業務用エアコンと家庭用エアコンの違いとは?電気代や性能を徹底解説!
2020年7月9日 更新店舗やオフィスで必要不可欠なエアコン。店舗や大型施設では、快適に仕事をこなし、お客様に不快な思いをさせないためにも、業務用エアコンの導入は必須でしょう。業務用エアコンは長持ちするとはいえ、やはり買い替え時はやってきます。業務用エアコンがどのようなものであるかピンとこない方もいらっしゃるのでしょう。
また、エアコンには業務用と家庭用があります。家のリビングと同じくらいの広さであれば、わざわざ業務用エアコンにしなくても家庭用エアコンでも良い気がするでしょう。ここでは、業務用エアコンと家庭用エアコンの違いについて詳しく解説します。業務用エアコンと家庭用エアコンの仕組みの違いや性能や電気代の比較まで理解した上で購入を検討してください。
目次
1 業務用エアコンと家庭用エアコンの違いは8つ
業務用エアコンと家庭用エアコンの違いは、冷暖房能力、電源、電圧、契約料金プラン、工事内容、電気代、室外機と室内機の組み合わせ、外見の8つです。業務用エアコンと家庭用エアコンの違いは、簡単にまとめると「能力の差」です。業務用エアコンは、家庭用エアコンと比較すると全てにおいて能力が高い性質を持っています。業務用エアコンは高い能力を兼ねているためオフィスや飲食店など、家庭用エアコンで対応しきれない場所で活躍します。
業務用エアコンと家庭用エアコンの能力の差を中心に違いについて詳しく紹介しましょう。
1.1 最も大きな違いは冷暖房能力
業務用エアコンと家庭用エアコンの最も大きな違いは冷暖房能力です。業務用エアコンは広い場所や人の出入りが激しい場所での使用が想定されているため、家庭用エアコンよりも能力が高くなります。
コンビニ・スーパーなどは、出入り口の自動ドアが大きく開きますが、業務用エアコンにより冷暖房がしっかりと効いています。業務用エアコンは、天井が高い飲食店やホテルのエントランスなど、広い空間でもしっかりと冷暖房が効く設計です。人の出入りが多い店舗は、能力がより高い冷暖房能力が求められ、オフィスのように熱が出るOA機器が多くある場所も高い能力が必要です。
エアコンを能力で区別すると、家庭用エアコンは最も能力が小さいエアコンともいえるでしょう。次に能力が高いエアコンは、オフィスや店舗で使うものです。最も大きな能力のあるエアコンは、大きなビルや商業施設などで使う業務用エアコンです。業務用エアコンの冷暖房能力は、家庭用エアコンと比較すると驚くほど高い能力を備えています。
1.2 電源の違い
業務用エアコンと家庭用エアコンは電源も違いがあります。一般家庭で使われる電源は「単相」という種類で、比較的少ない電力を送るための仕組みです。家庭用エアコンには、主に「単相100V」が使われていました。ただ、近年の家庭用エアコンには、大きな電力が必要な物もあります。現在、どの家庭でも基本的に「単相100V」と「単相200V」が使えるようになりました。
業務用エアコンの電源は、大きな電力が必要です。家庭用エアコンとは異なり「三相」という仕組みが用いられています。三相200Vは、大きな電力でも対応できる電源です。
業務用の電源は「三相200V」と解説しましたが、選択肢として「単相200V」も念頭においてください。電力の使用状況によっては、単相200Vを利用したほうが良い場合もあります。必ずしも業務用の電源である三相200Vを選ばなければならないという訳ではありません。
1.3 電圧の種類
業務用エアコンは「◯馬力」や「P◯形」と表示され、家庭用エアコンは「◯kW」と表示され電圧の種類も異なります。
家庭用エアコンを探すために「ルームエアコン」で検索すると、能力は「◯kW」という表記が一般的です。「◯kW」の数値を見て、消費電力を考えながら家庭用エアコンを選ぶという人が多いでしょう。
