ウクライナ各地に「ミサイル110発」、ロシアが最大規模の攻撃 31人死亡

[キーウ/ロンドン/ワシントン 29日 ロイター] - ロシアは29日、ウクライナに最大規模のミサイル攻撃を実施。ウクライナ当局者によると市民31人が死亡し、160人以上が負傷した。首都キーウ(キエフ)や南部、西部で住宅が、東部では産科病棟が攻撃を受けたという。
ゼレンスキー大統領は「ロシアは全兵器を投入して攻撃した。約110発のミサイルが発射された。大半は撃墜された」とテレグラムに投稿した。
バイデン米大統領は「この壊滅的な戦争が始まってから約2年が経った今も、プーチン大統領の目的が変わっていないと世界に痛感させた」とし、プーチン氏を「止めなければならない」と言明した。
ウクライナ外務省は、西側諸国による今後のウクライナ支援に不確実性が漂っているが、今回のミサイル攻撃はロシアと「休戦について協議すべきではない」ことを示していると指摘。クレバ外相は「今日、数百人ものウクライナ人が大きな爆発音で目を覚ました。ウクライナでの爆発音が世界中に聞こえることを願っている」とし、同盟国に対し長期的な軍事支援の継続を求めた。
当局者によると、キーウでは倉庫や住宅などが攻撃され少なくとも9人が死亡、30人が負傷した。
ウクライナ空軍のオレシュチュク司令官は「空からの最も大規模な攻撃」とテレグラムで述べた。空軍によると、ロシアが発射した合計158発の空中の「標的」のうち、巡航ミサイル87機とドローン(無人機)27機を撃墜したという。
ウクライナのウメロフ国防相は、今回のミサイル攻撃は戦略爆撃機18機が関与した「この戦争で最も大規模な空襲」と述べた。
ザルジニー総司令官は、重要なインフラや産業・軍事施設が標的になっていると述べた。
ウメロフ国防相はフェイスブックで、ロシアのミサイル保有量を考慮すれば「このような攻撃を継続できるし、今後も継続することは明らかだ」とした。
ウクライナ外務省は、今回のミサイル攻撃はロシアが2022年2月に侵攻を開始して以来、「ウクライナの都市や村に対する最大規模のミサイル攻撃の1つ」とした。
エネルギー省によると、南部オデーサ(オデッサ)、北東部ハリコフ、中部ドニエプロペトロフスク、キーウで停電が起きている。
ゼレンスキー大統領は最前線で最も激しい戦闘が行われた東部のアブデーフカを訪問。「防衛状況や基本的なニーズについて指揮官と話し合った」とした。
こうした中、英国防省は29日、ウクライナに約200発の防空ミサイルを供給すると発表した。
ロシア国防省は、12月23日以降にウクライナに対して「大規模な」攻撃を1回行ったと発表したが、詳細は明らかにしなかった。
<広範囲にわたる被害>
ウクライナ内務省は死者数を30人と発表しているが、各地の発表によると少なくとも31人が死亡している。
南東部のザポロジエ市では8人が死亡、13人が負傷した。民間のインフラ施設も攻撃を受けたという。
ドニエプロペトロフスク州では、ショッピングセンターや民家、集合住宅をミサイルが直撃し6人が死亡。この攻撃により産科病棟で火災が発生したという。
黒海の港湾都市オデーサでは、ミサイルが住宅を直撃し4人が死亡、子ども2人を含む少なくとも22人が負傷した。
ポーランドと国境を接する西部リビウ州では、重要インフラ施設にミサイルが着弾したと大統領府が発表。リビウ市では1人が死亡、30人が負傷した。3つの学校と幼稚園も被害を受けた。
北東部のハリコフ市では、倉庫や工業施設、医療施設、輸送拠点がミサイル攻撃を受け、3人が死亡、13人が負傷した。
また、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランドはロシアのミサイルがポーランド領空で約40キロ飛行したもようと発表。3分以内にウクライナ領空に戻ったという。ロシア政府は現時点でコメントしておらず、NATOは引き続き「警戒」するとした。

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