」「事実に基づいて回答して」と伝えることで、AIがハルシネーションを起こしにくくなる。例えば、「不明な場合は『分からない』と回答してください」といった指示を加えるだけでも効果的。 **・生成結果の確認** AIが生成した回答をそのまま鵜呑みにせず、他の情報源や信頼できるデータと照らし合わせて確認することが重要だ。特に専門的な分野では、事実確認を怠らないことがハルシネーションの影響を最小限に抑える鍵となる。 ### 2. 技術的な防止策 ユーザー側の工夫だけではなく、技術的な手法を組み合わせることで、さらに効果的にハルシネーションを防止できる。 **・ファインチューニング** ファインチューニングは、AIモデルを特定の領域やデータセットで再学習させる手法。これにより、AIが信頼性の高い情報を優先して生成するよう調整できる。特定の業界や専門分野での利用を考える際には、ファインチューニングを行うことで、ハルシネーションのリスクを軽減することができる。 **・RAG** RAGは、AIが外部の信頼性の高いデータベースや知識ソースを参照しながら回答を生成する仕組み。この方法では、AIが手元のデータに頼りすぎることなく、最新かつ正確な情報を取り入れることが可能となる。例えば、医学や法律などの分野では、認定されたデータベースを利用することで、誤情報を減らすことができる。 :::small 参考:[【生成AI活用】ハルシネーションへの効果的な対策方法とは?]{target=“_blank”} ::: ## まとめ プロンプト作成は、生成AIを効果的に活用する上で、不可欠な要素だ。プロンプトの設計に工夫を加えたり、プロンプトジェネレーターやメタプロンプトを活用することで、AIの性能を最大限に引き出すことができる。これらの知識を活用し、生成AIを日々の業務やプロジェクトなどで、より有効に活用して欲しい。 ## (参考)プロンプト設計のよくある失敗 最後に代表的なプロンプトの失敗例を挙げておくので、こちらもぜひ参考にしてほしい。 **失敗例 1:指示が曖昧すぎる** プロンプト:「旅行の提案をして」 結果: AIが具体性のない一般的な提案を出す(例: 「旅行先を選ぶときは、気候や予算を考慮してください」)。 改善策:「30代カップル向けに、3泊4日で楽しめる国内の旅行プランを提案してください」と具体的な条件を追加する。 **失敗例 2:情報が不足している** プロンプト:「営業メールを作って」 結果:内容が漠然としたメール文が生成され、使えない。 改善策:「新商品の発売をアピールする営業メールを作成してください。ターゲットは中小企業で、製品の利点はコスト削減です」と条件を詳しく伝える。 **失敗例 3:出力形式を指定していない** プロンプト:「会議の議事録を作成して」 結果: 長文の要約ではなく、箇条書きが欲しかったのに文章形式で出力される。 改善策:「議事録を作成してください。出力形式は箇条書きでお願いします」と形式を指定する。 ## おわりに Ledge.ai年末年始特集では、読者に向けて、2024年のAI関連の重要トレンドを振り返り、また2025年以降のAIの展望について発信している。新しい年へ動き出すための情報が詰まっているので、ぜひ以下ボタンより特集サイトをご覧いただきたい。 **【コンテンツ情報】** ■ 特別インタビュー 東京都知事選で一躍有名になった安野 貴博氏や、東京大学 松尾研究所で世界モデルの研究を行う鈴木 雅大特任助教授など。無料登録を行うと、これらすべての記事を閲覧できるようになる。 ■ Ledge.ai 編集長 書き下ろし「2024年のAIと2025年の展望」 ■ 2024年のAIニュース総ざらい ■ カテゴリ別注目記事 :::button [Ledge.ai年末年始特集サイトはこちら]{target=“_blank”} :::