経済再生・財政再建・社会保障改革を同時達成=所信表明で首相

経済再生・財政再建・社会保障改革を同時達成=所信表明で首相
10月15日、安倍首相は、衆議院本会議で所信表明演説を行い、経済再生、財政再建、社会保障改革を同時に達成しなければならないと語った。写真は都内で1日撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 15日 ロイター] - 安倍晋三首相は15日午後、衆議院本会議で所信表明演説を行い、経済再生、財政再建、社会保障改革を同時に達成しなければならないと語った。
安倍首相は来年4月からの消費税率引き上げを決断したことに関連して、経済政策パッケージを果断に実行し、日本経済を持続的に成長させると明言。経済政策パッケージは日本の景気を押し上げる一過性のものではなく、賃金上昇と雇用拡大を実現するための未来への投資だと位置付けた。さらに消費増税と、強い経済の実現で、中長期の財政健全化目標の実現を目指すとした。
安倍首相はこれまでの「三本の矢」による経済政策で世の中の空気は一変したとしながらも、景気回復の実感は全国津々浦々まで届いておらず、デフレからの脱却はまだ道半ばだとの認識を示した。
東日本大震災からの復興に関しては、今後とも東京電力<9501.T>福島第1原子力発電所の廃炉・汚染水対策を全力でやり抜くとし、東電任せにするのではなく、国が前面に立って責任を果たしていくと述べた。
成長戦略の実行に関しては、「企業実証特例制度」の創設や研究開発促進、設備投資の後押しへ向け今後3年間を「集中投資促進期間」にするとあらためて表明。税制、予算、金融、規制制度改革などあらゆる施策を総動員するとした。さらに、経済の好循環を実現するため、政労使の連携を深めると述べた。
外交・安全保障では、積極的に世界の平和と安定に貢献する「積極的平和主義」が、日本が背負うべき21世紀の看板だと指摘。「現実」を直視した外交・安全保障政策の立て直しを進め、国家安全保障会議を創設することで官邸の司令塔機能を強化すると語った。
「心 志あれば 必ず便宜あり」──安倍首相は、あらゆる課題に同時並行で取り組んだ明治時代の日本で、中村正直が著書「西国立志編」の中で英国人スマイルズの言葉をこう訳したことに触れ、意志さえあれば必ず道は拓けると強調。明治人の「意志の力」に学び、前に進んでいくしかないと述べた。
(石田仁志)

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