メインコンテンツにスキップ

ロックダウン中、人間と遊べず孤独な思いをしているイルカを毎日励ましに行く漁師たち(アイルランド)

記事の本文にスキップ

36件のコメントを見る

著者

公開:更新:

この画像を大きなサイズで見る
イルカを励ます漁師 image credit:Independent ie Domnick Walsh/Facebook

 3月以降、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けロックダウン(封鎖)状態が続いているアイルランドでは、外出制限されていない湾のイルカもかなり孤独に陥っていたようだ。

 そんなイルカに会いに、地元の漁師が1日2回船を出しているという。『Independent.ie』などが伝えている。

広告の下に記事が続いています
Fungi/Funghi the Dingle Bay Dolphin

ディングル半島のマスコット、バンドウイルカの「ファンギー」

 ケリー州に位置するアイルランドの最西端ディングル半島のディングル湾には、「ファンギー」と呼ばれているバンドウイルカがいる。

 ファンギーがこの湾に姿を見せたのは1983年。それ以来、ずっと湾に住み着いているという。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:wikipedia

 今では地元の人々のマスコット的存在となっており、町にはファンギーの像も建てられたほどだ。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:wikipedia

 「ディングル湾に住み着くイルカ」としてファンギーのことがメディアで報じられると、ファンギーを一目見ようとディングル半島に観光客が集まるようになった。イルカ・ウォッチングのボートでは、ファンギー目的で参加する人が増えた。

 とてもフレンドリーな性格のファンギーは、観光客だけでなく地元のサーファーやスイマー、カヤックの人々などにとても好かれ、ファンギー自身も、普段から多くの観光客が会いに来てくれることに慣れていた。

 ところが、3月からアイルランドはロックダウン(封鎖)となり、観光客がいない状態になってしまった。

 レジャー目的で湾に出る住民もおらず、ファンギーはいつも楽しみにしていた人との交流が叶わなくなって、寂しい思いを募らせていたようだ。

地元漁師、ファンギーの孤独を癒すため1日2回海へ

 そんなファンギーの孤独を思いやったのが、地元漁師のジミー・フラナリーさんだ。

 フラナリーさんはベテラン漁師で、地元の漁業組合にも多くの力を貸してきた人物だ。それだけでなく、地元で『Dingle Sea Safari(ディングル・シー・サファリ)』を運営しており、イルカ・ウォッチングやボート・トリップなどを観光客に提供している。

 他の漁師仲間から、「ファンギーが商業用の漁船を追いかけている」という話を聞き、フラナリーさんは、人懐っこいファンギーはこの時期ひとりぼっちで寂しい思いをしているのではと思った。

 そこで、ファンギーを励ますために船を出したところ、フラナリーさんの姿を見つけたファンギーは大喜びでジャンプした。

 以降、フラナリーさんは1日2回もファンギーの相手をするために海へ出ているそうだ。

商業用の漁船に乗っている職員らは、みんな仕事で忙しいからファンギーにかまってやる暇がないんですよ。

ファンギーは人が好きで、地元の人たちにとても可愛がられています。今は、私がこうして会いに来ていますが、ロックダウンが終わればまた多くの人がファンギーに会いに来ることでしょう。

そうなっても、ファンギーが私のことを覚えていてくれるといいですけどね。

 なお、ファンギーは海洋学にも貢献している。ガーフィッシュというギリシャ語で「針」を意味する口先鋭く細長い魚がディングル沖に生息しているが、ファンギーはその魚を食べた最初のイルカとして記録されているという。

written by Scarlet / edited by parumo

広告の下にスタッフが選んだ「あわせて読みたい」が続きます

同じカテゴリーの記事一覧

この記事へのコメント、36件

コメントを書く

  1. 人間の勝手な解釈だ!って思う人もいるかもしれないけれど、
    群れを成してないはぐれイルカなら孤独はきっとストレスになるだろう。
    賢いイルカにとって海で遊べるような大きな生き物はそうそういないし、良いことだね

  2. 読み始めは「ほんとに寂しがってる~?そう思いたいだけじゃな~い?」って思ってたが
    >商業用の漁船を追いかけている
    とかって話を読んで実際そうなのだろうとちょっと切なくなった
    はやくみんなと遊べるといいね

  3. 逆に自分が漂流してイルカだらけの島にたどり着いたとして、超フレンドリーなイルカたちと30年以上暮らして来たある日、突然イルカ達が居なくなったら超寂しく思うだろうなぁ
    一匹でも戻ってきたら声あげて手振ると思うわ

  4. 百歩譲って寂しいのはいいとして何故他のイルカを探しにいかないのだろう
    そもそも他の生き物しか相手がいない状況が不健全だと気付いてほしい

    1. >>4
      その考え自体が人間のエゴじゃないかな
      イルカに限らず違う動物と仲良くなるのも、野生のうちだろう

    2. ※4
      雄のハンドウイルカは通常単体行動。
      ファンギーが雄かどうかはわからんけどね。

      1. ※15
        そうならそれはそれでニンゲンと馴れ合うのは不自然だろう

        1. >>23
          不自然か否か人間が決めつける事自体不自然、と跳ね返ってくるよん
          イルカが選んだ事を人間が受け入れるのも、また共存だよ

  5. 何歳か知らんが結構長生きするんだな
    簡単な人語なら解しそう 🐬

    1. >>5
      日本の水族館で白イルカ?に対象物と対象物のイラストと単語を教えて実験をしている教授がいますよ。

      始めはゲームみたいで面白がっていたのに、教授があまりにもしつこすぎて嫌われたようです。
      教授のことは無視するようですが、トレーナーさんとは意思の疎通がより深くできるようになったそうです。

