訂正:富士フイルムがオリンパスに出資提案、テルモも追加出資を検討

富士フイルム、オリンパスとの資本提携をきょう提案=専務
1月30日、富士フイルムホールディングスの中嶋専務執行役員は、オリンパスとの提携について、同日付でオリンパス財務アドバイザーのSMBC日興証券を通じて提案書を提出したことを明らかにした。写真は昨年12月撮影(2012年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 30日 ロイター] 富士フイルムホールディングス<4901.T>は30日、オリンパス<7733.T>に対して資本提携の提案を行ったことを明らかにした。同日付で、オリンパス財務アドバイザー(FA)のSMBC日興証券を通じて提案書を提出した。
一方で、テルモ<4543.T>も同日、現在、2.1%を保有するオリンパスへの追加出資について「あらゆる選択肢がある」として検討していることを明らかにした。
富士フイルムの中嶋成博専務執行役員は同日の決算会見で、オリンパスとの提携について「資本参加と人材の協力を考えていくことになると思う」と述べた。出資比率など提携案は「現段階で詳細はお話しできない」としたが、提案に至った基本的な考え方として「内視鏡事業に知見がある富士フイルムとの連携で、継続的、安定的に医師や医療施設をサポートできる。さらに、オリンパスの内視鏡事業は、富士フイルムのIT(情報技術)システム、エックス線画像診断装置、超音波診断装置などとの連携でシナジーが期待できる」と強調した。
軟性内視鏡の分野で約70%の世界シェアがあるオリンパスに対し、同分野での富士フイルムのシェアは約15%。独占禁止法が懸念されるが「独禁法に抵触しないで、なおかつ両社のシナジーを発揮できる場があると考えている」と述べた。さらに中嶋専務は、内視鏡事業だけでなく「デジタルカメラ等の映像分野でも相互の技術活用や共同開発など期待できるメリットは大きい」とした。
オリンパスとの資本提携候補としては、ソニー<6758.T>やパナソニック<6752.T>、テルモの名前が挙がっている。これに対して中嶋専務(訂正)は「富士フイルムはヘルスケアで予防・診断・治療まで一貫したものを持っている」と指摘した上で、「名前の出ている他社と比べると、やはり当社がベストパートナーとして考えられる」と強調した。
<テルモ、追加出資は「今後の状況見極めたうえで」>
一方、テルモの羽田野彰士執行役員も同日の決算会見でオリンパスとの提携について言及。現在、2.1%を保有するオリンパスへの追加出資について「テルモが事業会社として大きな株主であることに間違いはない。お互いに提携して進んでいるので、あらゆる選択肢が考えられる」と述べた。ただ、追加出資の具体的な提案については「そういうことも検討しているが、公表できる状況にはない」とするにとどめた。
両社のシナジーについては、オリンパスの内視鏡とテルモのカテーテルにおいて「治療にかかわる分野でお互いの力が出せる」とし、人工骨や再生医療に関する両社の合弁会社「オリンパステルモバイオマテリアル(本社:東京都新宿区)」も継続していく考えを示した。
オリンパスとの関係については「医療機器と治療機器のノウハウをお互いに知っている両社は提携のメリットが大きい」と指摘。さらに「5年先、10年先に日本発で治療機器に使える医療機器の開発をできるような提携関係に進んで成果が出てくればよい」と述べた。
今後の提携強化のためにオリンパス株の買い増しをする意向については「今の2.1%を特にどれだけということはないし、今のままでできることはある」とも述べた。一方で追加出資に関わることは「今後の状況を見極めた上でということでコメントは控える」と繰り返した。
テルモはオリンパスと2001年に業務提携し、05年に資本提携を結んだ。昨年11月にオリンパス株の一部を売却し、保有比率が2.5%から2.1%に低下した。
(ロイターニュース 村井令二 清水律子;編集 宮崎亜巳)
*30日に配信した以下の記事で、5段落目の「高橋専務」を「中嶋専務」に訂正して再送します。

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