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新社長モロー氏、日本ボーダフォンの改革姿勢を打ち出す

握手を交わす津田会長(左)とモロー社長(右)
 ボーダフォンは、4月1日に元ボーダフォンUK社長のウィリアム・モロー氏が新社長に就任したことに伴い、会長職に就いた津田 志郎氏とともに記者会見を開催した。

 ボーダフォンは今年2月、取締役代表執行役社長兼CEOに就任したばかりの津田氏が、突如社長を交代すると発表し、業界を騒がせた。今回の記者会見は、2月の発表の通り、4月1日付けで取締役代表執行役社長兼CEOに、元ボーダフォンUK社長のウィリアム・モロー氏が就任したことを受けたもの。なお、津田氏は同日付けで取締役会議長、代表執行役会長となる。


津田氏「ユーザーに選ばれる、愛されるボーダフォンにしていきたい」

取締役会議長、代表執行役会長の津田 志郎氏
 冒頭、挨拶を行なった津田氏は、「私とモロー氏が二人三脚の新体制で事業を行なう」と話し、2月の会見と同様、会長職に退くのではなく、モロー氏を社長に迎えて、2頭体制で事業を展開するとした。

 また、4月7日に発表された電気通信事業者協会(TCA)では、携帯電話加入者数が3カ月連続で純減となったボーダフォンだが、津田氏は、「3月は1月、2月より純減が鈍化している」と復調傾向であることを強調した。それでも、2004年度の純増数は89,300人に留まっている。

 同氏は2005年を「反転攻勢の年」と位置づけ、ボーダフォンの復活を目指すことを強調。「ユーザー第一の精神の元、全社員が一丸となって、日本企業のボーダフォンとして、日本のユーザーの期待に応えるサービスを提供していく」とアピールした。

 次いで、現状のボーダフォンの課題として、「2Gから3Gへの移行」と2006年にも開始される予定の「番号ポータビリティ」を挙げた。

 3Gへの移行については、昨年末より、ボーダフォングループ共通仕様の3G端末として、7端末を市場に投入。2月の発表会では、このコンバージェンスモデルが失敗ではなかったのかとする報道陣の声もあったが、同氏は「純減ながらも、3Gの純増数は過去最高となった」と語り、順調だとした。ただし、従来の端末より操作が難しくなったと言うユーザーの声や、3Gの契約台数で他キャリアに水を空けられている点には、満足していないという。なお、4月17日現在のボーダフォンの3G端末契約数は、累計で100万6,900台となっている。

 一方の番号ポータビリティ制については、「チャンスだ。既存のユーザーが離れることも考えられるが、ユーザーを増やせる」とし、新規・既存顧客の両方に魅力的なサービスを提供していくとした。

 「ユーザーに選ばれる、愛されるボーダフォンにしていきたい」。そう語った津田氏は、前述の課題に取り組むためのパートナーとして、モロー氏がふさわしいと述べた。津田・モロー体制では、責任の区分など、仕事の役割にはっきりとした線引きを行なわず、絶えず話し合いながら意志決定をしていくという。津田氏は、「ボーダフォングループの問題はモロー氏が力量を発揮する」としており、ボーダフォングループの一員としての同社の調整役をモロー氏に期待しているようだ。


共通モデルだけでなく、日本オリジナルモデルも提供

取締役代表執行役社長兼CEOに就任したウィリアム・モロー氏
 続いて登壇したモロー氏は、冒頭「皆さん、こんにちは」と、たどたどしいながらも日本語で挨拶。2003年まで日本テレコムの社長を務めていたモロー氏は、まず、ボーダフォンUKの社長から再び日本に戻ってきた背景を説明した。

 「津田氏より、競争の激しい日本の携帯電話市場に協力して欲しいとの要請があった」と語ったモロー氏は、「サリーン(ボーダフォングループCEO アルン・サリーン氏)は難しい判断を迫られた」とし、「日本のみならず、本国イギリスの携帯電話市場も重要だ」と続けた。

 また、「日本が好きだ。日本のボーダフォンに約10年間関わってきた」と自身の実績を明かした同氏は、「代理店、コンテンツプロバイダーなど、我々はチーム。ボーダフォンはあくまで日本の企業」とした。同氏は今後、90日以内に社内体制を「お客様主義」に変え、意志決定も早くしていくという。

 同氏は、「日本のボーダフォンは、イノベーション(改革、新しいもの)のエンジンを持っている。イノベーションがあるからこそ、ボーダフォンは復活できる。イノベーションを中心とした会社にしていきたい。現在の状況は、我々が期待していたものではなく、いつまでもこの状態を続けていくつもりもない」と語る。

 改革を強く打ち出すモロー氏は、今後の方針をわずかだが明らかにし、夏から秋にかけて新たな料金プランを発表し、数日内にパケットおよび音声サービスでの新サービスを発表するとした。

 さらに、他社と同様FeliCaも搭載。昨年末のコンバージェンスモデルでは、グループ共通仕様とするあまり、日本の携帯電話市場では目新しさが少ない印象もあったが、3Gについても今後、日本オリジナルのモデルを提供していくとした。

 今回の会見では、津田氏、モロー氏ともに、ユーザーの視点に立つことや、ボーダフォンが日本の企業であることを積極的にアピールしていた。挨拶の最後にモロー氏は、「ボーダフォングループの一員であることのメリットがある。日本が必要とするものを提供していきたい。日本の社会に貢献し、日本の習慣を尊重していきたい」と語った。


モロー氏「純減は継続傾向」

「FeliCa搭載端末も提供する」とモロー氏
 会見後の質疑応答では、さまざまな角度からボーダフォンの新体制について、意見が求められた。

 モロー氏は、コンバージェンスモデルについて、「日本に合ったいわゆる共通端末はない。日本のユーザーの要求は厳しく、戦略自体は正しいと思うが、そこまで到達するためには、欧州側のサービスを底上げする必要があるだろう。ならば、共通端末とともに、日本特有の端末を提供しなければならない」とした。

 さらに、津田氏は、「最初のコンバージェンスモデルは、世界共通に重点が置かれた結果、日本のユーザーへの配慮が欠けたと思う。ソフトウェア上で対応可能なものであれば、今後、可能な限り対応していく。しかし、日本のボーダフォン1社では、年末に7機種投入することは難しかっただろう」と補足。今後、日本市場向けには、日本オリジナルの3G端末、コンバージェンスモデル、そして短期的な対策として、PDC端末も投入するとした。

 また、国内ではプリペイド端末が悪い印象を持たれている点について、モロー氏は、「プリペイドについては誤解がある。他のマーケットでは、大変成功を収めており、イタリアは90%がプリペイド」と説明。ユーザーがプリペイド式の支払い方法を求めているとし、「ちゃんと説明して、今の状況を変えていきたい」とした。

 なお、モロー氏は、純減が続く契約数について、「永久的ではない」としたものの、今後しばらくはこの状態が続くとの見方を示した。また、「日本のボーダフォンの戦略について、混乱を感じている人もいるだろうが、3~6カ月以内に明確にする」とした。


4月下旬以降に発売予定の902Tもお披露目された 端末を開いたところ 背面部

背面部にシャッターボタンなど SDカードスロットを搭載 ボディカラーは、グロッシーレッド、パープリッシュシルバー、マットブラックの3色


URL
  ボーダフォン
  http://www.vodafone.jp/

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(津田 啓夢)
2005/04/18 20:19

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