2%物価目標達成は「日銀の責任」=安倍首相

2%物価目標達成は「日銀の責任」=安倍首相
3月7日、安倍首相は、2%の物価目標について、政府にも責任があるというと誰に責任があるのかわからなくなるとの認識を示し、あらためて、物価目標達成の責任は日銀にあると述べた。2月撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)
[東京 7日 ロイター] 安倍晋三首相は7日午後、衆院予算委員会で、2%の物価目標について、政府にも責任があるというと誰に責任があるのかわからなくなるとの認識を示し、あらためて、物価目標達成の責任は日銀にあると述べた。
一方、将来の金利上昇時のリスクについて、西村清彦日銀副総裁は、日銀保有国債が長期金利1%上昇で2.3兆円の含み損が発生することを明らかにしたほか、安倍首相も景気が悪化するだけでなく国民生活に重大な影響を与えると認識していると述べ、財政健全化への取り組みを継続していくとした。
2%の物価目標に向けて日銀だけでなく政府も財政出動や成長戦略において責任を持つべきではないかとの岡田克也氏の質問に対し、安倍首相は「どの責任が誰にあるかはっきりしておく必要がある。2%のターゲットについて、こちらにも責任があると言ったら、責任がどこにあるのかわからなくなる。これは日本銀行の責任だ」と繰り返した。
さらに新総裁候補に提示した黒田東彦氏や2人の副総裁候補についても「強烈な使命感をもって達成するとおっしゃっている」とした。そのうえで「政府としても、デフレ脱却の恩恵を国民が享受するまでの期間を短くしていくためにも財政政策を行い、何回も財政政策を行うわけにはいかないので成長戦略も行う」との考えを示した。
一方、首相との認識の差を問われた麻生太郎財務相は「一義的には日本銀行にあるというのは法律にもある。しかしきちんと物価を上げていくためには日銀だけに責任を押し付けるのではなく、政府としてもやることがあるとして三本の矢と言っている」と述べた。
原口一博氏は安倍政権の経済政策と財政信認への影響について質問した。日銀のバランスシート上の国債保有について西村副総裁は、日銀の総資産残高は1992年に比べて3.6倍に、保有国債は5.7倍に膨らんだと説明。さらに10年物金利が1%上昇した場合、日銀保有の国債の含み損が2.3兆円発生すると説明した。
長期金利上昇のリスクが懸念される中で、財政規律について安倍首相は「仮に財政持続可能性への信認が失われるなどの理由で、国債価格が下落し、金利が高騰するようなことがあれば、企業の資金調達を妨げ景気回復の足を引っ張るだけでなく、住宅ローンの返済などを通じて経済・財政・国民生活に重大な影響が及ぶと認識している」と述べた。「政府としては、そのようなことを決して招くことのないよう、中長期的な財政健全化の取り組みを継続し、財政運営の信認を確保していかねばならない」とした。
(ロイターニュース 中川泉:編集 内田慎一)

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