外付けHDD・ハードディスクの選び方
「容量の目安は?」「どんなタイプがある?」「インターフェイスの違いは?」など、外付けHDD・ハードディスク(以下、外付けHDD)選びの際に浮かぶ疑問を解決できるのが、この選び方ガイドです。外付けHDD選びに必要な基礎知識、用語解説はこちらでチェックしましょう!
2023/7/28 更新
パソコンのデータやテレビの録画番組の保存先として使われる外付けHDDには「据え置き型」と「ポータブル型」の2タイプがあります。それぞれにメリットがあるので、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。
一定の場所で使うことを想定している外付けHDDです。ポータブルと比べると、サイズは大きめで、電源を必要としますが、容量が4TBや6TBと大きく、動画などの大容量ファイルを保存するのに向いています。また、転送速度が速く、同じ容量のポータブルに比べると価格もやや安い傾向があります。パソコンのバックアップなどにも据え置き型は便利です。
据え置き型よりもコンパクトで軽く、持ち運びに適しています。中には持ち運びを前提とし、耐衝撃性を強化したモデルも存在します。専用の電源を必要とせず、ケーブルでPCなどにつなぐだけで利用できる(バスパワー)など設置も楽です。転送速度や容量の面では据え置き型に軍配が上がりますが、ノートパソコンと一緒に持ち歩くなら、携帯性に富んだこちらがいいでしょう。また、バスパワータイプのポータブルHDDでもテレビに接続して録画番組の保存先にできるものがあります。コンセントへの接続が不要なうえ設置スペースもわずかでテレビ周りがすっきりします。
外付けHDDを選ぶうえで、重要なポイントの1つが外付けHDDの記憶容量です。映像や画像、音楽など保存するデータが大容量化している今、その種類によっては外付けHDDの容量が足りなくなる可能性があります。以下はレコーダーやデジカメなど、各カテゴリごとの代表的な機種のストレージ1TBに対しての保存可能量を算出しています。容量選びの目安としてください。
1TBで約65時間
レコーダーのHDD1TBに対する録画時間から目安を算出します。ソニーのレコーダー「BDZ-FBW1000」(1TBのHDD内臓)で、4K放送をDRモード(放送そのままの画質で録画するモード)で録画した場合は65時間保存可能です。いずれにせよ4K放送をたくさん録画したい方には、1TBでは心許なく感じるはずです。
1TBで約129時間
レコーダーのHDD1TBに対する録画時間から目安を算出します。ソニーのレコーダー「BDZ-FBW1000」(1TBのHDD内臓)を使用して、DRモード(放送そのままの画質で録画するモード)で録画した場合、録画可能な目安は129時間。丸5日分程度録画できます。
1TBで約1250曲
ソニーのウォークマン「NW-A105」(16GBの内蔵メモリにハイレゾ音源FLAC 192kHz/24bit、1曲4分換算を最大約20曲記録)から計算すると1TBでも1250曲程度なので、ハイレゾ音源を大量に保存したいなら、大容量の外付けHDDを検討したいところです。
1TBで約10万曲
ソニーのウォークマン「NW-A105」(16GBの内蔵メモリにMP3 128kbps、1曲4分換算を最大約1,700曲記録)の数値を参考に計算した場合、1TBの外付けHDDなら10万曲以上の保存が可能なので、とにかくたくさんの音楽を保存したいという人にも、十分な容量といえます。
1TBで約28時間30分
パナソニックのビデオカメラ「HC-VX2MS」(64GBのSDXCカードを挿していると仮定)を使って4K動画を最高画質で撮影した場合で、録画できる時間は約1時間50分です。ここから1TBに換算するとおよそ28時間30分となるため、子どもの成長の記録を綺麗な映像で撮りためていきたいという人には、1TBのHDDでは足りなそうです。
使える機器がわかるメーカーサイトの「動作確認表」
