約1万円でHDMI入力付10.1インチWUXGA(1920×1200)液晶モニタを自作してみた

2014年11月5日

巷ではRetina液晶モニタの自作が流行っているらしい

週刊アスキーの記事で一気に有名になった、iPadのRetina液晶パネルを使っての自作液晶モニタですが、こちらはDisplayPortのみの入力となる為、色々と汎用性が低く、それでいて2048×1536という超高解像度にも関わらず10インチと2枚目のモニタとして使うにはちょっと厳しいかなというものでしたので、HDMI入力のあるフルHD級が欲しいなと思って、自分はHDMI入力モニタを作ってみる事にしました。
大元の記事を書かれているmat2ukenさんのブログにもHDMI入力の自作についての記事がありましたが、全く同じでも面白く無いですし自分なりに開拓してみようとチャレンジしてみました。

液晶パネルを探す

まずは被験体となる液晶パネルを見つけなくてはなりません。使い道は動画の再生専用位のつもりで考えるとフルHD以上の解像度は欲しいので1920×1080か1920×1200のものを探します。
Panelook.comというサイトで簡単に液晶パネルを調べる事が出来ます。
ひとまずは、compositionをPanel、sizeを10.1、Resolutionを1920×1200にして探してみました。そうすると何種類かのパネルがヒットしました。

CPT CLAA101FP01,CLAA101FP05
JDI LT101MB02000
AUO B101UAN02.1
HYDIS HV101WU1-1E3
Panasonic VVX10F008B00

これらのうち、CPT,JDI,Panasonicはsingnal typeがMIPIのみでした。HYDISはMIPIとLVDS、AUOはLVDS(2ch 8bit)となっておりました。コントローラの入手性を考えるとLVDSが良いのでAUOを選択する事にしました。

細かく調べてみるとB101UAN01とB101UAN02があって、B101UAN02は更にB101UAN02.1とB101UAN02.2とある様でしたが、仕様書を見る限りは同じものの様でしたので出来るだけ新しいと思われるB101UAN02.2にしました。この液晶パネルはAcerのICONIA TAB A700で使用されており保守部品も多く出回っているので入手性も良かったりします。
mat2ukenさんもB101UAN02.1を選択しており液晶パネルについては同じ選択となりました。

コントローラーを探す

液晶パネルだけでは映像を入力させる事は出来ませんので、コントローラーユニットも入手する必要があります。合いそうなものを調べてみるとT.VST29.03というものとM.NT68676.2Aというものが多く出回っている事が分かりました。どちらもVGA/HDMI入力があり、T.VST29.03にはコンポジット入力、M.NT68676.2AにはDVI入力もありました。個人的にはDVI入力の方がよかったのでM.NT68676.2Aにする事にしました。結局mat2ukenさんのおすすめ構成になってしまいましたね。

eBayで探す

海外通販系のサイトはいろいろあるのですが、paypalでサクっと購入できて数回クリックでいいのでeBayで購入する事にしました。
M.NT68676.2Aで検索するとぞろぞろと該当するものが出てきます。この中から購入する対象の販売者を決めますが、普段目安にしているのはTop-rated Sellerのアイコン(メダルみたいなやつ)がついているかどうか、From Hong Kong(香港)であるかどうか。特に香港を選択する理由はあって、From China(中国)に比べると明らかに荷物の到着が速いからです。

さて、次に注意しなくてはならないのが、M.NT68676.2Aにはプロファイルデータなるファームウェアが書き込まれているのですが、使用する液晶に合わせて色々なものがある事です。ハードとしては2048×1152までの解像度に対応しておりますが、プロファイルで対応していないと思った様に表示できない可能性もあります。特にLVDS信号は1chと2ch、6bitと8bitなどの種類があるため液晶パネル側とコントローラー側で合わせて置く必要があります。
B101UAN01/B101UAN02用のプロファイルになっているものを選定しましょう。
購入に関して細かい所は後述します。

