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ソニーのエアコンさっそく着てみた! 冷温の自動切替でずっと快適REON POCKET 4

ソニーのウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET 4」(中央)と、連携する外付けセンサー「REON POCKET TAG」(右側)

ソニーの“着るエアコン”こと「REON POCKET(レオンポケット)」の新製品が4月に発売されます。2020年にクラウドファンディングから生まれたREON POCKETもいよいよ第4世代にまで進化しました。

新たに温湿度を正確に検知する外付けセンサー「REON POCKET TAG」と連動して、COOL(冷)だけでなくWARM(温)の機能もスマートに自動で切り替えます。年間を通じて便利になるポケットサイズのウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET 4」をさっそく“着て”みたのでレポートします。

第4世代のREON POCKETは対応アクセサリーも充実

REON POCKET 4は、専用ネックバンドが付属するキット商品として販売され、単品販売は行なわれません。理由をソニーでREON POCKETを担当する伊藤健二さんに取材したところ、「既存のREON POCKETのユーザーが、ほぼ100%専用ネックバンドを使っているから」なのだそうです。

REON POCKET 4を、同時に発売される専用ネックバンドに装着したイメージ

価格はオープンプライスですが、専用ネックバンドのみ同梱する「RNPK-4」は16,500円前後、外付けセンサー・REON POCKET TAGも同梱する「RNPK-4T」は18,700円前後での販売を見込んでいます。本体カラーはホワイト。

本体とネックバンド、外付けセンサーを同梱するキット商品「RNPK-4T」も発売されます

2022年発売の「REON POCKET 3」は本体が14,850円。同時期に発売された専用ネックバンド「NECKBAND 2」は1,980円前後(オープンプライス)だったので、一緒に購入するとほぼRNPK-4の価格になります。なので本体価格は“据え置き”に近いといえます。

REON POCKET TAG(以下:TAG)は単品で販売も行ないます。価格はオープンプライスですが、店頭予想価格は3,850円前後。TAGは今回の注目機能である「SMART COOL←→WARM MODE」のため必要になるアクセサリーです。特にWARMモードの自動切り替えはTAGがないとできません。先にREON POCKET 4とネックバンドを買って夏を涼しく過ごし、秋以降にTAGを買い足すのもありですが、品切れには要注意です。

大きく変わったデザイン。バッテリーの駆動時間は約2倍に

REON POCKET 4は本体のデザインが変わります。REON POCKETは内部に空気の循環をつくり、本体に内蔵するペルチェ素子による冷却性能を維持する構造としています。空気を取り込むための吸気口は第3世代機まで本体の正面向きにデザインしていました。新製品は吸気口を下向きにして、REON POCKETを装着した上から衣服を着た場合でも吸気効率が下がらないようにしています。正面パネルには細かなラインをデザインしたことで指紋の付着が目立ちにくくなりました。

新しい第4世代のREON POCKETは左の第3世代のモデルから大きくデザインが変わりました
吸気口が正面向きに配置されている第3世代機(左側)に対して、衣服に触れて吸気効率が下がらないように下向きの吸気口とした第4世代機(右側)

本体に内蔵するバッテリーは容量が約2倍に増えています。第3世代機に比べるとバッテリーによる駆動時間も約2倍に伸びています。内部の放熱機構はファンを大型化したことで、吸熱性能も約1.2倍になり冷却効率がアップしました。

ペルチェ素子を組み込む背面の冷温ステンレスパネル側は見た目に何も変わっていません。本体が3mmほど厚くなり、重量も少し増えていますが、長時間身に着けることが苦になるほど重くはないと筆者は感じます。

奥の第4世代機は本体が3mmほど厚くなっています

ネックバンドはフィット調節の自由度が高くなった

本体の縦横サイズ、冷温パネルの形状は変わっていないため、専用ネックバンドは従来の製品と互換性があります。専用のインナーウェアやビジネスシャツのポケットにも入ります。

よりフレキシブルに折り曲げられるようになったネックバンド

新しく発売されるネックバンド(RNPB-N3)は中軸のワイヤーフレームと、自由に形状を変えたまま保持できるメカニカルフレキシブルチューブ、シリコンラバー被覆による3層構造として、フィット感が調整しやすくなりました。RNPB-N3はオープンプライスですが、1,980円前後で単品販売もされます。第3世代以前のREON POCKETや、個人に合わせた温度調節をサポートするサービス「REON WIZ」の端末に装着して使うこともできます。

第3世代のREON POCKETと新発売のネックバンドを組み合わせたイメージ

なお、新しいネックバンドをベースに、女性のためにスモールサイズとした「RNPB-N3S」も同時期に発売されます。価格はオープンプライスですが、こちらも1,980円前後になる見込み。REON POCKET 4とのセット販売はありません。本製品だけカラーはベージュになります。つまりREON WIZに同梱されるネックバンドと同じものです。

人が汗をかく不快な状態を正確に検知

REON POCKET 3には吸気口で取り込んだ空気から、身に着けている人の「衣服内の温度」を測るための温度センサーが吸気口の近くに内蔵されていました。REON POCKET 4ではこのセンサーを「温湿度センサー」に変更しています。アップデートを決めた意図をソニーの伊藤さんに聞きました。

「湿度を検知することで、ユーザーが汗をかいているか正確に判定できるようになります。通常、人が汗をかくと衣服内の湿度は約2倍に高くなります。さらに、衣服内の温度と室内の湿度から不快係数を導き出すアルゴリズムを搭載しました。“外は涼しいけれど、体が熱くなっている状態”の時にCOOLモードを効果的に働かせます」(伊藤さん)

