アングル:みずほ頭取が国会へ、火の粉拡大を懸念する金融庁

アングル:みずほ頭取が国会へ、火の粉拡大を懸念する金融庁
11月8日、衆院財務金融委員会は、みずほ銀行が提携ローンを通じた暴力団組員への融資を放置していた問題で、佐藤康博同行頭取(写真)の参考人招致を決めた。写真は10月、都内で撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)
[東京 8日 ロイター] -衆院財務金融委員会は8日、みずほ銀行が提携ローンを通じた暴力団組員への融資を放置していた問題で、佐藤康博同行頭取の参考人招致を決めた。
みずほ銀を含めた金融機関の反社会的勢力向け取引しゃ断の実態と今後の取り組み姿勢が焦点になるが、金融庁の検査、行政処分が果たして適切だったかどうかも質疑のターゲットに挙がる可能性があり、火の粉をかぶるリスクについて金融庁も神経をとがらせている。
複数の関係者によると、金融庁は自民党など与党に対して佐藤頭取の招致見送りを働きかけていた。「みずほ銀個社の問題として焦点を当ててしまうと、同時に金融庁の検査や処分が適切だったかどうかにも矛先が向かうおそれがある」(関係者)からだという。
みずほは当初、金融庁に対する報告で「経営レベルに情報が上がっていなかった」としたが、実際には取締役会に提出された資料には反社向け取引情報が載せられていた。「取締役会資料に載っている資料を見逃したという点では、金融庁検査も同じ。金融庁が見抜けなった責任はどうなるのか」(大手行役員)との批判が、金融界から上がっている。
実際、金融庁は検査の際、資料の提出を受け1年分を精査したものの、それより過去の資料をさかのぼって検証していなかったことが明らかになっている。
「限られた時間と人員の中で、検査は効率的に遂行しないといけない」(金融庁幹部)とのスタンスが金融庁の言い分だ。国会での質疑では、この金融庁の主張に対し、どのような批判が出て来るのかが、もう1つの焦点になりそうだ。
五味広文・元金融庁長官は、金融庁検査について「必要以上に検査に完璧さを求めると、従来以上に細部まで点検せざるを得なくなる。銀行側の説明をすべて疑ってかかるのは、はなはだ建設的ではない」と話している。

布施太郎 平田紀之 編集:田巻一彦

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