業務用エアコンの場合は、「◯馬力」や「P◯形」などと表記されます。例えば、P40形という業務用エアコンは、馬力にすると1.5馬力です。業務用エアコンは、馬力を考えて購入を検討しましょう。
業務用エアコンと家庭用エアコンでは能力の表記に違いがあるため、能力の比較が簡単ではありません。科学的な観点で単位を換算すると「1馬力=0.75kW」です。ですが、エアコンの能力は「1馬力は約2.8kW相当」とされているため、混乱することもあるでしょう。
業務用エアコンと家庭用エアコンの能力を比較する場合は、業務用エアコンの「馬力(P◯形)」で表記された能力を「kW」に変換する必要があります。「1馬力は約2.8kW相当」として計算してください。計算結果を比較して、業務用エアコンと家庭用エアコンの能力を比較しましょう。
ちなみに、家庭用エアコンの能力は3馬力以下、業務用エアコンは1.5馬力から10馬力です。広い空間で家庭用エアコンを使うことを検討している方は、能力の最高値が3馬力でも対応できる空間の中でしか利用できません。
1.4 電気料金の種類や契約内容の違い
業務用エアコンと家庭用エアコンは電源に違いがあるため、電力会社の契約内容が異なります。例えば、東京電力の場合は、家庭用エアコンを「電灯(従量電灯)」の契約です。単相100V・単相200Vで使用する電化製品を使用する場合は、電灯への契約になります。つまり、基本的に家庭の契約プランは、基本的に特別な契約をしない限り、どの家庭も電灯です。
業務用エアコンが三相200Vを利用するため契約内容が「動力(低圧電力)」か「高圧契約」になります。高圧契約の契約内容は、電灯に比べてとても複雑です。高圧契約はデマンドによって電気料金が変動する仕組みです。主に商業ビル、大きな病院、学校、工場、大型ショッピングモール、遊園地など使用電力が大きい施設や建物が契約しています。
1.5 工事のやり方の違い
業務用エアコンと家庭用エアコンは工事内容も異なります。家庭用エアコンは、電気量販店、エアコンを購入したお店で工事の手配が可能です。基本的に特別な工事が必要ないため、数十分から数時間で完了します。工事の料金は、1万円前後でしょう。エアコンを購入すると工事代が無料になる場合もあります。
業務用エアコンを取り付けるときは、家庭用エアコンよりも複雑な工事が必要です。埋め込み形の室内機の設置、フロンガス回収、配管洗浄、設置場所の確認など、家庭用エアコンよりも確認事項や工事事項が多くなります。設置にかかる日数や時間は、取り付ける場所や数により数時間から数日かかるでしょう。工事料金も数万円から大きな施設の場合は数百万円かかる場合もあります。業務用エアコンは「管工事」が重要なため、管工事を得意とする業者に依頼しましょう。
1.6 電気代の違い
業務用エアコンと家庭用エアコンは、単相と三相という電源の違いがあるため電気代も異なります。基本料金は単相のほうが少し安いと考えましょう。一方で、基本料金が高めとなる三相は1kWhあたりの電力単価が安めです。電気を多く使う場合には電力単価が安い三相のほうが得になります。
例えば、東京電力の場合は、一般家庭の「従量電灯B」では、120kWhまでが「19.52円」で300kWhまでが「26.00円」です。300kWh以上は「30.02円」ですが、中間の「26.00円」で比較するのが分かりやすいでしょう。
東京電力の業務用「低圧電力」のプランは、夏季が「17.06円」で夏季以外が「15.51円」です。少し高めですが、エアコンを使う機会も多い夏場の電気代と考えて「17.06円」で比較すると分かりやすいでしょう。
従量電灯Bの基本料金は、30Aが「842.40円」で40Aが「1,123.20円」です。業務用の低圧電力は基本料金が「1,101.60円」で、30Aで契約している家庭と比較すると、基本料金は少し高めといえます。
