メインコンテンツにスキップ

マルハナバチは仲間の行動を観察して学ぶことができる。その結果、新たな遊びが流行する

記事の本文にスキップ

12件のコメントを見る

著者

公開:更新:

この画像を大きなサイズで見る

 ただの昆虫と侮ることなかれ。これまでの研究によると、ミツバチの仲間、マルハナバチには高度な知能と認知力があることが明らかになっている。

 そして新たにマルハナバチの賢くてかわいらしい一面が明らかになった。

広告の下に記事が続いています

 『PLOS Biology』(2023年3月7日付)に掲載された研究によると、彼らはは仲間の行動を観察し、それを学習して覚えていくそうだ。

 その結果、その行動はSNSで拡散されるかのように、流行として広がっていくという。

 このことは小さな「昆虫にも文化がある」という証明であるばかりか、一見本能に思える「複雑な行動の起源」を説明するヒントでもあるという。

マルハナバチは仲間の行動を見てまねる

 ミツバチ科マルハナバチ属に分類され、世界で約250種が知られているマルハナバチは、農作物の授粉を行ってくれる人間にとって大切な存在だ。

 彼らに関する様々な研究が進められており、高度な社会性と知能を持っていることが明らかになりつつある。

この画像を大きなサイズで見る
photo by Pixabay

 ロンドン大学クイーン・メアリー校をはじめとする研究チームがやったのはこんな実験を行った。

 まず、赤いつまみを時計回りに回すか、青いつまみを反時計回りに回すかするとフタが開いて甘い砂糖水にありつける箱を用意した。

 ここに赤いつまみを回すよう訓練されたマルハナバチを入れる。

 ハチは訓練された通り、赤いつまみを回して、美味しい砂糖水にありつく。

 このとき、この様子を別のハチに観察させるのだ。そして、このハチに同じことをやらせてみたところ、前回のハチと同じく赤いつまみを回すのだ!

 これとは逆に青いつまみを回すよう訓練されたハチを使えば、それを観察したハチは青いつまみを回すようになる。

 こうした傾向はコロニー全体に広まり、平均98.6%が最初のハチと同じ方法でフタを開けるようになったという。

Bumblebees learn new ‘trends’ in their behavior by watching and learning

ハチは社会を通じて学習し、流行が生まれる

 マルハナバチにとって社会的な学習が大切であることは、お手本がない実験からも読み取れる。

 訓練されたハチの行動を観察させない場合、ほとんどのハチはフタを開けられなかったからだ。

 仲間の様子を観察できたハチでは、1日に平均28回フタを開けることができた。ところが、観察できないハチでは1日にたった1回しか成功しなかったのだ。

 また別の実験では、「赤」で訓練されたハチと「青」で訓練されたハチの両方をコロニーの中に入れてみた。

 すると、最初のうちは赤青どちらのつまみも回していたハチたちだが、そのうち片方のつまみしか操作しなくなった。

 このことは、コロニー内に何やら流行らしきものがあることを示しているという。

 研究チームの推測では、こうした流行ができる原因は、ハチの好みが変わったわけでなく、世代交代で経験豊富なハチがいなくなり、新たに学習し始める新人が加わるようになったことが関係しているとのことだ。

この画像を大きなサイズで見る
青いつまみを押して、甘い砂糖水にありつこうとするマルハナバチ / image credit:Alice Bridges (CC-BY 4.0, creativecommons.org/licenses/by/4.0/)

ハチには文化がある。複雑な行動の起源を理解するヒントに

 こうした結果は、ハチには世代を通じて社会的に学習される習慣がある。すなわち人間と同じように、「ハチに文化がある」という証明であるという。

 それだけでなく、社会を形成する昆虫の特徴である、さまざまな複雑な行動の起源を理解するヒントであるかもしれない。

 主執筆者のアリス・ブリッジズ博士はこう語る。

マルハナバチ、というか無脊椎動物全般は、野生で文化を育むとは考えられていません。

しかし今回の実験では、霊長類や鳥類のように、行動の流行がマルハナバチの集団に広がり、維持されることが確認されました

この画像を大きなサイズで見る
photo by Unsplash

 マルハナバチのような社会性昆虫の行動は、この地球でもっとも複雑なものの1つだが、これまでそれらは本能的なものだと考えれてきた。

 だが今回の結果からは、それらがもともと社会で学習したものだった可能性がうかがえるそうだ。

 小さな昆虫に文化があるとはにわかに信じがたいが、新たなイノベーションが起きれば、まるでSNSのように昆虫社会に広まっていくことが確認されている。

 これは彼らが何世代もかかる進化に頼ることなく、速やかに新しい状況に適応できることを示しているとのことだ。

References:Bumblebees learn new ‘trends’ in their behavior by watching and learning / written by hiroching / edited by / parumo

広告の下にスタッフが選んだ「あわせて読みたい」が続きます

同じカテゴリーの記事一覧

この記事へのコメント、12件

コメントを書く

  1. 丸っこくて可愛いと知ってからマルハナバチマニアになってしまいました

  2. マルハナちゃんは見た目はまんまるもふもふで
    名前も可愛い、働き者で本当に良い子なんだよ
    しかも賢いときたらもう困っちゃうねえ

  3. マルハナバチは知能が高くてかつ可愛いので大好きです!
    人にも懐くって前カラパイアでも記事になってたよね?

  4. アリとかハチとか社会性の高い虫はこう言うの結構ありそうだね

  5. 前半読みながら、お葬式で前の人のお焼香見て同じようにした若い頃のこと思い出した
    一緒に行った友人達も同じことを言ってて、途中で正しい作法を知る誰かが訂正しない限り後ろの人達はずっと間違ったやり方を続けていくんだなwと思った

  6. 草むらの地下に巣を作るから
    除草してると刺されるんだよな

  7. 春になるとブルーベリーの白い花に必死に潜り込んでるのを見かけるよ
    ずんぐりした体で頑張ってるのが可愛い
    受粉をお手伝いしてくれるから数カ月後にはそこに綺麗な実がなる
    毎年必ず来てくれる。とにかく可愛い…

  8. 赤と青どちらも選べるのに結局片方たけに偏るの面白いね
    どんな理由なんだろう
    青い方が微妙に回しやすいとか、色なのか、微妙な位置の違いなのか

  9. 久しぶりに過去記事でマルハナバチと仲良くなったイギリスの女性と女の子のハートフルストーリー読み返して笑顔になってる。

    ふわふわでしましまのオシャレさんで、ちっちゃいのに健気で賢いってもう好きになるしかないじゃん!

  10. ふっかふっかもっふもっふで丸くて可愛くて、それに賢さもにじみ出ているところも大好きなハチさんだったのですが、社交的でファッショナブルな一面もあるんですね。
    ああ、ハグしたい(無理だろうけど…)。

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

昆虫・爬虫類・寄生虫

昆虫・爬虫類・寄生虫についての記事をすべて見る

最新記事

最新記事をすべて見る