注文の物が届いたので早速開封

eBayで注文したのが5月30日の深夜3時前、6月11日に液晶パネルが到着、6月17日にコントローラーが到着いたしました。
コントローラーの方にはAUO B101UAN02.2と印字されており、ちゃんとこの液晶パネル用になっております。


まずは液晶パネルの方ですが、プチプチ君に厳重に包まれて箱に入っておりました。
それぞれ表面と裏面です。

型番はB101UAN02.2、H/Wは2A、F/Wは1と印字されております。
lcdpanel4
コネクタ部はLVDS 50pinです。液晶パネルによっては40pinのものもあるので購入する前にピン数は確認しておくと良いでしょうね。
lcdpanel5
続いてはコントローラーです。メイン基板とパワーユニット、赤外線受信ユニット、キーボード(PUSH SWITCH)がすでにケーブルで接続されております。
controller2
メイン基板のアップです。NOVATEK NT68676UFGと印字されたICが中央にあります。SA7496というICが右端にありますがオーディオ用のアンプです。
controller3
パワーユニットのアップです。ここはちょっと調査不足で失敗した所なのですが、LEDバックライトコントローラならば調光出来るのですがこちらは単一のみとなるので液晶のバックライトLEDが固定輝度となってしまいます。
controller4
赤外線ユニットとセットになっているリモコンです。電源ON/OFFとメニュー制御位しかする事はありませんが、有線のキーボードでスイッチぽこぽこ押すよりは良さそうです。単4電池2本で駆動。
controller5
早速動かしてみる

接続は単純で既に結線が終わっているコントローラーから出ているLVDSケーブルを液晶パネルへ取り付けるだけです。
1本の線を取り付けるだけなのですが、結構ギチギチではまりにくくまた力をかけすぎて壊すのも嫌なので慎重にやった結果10分近くもかかってしまいました。
手持ちのAC-DC12Vアダプタをつないで電源をいれてやると画面が映りました!中国語っぽい漢字でのOSDが表示されております。
monitor1
この時点では映像入力をしていないのでOSDしか映っておりません。ひとまずの所、ノートPCとHDMIケーブルで接続してみました。
無事に映った~~~!!!
monitor2
いやー綺麗キレイ。いい感じです。クローン画面になっていたのでデュアルモニタに設定を変えてちゃんと1920×1200の解像度へ設定できました。
動画を再生してみましたがかなりいい感じで、残像が出ることもなく見れました。
monitor3
続いてメインマシンのサブモニタに設定して、IRCとTwitterを配置してみました。
・・・orz
ダメだこりゃ。字が小さすぎて全く読めません。メインが24インチで1920×1200、サブが10.1インチで1920×1200、そもそも24インチでもギリギリ読めるレベルなのに10.1インチで読めるはずもありませんね(苦笑)おとなしく動画用として使っておけといった感じでしょうか。
monitor4
ひとまずは完成として、やはり固定する方法を考えないといけません。液晶本体が軽すぎるのでしっかり固定しないとケーブルに引っ張られてしまう感じが想定されます。

DC5Vで動かす事が出来るか!?

週アス記事になったRetina液晶の方は、単純にモニタとしてのみかつDP変換のみの基板でしたので構造が単純でDC5V電源で動作させる事が出来ます。そのため出力電流さえカバーできればUSBモバイルバッテリーで駆動させる事が可能でした。
今回作成した液晶モニタはDC12V電源で動作する仕様です。オーディオアンプ用のICがDC12V入力なので必要なのは分かりますが、ここは割りきってオーディオは使わないとDC5Vで動作できないものか入力電圧を落としてみました。
結果としてはNG。DC5.4Vまでは動作しましたが、それ未満になると液晶モニタへ電源が入りませんでした。考えてみたらDC12Vを入力した後に一旦DC5Vに落として更にそこからDC3.3Vを作っている回路ですので、DC5V作成の為の電圧が不足してしまうんでしょうね。入力をバイパスしてみたらなんか行けそうな気もするので後日試してみようと思います。
ま、DC12Vで出力出来るモバイルバッテリーは持っているのでそこまで気にしなくてもいいんですけどね。