ですが、40Aで契約している場合は、業務用が基本料金も安いといえるでしょう。電力単価が「約9円」業務用が安いため、長くエアコンを使う場合は業務用エアコンのほうが得といえます。
1.7 室外機と室内機の組み合わせの違い
業務用エアコンと家庭用エアコンは、エアコンに重要な室外機と室内機の組み合わせを選ぶ際も違いがあります。業務用エアコンと家庭用エアコンの室外機と室内機の組み合わせで最も異なる点は、室内機の多さでしょう。
家庭用エアコンは、室外機と室内機が基本的に1つずつ。一対一で繋がっている設計です。部屋ごとにエアコンを設置する場合でも、室外機と室内機が一対一になるよう設置されます。
業務用エアコンは1つの室外機に対して複数の室内機を繋げることができます。室外機1つで、何台もの室内機を運転させることや、指定した室内機だけ運転させることもできます。業務用エアコンの室外機と室内機の仕組みの呼称は、同時運転マルチや個別運転マルチです。業務用エアコンの室外機と室内機を一対一で繋げる方法はペアと呼ばれます。業務用エアコンを利用する際に、室外機と室内機の繋げ方はとても重要です。どれぐらいの広さか、どれだけの時間稼働するか、熱量はどのぐらいかなどを吟味し、同時運転マルチ・個別運転マルチ・ペアのどれで業務用エアコンを稼働するか考える必要があります。
1.8 外見上の違い
業務用エアコンと家庭用エアコンには外見上にも違いがあります。購入や買い替えを検討されている方は、外見で業務用エアコンか、家庭用エアコンか見分けられると便利でしょう。
家庭用エアコンは、一般的に据え置きタイプです。家電量販店で販売しているエアコンを購入して、自宅の壁に取り付けるでしょう。
業務用エアコンは据え置き型と埋め込み型があります。コンビニやスーパーの業務用エアコンは、埋め込み型のものが多いでしょう。業務用エアコンは店舗などでよく見かけるような四角くて4方向などに風が出るタイプや壁面に埋め込まれているタイプなどがあります。店舗やオフィスの形に合わせて自由に選べる点も、業務用エアコンと家庭用エアコンの違いでしょう。
家庭用エアコンは、一般的に据え置きタイプです。家電量販店で販売しているエアコンを購入して、自宅の壁に取り付けるでしょう。
見た目だけではわからない場合は使用銘板が異なっています。また、家庭用エアコンはルームエアコン、業務用エアコンはパッケージエアコンと表示されています。
2 業務用エアコンが家庭用エアコンよりもお得な3つのポイント
業務用エアコンが家庭用エアコンよりもお得なポイントは、光熱費が安い、耐久性がある、操作が簡単の3点です。業務用エアコンは、多角的にみると家庭用エアコンよりも冷暖房能力が優れている点以外も多くの能力が上回っています。光熱費は月々の固定費です。年間を通して安い方がなにかと都合がいいでしょう。また、操作が簡単であるため初めて業務用エアコンを利用する方も抵抗無く使用できます。耐久性は、家庭用エアコンと比べ物にならないほど強いですよ。
業務用エアコンの購入や買い替えを考えている方は、業務用エアコンのお得なポイントを抑えて家庭用エアコンと比較してください。では、業務用エアコンのお得なポイントを詳しく紹介しましょう。
2.1 高い省エネ性能で光熱費を大幅削減
業務用エアコンの大きな特徴は、ランニングコストが安い点です。業務用エアコンは、一般の家庭用エアコンよりも省エネ性能が高く、出力量に対する必要電力が小さくて済むので、光熱費を削減することができます。店舗やオフィスでは、日中はもちろん、場合によっては24時間エアコンを稼動させていなければなりません。省エネ性能が低いエアコンを使っていると、光熱費が大変なことになってしまいます。
業務用エアコンは、エアコン稼働時間といった要素も考慮して設計されているため、コストを抑えることができます。下記は資源エネルギー庁のあらゆる店舗において平均的な電力消費率のデータです。
