20年度PB赤字11兆円、15年度半減見通し達成視野=内閣府試算

[東京 25日 ロイター] - 内閣府は25日の経済財政諮問会議(議長:安倍晋三首相)に「中長期の経済財政に関する試算」を提出、2020年度の国と地方の基礎的財政収支の赤字は国内総生産(GDP)比で1.8%(11.0兆円)となるとした。経済成長に伴う税収増を機械的に織り込み、今年1月時点の試算からは改善したが、巨額の赤字が依然として残る状況だ。
1月時点ではGDP比1.9%(11.9兆円)の赤字になると見込んでいた。これが0.1%ポイント(0.9兆円)改善した。
基礎的財政収支は、社会保障などの政策経費をどれだけ借金に頼らず賄えているかを示す指標。政府は15年度に赤字を半減させ、20年度に黒字にする目標を掲げている。
今回の試算では、15年度についてはGDP比で3.2%(16.1兆円)の赤字を予想。15年度半減目標(3.3%、16.8兆円)の達成が視野に入るかたちだ。
ただ、15年度の半減目標が達成されても、20年度に向けて巨額の赤字が残る状況は変わらない。内閣府では「20年度黒字目標達成のためには、さらなる収支改善努力が必要」としている。また、15年度の半減目標も達成までの余裕は7000億円程度しかなく、補正予算などを編成した場合は、達成が危うい状況となる。
一方、内外経済がより緩やかな成長となる参考ケースでは、20年度の基礎的財政収支赤字はGDP比2.9%の16.2兆円と試算している。
今後10年の平均成長率を実質2%程度、名目3%程度として試算した経済再生ケースに対し、参考ケースは今後10年の平均成長率を実質1%程度、名目2%程度としている。

石田仁志

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