メーカーのホームページには「動作検証済み」「動作確認済み」「対応情報」などの名称で、動作確認した機器の一覧が掲載されています。自分の手持ちの機器に接続できるかわからない場合は、購入前にここをチェックするか、メーカーに確認するのがよいでしょう。
外付けHDDを製造・販売しているメーカーはたくさんありますが、中でも代表的な6社を紹介します。それぞれに特徴があるので、検討時の参考にしてください。
テレビ用からPC用、NAS用まで幅広い製品を取り扱っているメーカー。自己診断機能「S.M.A.R.T.」情報をクラウドに蓄積し、故障を予測する「みまもり合図」に対応した製品や、パターン認証を採用したセキュリティソフトウェア「SecureLock Mobile 2」に対応した製品をラインアップしています。
据え置き型やポータブル型、また機能面ではテレビ録画対応HDDまで幅広く展開しています。据え置き型のHDW-UTCシリーズは、本体に2台のハードディスクを搭載しており、同じデータを2重で保存する「ミラーリングモード(RAID 1)」に対応。テレビ録画にも対応し、最大16TBの大容量モデルもラインアップされています。
東芝のテレビ「REGZA」純正の外付けHDDや、パソコンでも使える「CANVIO」シリーズなどを展開しています。REGZA純正HDDのうちの「V3」シリーズなどでは、ファンレスのアルミ放熱ボディを採用。高い静音性を実現しています。
累計20億台を超える出荷実績を持つ、世界有数のHDDメーカー。タテ置き・ヨコ置きの両方が可能な製品や、USB3.1(Gen1)対応で動画や写真などの大容量データを素早く扱うことが可能な製品をラインアップしています。
ポータブル型を主力として展開しているメーカーです。高い耐衝撃性や防水・防塵機能を備えた「HD」シリーズは、ほかのメーカーのHDDにはない個性的なデザインが特徴です。一方で「HC」「HV」シリーズなどは落ち着いたデザインの製品を揃えています。
「セキュリティスロット」を装備し、利用者以外の持ち出し防止や盗難防止に役立つ製品や、録画番組を引き継げるSeeQVaultに対応した外付けハードディスクをラインアップしています。特に据え置きタイプが人気のメーカーです。
外付けHDDを選ぶにはさまざまな機能や規格も重要です。これらを知っておくと、自分の環境に合わせて適切な製品が選べるようになるので、ぜひ覚えておきましょう。
外付けHDDにはパソコンなどと接続するためのインターフェイス(端子)が備わっていますが、これにはさまざまな種類があり、接続する機器に合わせて選択する必要があります。なお製品によっては「USBとThunderbolt」といったように、複数のインターフェイスを搭載した製品もあります。
広く普及している規格で、最大転送速度は5Gbps(理論値)。電源をパソコンからHDDに供給するバスパワーに対応しています。USB規格には後方互換性があるため、USB2.0接続のデバイスでもUSB3.1対応HDDを接続することが可能です。ただし、その場合の最大転送速度は、USB2.0の480Mbps(理論値)となります。
「Thunderbolt」は、IntelがAppleと協力して開発した規格で、現在は第3世代の「Thunderbolt 3」となっています。コネクタ形状はUSB Type-Cと同じですが、最大データ転送速度は40Gb/sと高速です。お使いのデバイスが「Thunderbolt 3」に対応している場合は、こちらを選択するとより快適に利用できます。
内蔵HDD用の規格「SATA」を外付けHDD用に転用した規格で、最大3Gbpsのデータ転送(理論値)が可能です。変換ロスが少ないため、高額な大容量モデルなどで採用されることも。
2013年に仕様が公開されたUSB規格で、USB3.0 Gen1の2倍となる10Gbps(理論値)の転送が可能です。
「USB Type-C」はコネクタの形状を示します。そのためUSB Type-Cのケーブル同士でも、転送速度は対応する規格により異なり、USB3.1 Gen2に対応していれば10Gbps(理論値)の転送が可能です。また、USB Type-Cは「オルタネートモード」と呼ばれる機能によりHDMIやThunderbolt 3などUSB規格以外の信号も送れます。ただし、それぞれの規格に対応する必要があり、コネクタがType-Cだから必ずThunderbolt 3やHDMIの転送が可能なわけではありません。Type-Cの製品を買う場合は対応規格もしっかりチェックしましょう。