上記のデータによると、店舗の電力は空調がほとんどを占めています。エアコンの省エネ性能が少し上がるだけでも、光熱費はまったく違ってきます。業務用エアコンを設置すれば、運転時間が長ければ長いほど、光熱費が大変お得です。
2.2 操作や手入れがシンプル
エアコンは、フィルター掃除などの手入れが面倒くさいものが多いです。業務用エアコンは家庭用エアコンよりもフィルターが汚れにくくなる工夫がなされています。 また、ふき取りやすいデザインになっており、掃除時間が短くて済むでしょう。定期的なエアコンクリーニングは必要ですが、日ごろから面倒な手入れをする必要はありません。業務用エアコンは、最小限の手間でエアコンの最大限の力を引き出すことが可能です。
業務用エアコンは家庭用エアコンに比べて風量が大きく、機能がシンプルで操作が簡単なことも特徴として挙げられます。店舗や企業では様々な人がエアコンを使用するので、誰にとっても使いやすいものであることが望ましいでしょう。業務用エアコンは、誰もが使いやすく快適な製品です。
2.3 耐久性がある
業務用エアコンは、もともと企業による長時間の運転を想定したもののため、耐久性が優れています。家庭用エアコンの平均耐用年数が6年程度であるのに対して、業務用エアコンの平均耐用年数は13~15年です。業務用エアコンは、家庭用エアコンよりもはるかに長持ち。自慢の耐久力のおかげで、業務用エアコンはあまり故障することもありません。
エアコンのような電化製品は、故障によって発煙・発火など、危険な事故が起こる可能性もあります。業務用エアコンであれば、そもそも故障が少ないので、安心して使うことができるでしょう。業務用エアコンは、快適さだけではなく安心・安全にエアコンを使用できます。
3 業務用エアコンと家庭用エアコンは業務形態や用途別に比較しよう
エアコンを用途別に比較する場合、業務用エアコンはどのような業種で使うのかが大きなポイントです。例えば、10坪(約33平方メートル)の場合、一般事務用の部屋で使う業務用エアコンは「1.8馬力(P45形)」くらいで良いでしょう。ですが、火を使って調理をする厨房がある飲食店・食堂などであれば、業務用エアコンの能力は「4馬力(P112形)」くらいが望ましいとされています。つまり、エアコンを用途別に比較する場合、業務用エアコンの場合は部屋の広さに加えて、業種や部屋の形状なども考慮する必要があります。
家庭用エアコンの場合は、主に部屋の広さだけで決定できます。家庭用エアコンは、部屋の気密性を考慮して、和室か洋室かなども考える必要がありますが、部屋の使い方は考えなくても良いでしょう。設置場所の使い方を考えなければいけない点が業務用エアコンと家庭用エアコンを比較するときの大きなポイントです。
「家庭のリビング程度の広さだから家庭用エアコンでいいだろう」と、飲食店などに業務用エアコンを使わず、家庭用エアコンを設置しようと簡単に考えてはいけません。業務用にエアコンを設置する場合は、必ず業種や部屋の形状と広さを考慮して、どのエアコンにするのかを決めましょう。
4 まとめ
業務用エアコンと家庭用エアコンの仕組みはほぼ同じですが、大きな違いとして、冷暖房能力、電源、電圧、契約料金プラン、工事内容、電気代、室外機と室内機の組み合わせ、外見の8つがあります。特に業務用エアコンのお得なポイントは、省エネ性能や耐久性、手入れのしやすさです。また、近年の業務用エアコンは性能向上が著しいものがほとんどのため、幅広い選択肢があります。
業務用エアコンは、家庭用エアコンよりも性質や能力が優れていますが初期費用もかかるため「購入に踏み切れない」と考えられる方もいるでしょう。業務用エアコンは、リースもあります。詳しくはこちらをご覧ください。最新製品にはお得がいっぱいの業務用エアコン。ぜひ買い替え・導入をご検討ください。