京都府八幡市の石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)は、男山の山上に鎮座しています。
その山上には駐車場があり、近くには大きなクスノキが植えられています。
大楠を植えたのは楠木正成と伝えられており、クスノキの下には、人の背ほどの石碑が立っています。
きっと楠木正成の名言が刻まれているのだろうと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。
石碑に刻まれているのは、尺八の都山流(とざんりゅう)と関係のある言葉でした。
石清水八幡宮を崇敬していた中尾都山
尺八都山流の流祖は中尾都山(なかおとざん)です。
中尾都山は、明治9年(1876年)10月5日に現在の大阪府枚方市に生まれました。
枚方市は、大阪府ではありますが、八幡市の隣にあるので、石清水八幡宮からそれほど遠いわけではありません。
中尾都山は、明治29年に都山流を創始し、これまで口伝によって伝えられていた地歌、箏曲などを楽譜におこしたそうです。
また、大正時代には、宮城道雄らと共に巡回演奏を行うなど、新箏曲や新日本音楽の普及に貢献しました。
中尾都山については、都山流の公式ホームページで紹介されていますので、さらに深く知りたい方は、ご覧になってください。
下の写真に写っているのが、山上駐車場付近にある大楠です。

大楠
写真だと、それほど大きく見えませんが、実物は大迫力で、見上げていると飲み込まれてしまうのではないかというほどの威圧感がありますね。
その大楠の下に立っているのが、中尾都山の頌徳碑です。

中尾都山の頌徳碑
今まで、何の石碑がわからなかったのですが、説明書の立札が最近設置されたことで、尺八都山流と関係のある石碑であることを知りました。
説明書によると、中尾都山は、幼少の頃より石清水八幡宮を守護神として篤く崇敬しており、邸宅には当宮の分霊を祀って、神前で免状授与式を行うのを恒例としていたとか。
この石碑は、中尾都山の偉大な業績をたたえて、流祖七回忌記念事業として昭和37年(1962年)7月9日に都山流の有志によって建立されたものです。
石碑に刻まれている「萬象盡蔵一管中」は、「萬象をことごとく一管中におさむ」と読み、都山流門人の究極の目標だそうです。

萬象盡蔵一管中
中尾都山の頌徳碑を大楠の下に建立した理由は知りません。
でも、この場所は、とても静かで、どこからともなく尺八の音色が聞こえてきそうな、そんな雰囲気が漂っています。
石清水八幡宮に参拝した時には、ついでに大楠の下にある中尾都山の頌徳碑もご覧になってはいかがでしょうか。
なお、石清水八幡宮の詳細については以下のページを参考にしてみてください。