4K放送は情報量が多いので、録画するのであれば、保存容量だけでなく転送速度にもこだわりたいところです。USB2.0の外付けHDDでも録画や再生するのに速度面での問題はありませんが、複数番組を同時録画したときやダビング時の速度に転送速度が影響してくるので、USB3.1 Gen 1(USB3.0)以上にしておくと安心です。また、使用する機器によってはUSB3.1 Gen 1(USB3.0)にしか対応していない場合もあるため、外付けHDDを購入する際には機器側の対応も確認するといいでしょう。
著作権保護の観点から、以前はテレビやレコーダーから録画した外付けHDD内のデータを、別のテレビやレコーダーで再生することができませんでしたが、SeeQVaultの登場によって、買い替え後の機器にデータを引き継げるようになりました。ただ、最初にSeeQVault形式でのフォーマットが必要だったり、異なるメーカーの機器は対象外だったりと、まだ不便な点もあります。
できません。
テレビ録画用製品は、テレビと一度接続して初期設定を行うと、パソコンと接続して利用することができません。ですから、パソコンのデータのバックアップなどに使用したい場合は、別途購入する必要があります。
対応するテレビ・レコーダー製品が明記されています。
テレビ録画用の製品は、テレビ・レコーダーの対応機種が表示されており、安心して購入が可能です。また、静音性やテレビの電源オン・オフに連動してスタンバイモードに入るモデルもあります。
SeeQVault対応なら移行できて便利です。
もし、現在のレコーダーも新たに購入するレコーダーもSeeQVaultに対応しているなら、外付けHDDもSeeQVault対応製品を購入すると便利です。あらかじめレコーダーの録画データを移しておけば、買い替えたレコーダーでもそのまま録画を楽しめます。
取り外し操作の手順を確認しましょう。
作動中にケーブルを抜いてしまうとデータが壊れてしまう危険があります。Windowsでは通知領域から「取り出し」の操作を、Macでは外付けHDDのアイコンをゴミ箱にドラッグしてから取り外します。レコーダーなどの場合は、レコーダー本体の電源を切り、HDDが動作していないことを確認してから取り外します。
キャッシュ
HDD内部のメモリーで、ここに一時的にデータを保存することによりHDDの読み書きが高速化されます。通常は32MB〜128MBほどが搭載されています。ここに一時的にデータを保存することで、HDDの読み書きが高速化されます。
自己診断機能
外付けHDDに異常が発生したときにお知らせしてくれたり、診断ツールを使って外付けHDDの状態を確認できる機能です。
データ復旧サービス
一部のメーカーでは、HDDからデータが取り出せなくなったり、誤って消去してしまったりした際に、データを復旧してくれるサービスもあります。
ハードウェア暗号化
記録するすべてのデータが自動的に暗号化される機能です。HDDの盗難や紛失などによるにデータ流出を防ぐことができます。
パワーオフ機能
テレビやレコーダーなどの電源に連動して、電源をオフにしてくれる機能です。節電のみならず、長寿命化にも役立ちます。
プラッタ
HDD内部にあるデータを記録する円盤状の金属部品のことです。たとえば3TBのHDDの中には1TBのプラッタが3枚内蔵するなど、HDDは複数のプラッタで構成されています。
RAID
複数のHDDを組み合わせることで1台のHDDが故障した際にもデータを保護するシステムのことです。
rpm
1分間にHDDのプラッタが回転する速度を表す単位です(rotation per minute)。7200rpm以上なら高速とされています。この数値が大きくなるほどデータの読み書きが速くなりますが、発熱しやすいデメリットも生じます。