ソニー4年連続の中間最終赤字、中国スマホ事業は縮小へ

ソニーは4年連続の中間最終赤字、モバイル減損響く
 10月31日、ソニーは2014年4─9月期の連結当期純損益を1092億円の赤字と発表。モバイル事業が不振で、中間期として4年連続の最終赤字となった。東京の家電量販店で撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 31日 ロイター] - ソニー<6758.T>が31日発表した2014年4─9月期の連結当期純損益は1092億円の赤字だった。スマートフォン(スマホ)の不振によりモバイル事業で1760億円の減損を計上したのが響いた。中間期として4年連続の最終赤字となった。中国市場でのモバイル事業は大幅に縮小する方針。
2015年3月期のスマホの販売計画は4100万台(従来予想は4300万台、前年同期は3910万台)に下方修正した。期初計画は5000万台だったが、今期に入って2度目の下方修正。小米科技など中国メーカーの台頭で苦戦した。
減損の計上と台数計画の下方修正によって、モバイル事業の通期営業損益計画は2040億円の赤字(従来予想は収支均衡)に引き下げた。ソニーは30日、スマホ事業のトップ交代を発表。子会社、ソニー・モバイルコミュニケーションズ社長の鈴木国正氏を事実上更迭し、構造改革担当の十時裕樹氏を充てて、事業再建を図る。
記者会見した吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)は「モバイル事業は、各国ごとに商品力を強化して収益を重視する」と述べ、鈴木氏の敷いた拡大戦略を転換する方針を示した。特に、苦戦する中国市場については「大幅に縮小する」と述べ、中国専用モデルの開発と販売を打ち切る方針を示した。
<モバイル除けば堅調、通期予想は維持>
一方で、ゲーム事業は好調。据え置き型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の販売拡大が寄与した。4―9月期の営業損益は261億円の黒字(前年同期は205億円の赤字)だった。通期の営業利益は350億円(従来計画250億円)に上方修正した。   
今期のゲーム販売計画は、据え置き型機(PS4/PS3)が1700万台、「PSヴィータ」など携帯型機が350万台の計画を維持した。
さらにデバイス事業も好調。CMOSイメージセンサーが、世界のスマホ向けに出荷を拡大した。4―9月期の営業利益は421億円(前年同期は227億円)で、通期の計画は670億円(従来計画510億円)に上方修正した。
分社化したテレビ事業も堅調で、7―9月期は4―6月期に続いて黒字だった。2四半期連続の黒字は03年10―12月から04年1―3月期に達成して以来。テレビの通期販売計画は1450万台(従来計画は1550万台)に下方修正。中南米市場で数を絞り込んで、引き続き通期の黒字化を目指す。 
課題のエレクトロニクスは、スマホを除けばほとんどの事業で4―6月の損益は改善した。減損処理額の影響を除けば、エレクトロニクス事業全体で197億円の黒字を確保。吉田CFOは「エレクトロニクスの構造改革の効果は出始めている」との認識を示した。
これを受けて、2015年3月期の連結当期純損益予想は2300億円の赤字(前年同期は1284億円の赤字)を据え置いた。2年連続の最終赤字。トムソン・ロイターの調査によると、アナリスト14人の予測平均は2139億円となっている。
通期の構造改革費用は、モバイル事業の減損費用を加えて3110億円の計画。9月に発表した子会社ソニー・モバイルコミュニケーションズの約1000人の人員削減費用100億円も織り込んだ。ソニー・モバイルの人員削減のほどんどは中国市場が対象になる。
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村井令二

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