図表でみる世界の年金OECD/G20インディケータ(2019年版) 2021年11月12日初版第1刷発行を読みました。
他国の状況を知りたい目的で購入しましたので第10章「図表でみる世界の年金2019:国別プロフィール」から国別で紹介しています。全44か国あります。
前回の記事はこちら →
図表でみる世界の年金 2019年版【第10章38/44】エストニア39か国目はラトビアです。
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■ラトビア p335-338
65歳超人口が現役世代人口の46.2%に達する日本の公的年金給付費 対GDP比は10.2%。
65歳超人口が現役世代人口の35.5%のラトビアは公的年金給付費 対GDP比は7.0%。
平均寿命は日本(84.0歳)より約9年短い74.9歳です。
合わせて書いておきます。人口は約188万人ということです。
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受給要件15年以上の保険料拠出期間があり、63歳3ヶ月に達すれば受給可能。
受給開始年齢は2014年1月から毎年3ヶ月ずつ引き上げられ、2025年1月からは65歳に。保険料拠出期間も2025年には20年間となる。
年金額の算定方法・所得比例制度
概念上の個人別勘定。
年金額は賃金額の変動率に応じて付利された掛金=「概念上の年金資産」を、男女共通の生命表を用いて受給開始時の平均余命を用いて毎年算定される「G値」で除したもの。
物価変動率に実質賃金総額の伸び率の75%分を上乗せした率で改定。
2018年10月から新しい改定の仕組みとして、保険料拠出期間40年以上1.7020、同30年~39年1.0655、同29年以下1.0590が適用。2018年における改定後の年金額の上限は382ユーロ(1ユーロ=130円として)=約5万円であり、賃金額の50%相当額に設定。
概念上の個人別勘定への保険料率は2016年に14%。拠出建ての掛金との合計は所得の20%。
私の苦手な説明方法です。全然具体的なイメージを持てません。これがこの本の難しいところです(すみません、私が単に不勉強なだけです…
・特定階層向け制度
2018年は月額64.03ユーロ=約8300円=約10万円/年。
就労期間により倍数があり、20年未満1.1、20年超30年未満1.3、30年以上40年以下1.5、41年以上1.7。
なお、参考までに平均的労働者の所得額は11881ユーロ=約154万円です。
・拠出建て制度
2018年の掛金率は6%。
受給開始時には2つの受け取り方を選べる。
1.積立金の残額を概念上の年金試算に上乗せし、G値に応じて給付を受ける
2.生命保険会社より終身年金を購入
勝手なイメージですけれど、2は目先の額が大きく、1は改定率などにより長生きして経済状態が良ければ2より大きくなるという印象を持ちました。
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キャリアの変動への対応・早期受給開始の場合
被保険者期間30年以上ある場合、2年前から可能。減額率の記載なし。
・受給開始を遅らせる場合
可能で増額ありと書かれていますが、年数や率は記載なし。
・育児(休業)の場合
1歳半までの子を養育している者は国が社会保険料を負担。
・失業の場合
国が社会保険料を負担。この間の年金クレジットは失業保険給付の額に基づいて付与。
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個人所得税と社会保険料・年金所得への課税
2018年から累進課税が実施。年収2万ユーロ=約260万円まで20%、それを超えて5.5万ユーロ=約715万円未満には23%、5.5万ユーロ=約715万円以上には31.4%。
上限額以上の年金給付には20%課税。
年収が低くても20%です。なお、日本は5%です。
・年金受給者への課税
年3000ユーロ=約39万円以上に課税。
かなり低い額から課税となる基準です。
・年金受給者に賦課される社会保険料
社会保険料率は30.87%(被用者9.56%・事業主21.31%)
老齢年金を受給できる年齢に達した被用者は、年金保険、労働疾病保険、出産・傷病保険、両親保険を負担するが、障害保険、失業保険は負担しない。
就労していない年金受給者には社会保険料の賦課がない。
両親保険って何なのでしょう。
就労していない年金受給者は出産・傷病保険(日本でいうところの公的医療保険の一部?)も負担しないのですね。
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年金制度モデル化の結果:ラトビア・2061年に65歳から受給開始
フィンランド・ハンガリー・ポーランド・ポルトガルに似ています。低所得も高所得も所得代替率は同じです。老齢年金での再分配機能は無いものと考えられます。
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次回、
図表でみる世界の年金2019【第10章40/44】リトアニアです。
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