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シェアサイクルが地方の「バス全然来ない」問題の解決策になり得るかもしれない

 2023年12月某日、実家の諸手続きのため福島県郡山市へ帰省していたのですが、訳あって栃木県の宇都宮市役所から書類を取り寄せる必要が出てきてしまいました。

 そこで宇都宮市役所に問い合わせたところ、郵送で書類を送ってもらうには10日くらいかかってしまうとのこと。

 ですが郡山~宇都宮間は新幹線を使えば30分ほどと比較的近く、市役所への往復移動を含めても数時間で行って帰ることができる距離。

 年末で手続きが遅れると年を越してしまうという事情もあり、お金はかかるが背に腹は代えられないと、宇都宮市役所に行って直接書類をもらってくることにしました。

2023年12月に急遽訪れた宇都宮駅。市役所があるのは駅の西側なので、駅の東側を走るLRTの恩恵は全く得られない

 宇都宮市といえば2023年にLRTが開通したことで話題となりましたが、宇都宮市役所があるのはLRTの路線とは全く逆方向。

 そのためLRTには目もくれず宇都宮駅からバスに乗り、無事市役所に到着して書類は取得できたのですが、問題は帰りのバスがないことです。

 地方在住の方ならご存知の方も多いかと思いますが、そこそこの規模の都市であっても利用が少ない昼間の時間帯はバスの本数が少ない空白の時間帯が多く、1時間かそれ以上待つことも少なくありません。

 そして筆者が市役所を出た時もちょうどバスがない、空白の時間帯に当たってしまったのです。

 実は郡山駅に行く際にも同様にバスが来ない時間帯に当たってしまいまして、近くのタクシー会社を訪れたら「30分くらいかかる」と言われるなど、タクシーが全く捕まらない状況。

 結局駅まで歩くのが最も早いと判断し、30分以上歩く羽目にあってしまったのです。

 宇都宮市役所からも大体30分歩けば宇都宮駅に着くようなのですが、既にしこたま歩いているためこれ以上歩きたくない。幸いタクシーは捕まえられそうだったのですが、新幹線代を費やしているだけにお金もなるべく節約したい。

 どうしたらいいものか……としばらく市役所周辺をうろうろしていたところ、目に入ったのが「LUUP」の電動キックボードでした。

 よくよく調べてみると、宇都宮市では2022年12月よりLUUPを用いた自転車・電動キックボードのシェアリングサービスの実証実験をしているとのこと。2023年に期間延長がなされ、2024年3月末までサービスの利用が可能となっていました。

宇都宮市ではちょうどLUUPによる実証実験が実施中。市役所と駅にもポートが用意されていた

 それゆえ宇都宮市役所にはLUUPの電動キックボードや電動アシスト自転車がずらりと並んでおり、宇都宮駅にも返却するポートが設置されている模様。LUUPならタクシー代を払うより安く利用できることから、これを利用して駅に戻ることにした訳です。

市役所の前にはLUUPの電動キックボードや電動アシスト自転車がずらり。筆者は今回、自転車を使うことに

 今回筆者は荷物を持っていたこともあり、キックボードではなく自転車を使うことに。

 借りる時や返却する時の手続きは東京でLUUPを利用するのと大きく変わらず、スマートフォンさえ持っていれば難しいことは特にありません。それでいて歩くよりもはるかに速く、しかもあまり疲れることなく移動ができたのは非常に有難い所です。

駅近くのポートまで移動して返却。各種手続きは通常LUUPを利用するのと大きく変わらない。

 ちなみに宇都宮での料金は30分当たり165円と、東京よりやや安めの設定なのですが、さらに25%オフのクーポンが適用され124円で利用できました。タクシーを使えば1000円程度かかることを考えると、お財布に優しいのも嬉しい所です。

利用料は165円と東京より安め。さらにクーポンの適用で実際の支払いは124円で済んだ

 最近では人口減少やドライバー不足で減り続けている公共交通の空白を埋めるため、ライドシェア解禁に向けた議論が進んでいるようです。

 ですが地方のターミナル駅から郊外の住宅地といったように、バスで通勤・通学するくらいの距離であれば、多少広域でも自転車や電動キックボードで十分カバーできるケースが多い気もしています。

 もちろん高齢者への対応が難しいことや、天候に利用が左右されるなどの問題はあるのですが、今回の経験から公共交通の不足をカバーするのに、運転手の必要がないシェアサイクルや電動キックボードがもっと積極活用されていいのでは? とも感じた次第です。