  6. だれかれと無く批判するばかりでなく、この漁師さんのように種別を超えて労りができる人間でありたいものだ。 野生イルカの平均寿命30年? とすれば、けっこう高齢なイルカさんだ。

    1. ※6
      野生の場合オスで8~17年が平均寿命とされているみたいですが条件次第では70歳近い個体も知られているとか。彼が暮らすDingle harbourは「C」の開口部(水路)が特に狭くなった形状で、潮汐によってその開口部から1日に2回、魚が運び込まれるのだそうです。自然の地形が作り出した巻き網/生け簀といったところなのかもしれません。これが一日に30㎏必要というイルカの食事の安定を彼にもたらしているそうで、そうでなければ今ほど人と遊ぶ時間はとれないだろううんぬんかんぬんとFAQにはありました。高等遊民みたいですね…うらやましいです。
      (FUNGIE FAQを検索すれば出ますが en.wikipedia.org/wiki/Fungie にもリンクがあります)

    2. >>6
      同世代だが、私は時々もうダメだと思うくらい体がキツい時がある
      3歳年下とは言えファンギーさんはまだ飛び跳ねているという
      長生きしてくれそうに思う

  7. 逆に自分が漂流してイルカだらけの島にたどり着いたとして、超フレンドリーなイルカたちと30年以上暮らして来たある日、突然イルカ達が居なくなったら超寂しく思うだろうなぁ
    一匹でも戻ってきたら声あげて手振ると思うわ

  8. かっ可愛い

    そして1983年からいるとか、バンドウイルカって長生きなんだね

  9. ファンギーに「地上で疫病が流行しててニンゲンがいつもみたいに遊びにこれなくなっちゃったんだよ、みんな元気になったらまた来るからね」って説明してあげたくなった
    頭いいから何がしか異変が起きてることは理解してるような気はするけども

    1日2回沖に出る燃料代もただじゃなかろうに
    フラナリーさんいい人だ
    復活の日を待てファンギー

  10. おそらく人間を仲間だと思ってるんだろうから、突然誰も来なくなったら寂しくなるだろうねえ

    1. >>13
      彼らには彼らの考えがある。同種と一緒が必ずしも幸せとは限らないし、いじめられるかもよ。

      1. >>26
        群れで生きる種の個体が長く単独行動している場合、何らかの理由で集団生活ができなかった可能性は大いにありうるね
        集団に戻りたくても、受け入れてもらえなくて戻れないのかもしれない

  11. ガーフィッシュってダツのことかと思ったら汽水域にいる別のやつなのか?
    いわゆるダツならイルカが常食してるはずだけど元記事っぽい原文を読んでもよくわからなかった
    なんだよsleek fishって

    1. ※18
      sleekがなめらかって意味みたいなのと、
      検索かけて出てきたのがトビウオとかさんまの近種だっだから
      細長くて鱗のないのが全体的にSleekfishと呼ばれてるのかも??

  12. 人間だって普段は集まってくるネコたちが急にいなくなったりしたら寂しいだろうし

  13. 船と並走して危なくないか一瞬心配したが、40年近く同じことをしてきたんだ
    余計な心配だったな

    1. >>20
      船から出る波に乗るそうです。人間的にサーフィンしている感じだそうです。

      シャチやイルカぐらいの大きさのクジラも同じことをしていて、自分で泳ぐより早く楽に泳げるので、船をタクシー変りに利用しているのだと近年わかったそうです。

      1. ※32
        想像しただけでなんだか愉快というか何となくうれしい
        人間は海を利用(搾取とも言うかもしれないが)してるけど、
        クジラ族も人間を利用していたのだー

  14. 他の野生動物だと動物の方から近寄ってきたりしても
    なるべくかまうなってなるのに
    イルカはOKなのはやっぱり違うような気がするけど
    まぁいいや

    1. >>21
      昔シャチが人間と仲良くなりたくて漁師たち寄ってきて、漁師たちも可愛がってたのをだな、研究者だの保護活動家だのがまかりならぬ不自然だと接近禁止させてな、結局シャチは絶望して船のスクリューに身投げして自殺した事件があってな…

      1. ※27
        調べやすいようにもう少し詳しく勝手に追記
        人間と友達になりたかったシャチ
        検索すると出る
        涙なくして見れないドキュメンタリーだけど、興味ある人は是非

  15. ほったらかされて鬱病とかにならなくて良かった。賢い生きものだけに鬱病とかありそうだし。

  16. BGMなんでルーリード?!って思ったけど、観てたら涙出てきた。イッツ ア パーフェクトディ…だよね、早くそんな海に戻ったらいいね。

  17. 体についた跡の観察から他の鯨類・イルカとの交流(遊び、衝突、もしかしたらデート?)が考えられていて、どうも完璧な隠者というわけではないっぽい。ここで暮らし続けているのは他からの圧力やマイナス方向の選択という可能性よりも、彼自信の望みなのだろうという見立てみたい。

  18. 不自然とかいうけど人間だって引きこもりやら同性愛やらADHDやらあるんだから、ちょっと変わったイルカがいたっていいじゃない
    イルカ自身が幸せそうなのに「もっと俺のイメージ通りのイルカになれ」とか言う人はきっと人間に対しても「ちょっとでも変わってる奴は異常」ってプレッシャーをかけてんだろうな

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

水中生物

水中生物についての記事をすべて見る

最新記事

最新記事をすべて見る