消費電力はいかほどか

DC12V供給にてどの程度消費電力があるのかACDCアダプタの上でAC100Vでの方ですが測定してみた所、約9.1Wでした。DC12Vで換算すると750mA程度。DC5Vで換算した場合は1.82Aとかなり高めとなります。
前述の様にLCDバックライトへの電源供給ユニットが固定タイプのものにしてしまったので、輝度を落とすことができず常時この消費電力となってしまいます。調光出来るタイプのものを用意すれば、この辺りは改善出来ると思いますがファームの方でも処理しているとなるとユニットだけ交換してもうまくいかない可能性がありますねー。
発熱については、NT68676がやや暖かいくらい。45度~50度くらいかな。あっちっちとまでは行かないですね。

各種OSDの設定

OSDの方で設定出来る項目をとりあえず書いておきます。
キー操作で使えるのは[MENU] [DOWN] [UP] [EXIT]の4ボタンです。
[MENU]ボタンにてOSDによる設定画面に入る事が可能です。
デフォルトでは中国語になっております。最初にEnglishに変更する事をおすすめします。
親項目は4つあり[Picture],[Color],[OSD],[Setup]となります。
[DOWN],[UP]で項目を変更し、[MENU]にて選択及び決定、[EXIT]で1つ前に戻ります。
osd
[Picture]で設定可能な項目は[Brightness],[Contrast],[Gamma]の3つ。
[Color]で設定可能な項目はColor Temperature(色温度)のみで5000K,6500K,7500K,8200K,9300K,11500K,sRGB,Userの8つ。
[OSD]で設定可能な項目は[Horizontal(水平方向の位置)],[Vertical(垂直方向の位置)],[Transparency(透過度)],[OSD Time Out(OSDが消えるまでの時間)]の4つ。
[Setup]で設定可能な項目は[Language],[Mute],[Input(RGB/DVI/HDMI)],[DCR(輝度自動調整)],[Display Size(Full/4:3/Zoom)],[Reset]の6つ。
Languageは英語、フランス語、イタリア語、中国語、スペイン語、ドイツ語、ポルトガル語を選択できました。dot by dotには対応しておりません。Display Sizeでアスペクト比調整が可能です。

またOSDでは設定出来ないのですが、赤外線リモコンにてボリュームのUP/DOWNが設定できました。
ボリュームUPはキーリピートしますが、ボリュームDOWNはキーリピートしませんでした。

購入について

今回購入したものについての詳細です。
LCD液晶パネル $70.70(7,319円)
コントローラー $27.25(2,821円)
いずれもPaypalでドル決済、カード会社による為替レート設定によるもので合計10,140円でした。
液晶パネルをAliexpress辺りで探すともうちょっと安いものが見つかるかもしれません。
コントローラーについては色々eBayでは売っておりますが、自分が指定した液晶パネル用のファームを書いてくれる所で購入しております。
コントローラーは購入前に必ずセットの内容を確認して下さい。ケーブル等一切無しの基板のみというものもあり、そちらを購入されてしまうと別途ケーブル類を用意する必要がありますので。

とにかく細かい事が面倒な方は、液晶パネルとコントローラーのセットになった安心お手軽品が
HDMI+VGA+2AV+Rear View Monitors+10.1inch 1920*1200 B101UAN02 IPS LCD Display
に12,000円弱とお手頃価格でありますのでいかがでしょうか。(なおこちらはDVI入力はありません)

追記

お世話になっている、にちゃんねるの小型液晶モニタスレに投下させていただいた所、好反応をいただき感謝しております。スレの方で質問のあった部分に関しては記事にも反映させております。
また記事投稿から半日足らずで、ebayの業者さんの売上が明らかに増えているのがすごいですね!

PC,デジモノ

Posted by ysn