冷温パネル側は新旧REON POCKETでほぼ同じデザインになっています

温感モードも賢く自動で制御する

REON POCKET TAGは、新しいREON POCKETの真価を引き出すために欠かせないアクセサリーです。TAGのサイズは500円玉をふたつ並べたほど。温湿度/照度/近接/加速度センサーを内蔵するTAGを、衣服やバッグなど外気に触れる箇所に装着すると、周辺の環境を検知してREON POCKETに知らせます。

TAG本体は防水設計としているので、雨濡れを気にすることなく使えます
背面がクリップになっているREON POCKET TAG。衣服のポケットやバッグにしっかりと固定できます

本体とTAGとの間はBluetooth Low Energy(BLE)で接続します。電源はボタン電池(CR2032)1個。TAGは環境のセンシングを絶えず実行していますが、最も電力を消費する無線通信は、ユーザーがTAGを装着して動いている間は15秒に1回、動いていない時には1分間に1回行ないます。通信の頻度を極力減らすことで電源の消耗を抑える設計として、1個のボタン電池で約1年間の連続駆動を実現します。

REON POCKETアプリにTAGをペアリング。TAG本体のボタン操作だけで簡単に接続できます。
TAGの電源は汎用性の高いボタン電池。普通の使い方で約1年間持続するスタミナを実現しました

TAGが検知した温湿度の情報はREON POCKETアプリに送信されて、本体の冷温を自動で切り替える「SMART COOL←→WARM MODE」を制御します。

REON POCKETアプリにTAGが記録した使用環境の温湿度情報が表示されます

ソニーが2022年に発売したREON POCKET 3には、本体に内蔵する複数の温度センサーにより体表面と衣服内の温度を計測、“冷感慣れ”を防いで快適さを長続きさせる「SMART COOL MODE」が採用されました。REON POCKET 4もデバイス単体で同じ機能が使えます。

夏場は薄着であることから、デバイスの上に服を着ている状態でも「暑さ」に合わせたSMART COOL MODEの制御がある程度正確にできます。ところが厚着になる冬場はREON POCKET単体で外の温湿度を計測することが困難であることから、衣服の外側につけるセンサーと連携するという手法が採られました。そして実現した新機能が「SMART WARM MODE」です。

TAGとの連携により実現した新しい「SMART WARM MODE」。TAGがポケットやバッグに入った状態で使うと、アプリの画面にアラートが表示されます

SMART WARM MODEは、アプリのオプション設定から「ぬるめ」「少しぬるめ」「普通」「少し温かめ」「温かめ」の5段階から強弱が選べます。設定後はSMART COOL MODEと同様、「ターゲット温度」の枠内で温度を上下しながら、心地よい温感が長続きするようデバイスがスマートに調整します。

SMART WARM MODEも好みの温度を5段階から選べます

小さなTAGは近接・加速度センサーも内蔵しています。その理由は、ユーザーがデバイスをポケットやバッグの中に入れてしまった際に通知するためです。ジャケットのポケットの中のように、TAGのまわりに近接するものがあると正しい温度が計れないので、温感動作が不正確になります。TAGをポケットに入れると、すぐアプリの画面にアラートが表示されます。

冷温感をボーダーレスに自動制御。省電力にもつながる

TAGの誕生により、冷温モードの進化型である「SMART COOL←→WARM MODE」も実現しました。

アプリのオプション設定からユーザーの好みに応じた「切替温度」を設定すると、周辺温度を超えたときにSMART COOL/SMART WARM MODEが起動します。冷温感モードをボーダーレスに往来しながら、REON POCKETがユーザーを冷やしたり温めたりしてくれます。

TAGとの連携により実現した「SMART COOL←→WARM MODE」。冷感・温感どちらのモードも好みの温度設定ができます。運転を必要としない温度環境にいる時には消費電力をセーブするために運転を一時停止します

環境の温度が設定した「COOLとWARMの間」だった場合、バッテリーの浪費をセーブするため本体の動作を停止します。

東京近郊は例年よりも少し暖かい春を迎えていますが、朝晩は冷え込んだり、雨が降ると気温が20℃台を下回って少し肌寒くなります。反対に商業施設に入ると、今度は急に暑くなったりもします。新しいREON POCKETとTAGは“身に着けっぱなし”の状態で無駄にバッテリーを消費することなく、常時ベストな冷温感に整えてくれます。

筆者も初代のモデルから長くREON POCKETを使っていますが、いよいよ新製品は季節を問わず身に着けていたいウェアラブルサーモデバイスになった手応えがあります。

雨の降る肌寒い日に「SMART COOL←→WARM MODE」機能をテスト。20℃を切る屋外ではWARMモードに素早く切り替わり、REON POCKETが体を温めてくれます

単体で販売されるREON POCKET TAGを購入して、アプリを最新バージョンに更新すればREON POCKET 3のユーザーも「SMART COOL←→WARM MODE」が使えます。4,000円を切る手頃な価格のTAGを足すだけで、REON POCKETの使い勝手が飛躍的に高められるなら買わない手はありません。

そしてiOS版のREON POCKETアプリは、最新バージョンの「1.40」以降からwatchOSに初めて対応しました。取りあえず実現した機能は、TAGが計測した現在の温湿度をApple Watchの画面で見られるところまでですが、あると便利な機能です。

REON POCKET TAGが計測した温湿度がApple Watchの画面で確認できます

新たに「SMART COOL←→WARM MODE」が追加されたことで、「屋外は暑く、室内は冷房がきつくて寒い日本の夏」もより健康・快適に乗り切ることができそうです。大きなステップアップを果たしたREON POCKETと、連携するアクセサリーのREON POCKET TAGに要注目です。

山本 敦