第3四半期米GDP確報値やや下方修正、堅調さ維持

第3四半期米GDP確報値やや下方修正、堅調さ維持
 12月22日、第3・四半期の米GDP確報値は2.0%増と、やや下方修正された。写真はニューヨークの百貨店で11月撮影(2015年 ロイター/Andrew Kelly)
[ワシントン 22日 ロイター] - 米商務省が22日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)確報値は、年率換算で前期比2.0%増と、改定値の2.1%増からやや下方修正された。市場予想は1.9%増だった。
第2・四半期の3.9%増からは減速したものの、潜在成長率に近い水準は確保した。在庫の解消で企業活動が鈍ってはいるが、個人消費や企業投資は好調で米経済の底堅さを示した。
米連邦準備理事会(FRB)は16日、翌日物金利の指標であるフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、年0.25-0.50%とした。利上げは9年半ぶりで、世界的な需要鈍化やドル高、エネルギー業界の投資削減などの逆風の中でも米経済への自信を示した。
MUFGユニオンバンク(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「今回の結果はFRBの利上げ開始を正当化するもので、2016年初頭の追加利上げに道を開くものとなった」と述べた。
所得面から経済活動を把握する国内総所得(GDI)は、改定値の3.1%増から2.7%増に修正された。企業利益の下方修正が響いた。
在庫投資は855億ドルと、改定値の902億ドルから下方修正された。GDPを0.71%ポイント押し下げたことになり、改定値の0.59%ポイントと比べ、マイナス方向に寄与度が拡大した。
ことしの上半期は在庫増加が過去最高となった。売れ残った商品が積み上がり、企業は在庫を増やすことを控えた。その後も在庫は高い水準にあり、第4・四半期も経済活動の重しとなる見込みだ。市場は第4・四半期のGDPを約2%増と予想している。
JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「在庫積み上げペースは依然として高水準にあり、今後も経済活動の重しとなると予想される」とし、来年第1・四半期に入っても経済活動の抑制要因になる可能性があるとの見方を示した。
GDPの3分の2以上を占める個人消費支出は3.0%増で、改定値から変わらなかった。サービス消費が下方修正される一方、モノの消費が上方修正された。
雇用市場が引き締まり、住宅価格も上昇していることが個人消費の追い風となっている。貯蓄は3年ぶりの高水準にある。低インフレも消費を促進している。
機器の設備投資は9.9%増と、改定値の9.5%増から上方修正された。
ドル高や世界的な需要低迷が重しとなっている輸出は0.7%増に下方修正された。輸入の上方修正された結果、貿易のGDPへの寄与度はマイナス0.26ポイントに押し下げ幅が拡大した。
貿易と在庫、政府支出を除いた国内民間需要は3.2%増で、0.1%ポイント上方修正された。
住宅以外のインフラ投資はやや下方修正された。原油安に伴うエネルギー関連企業の投資削減が続いていることを示した。
企業の税引き後利益は1.7%減。改定値の1.6%減から修正された。前年同期比は8.2%減と、改定値の8.1%減と比べてマイナス幅が拡大した。2008年の第4・四半期以来の大幅な落ち込みで、ドル高や原油安が重しとなっている。
*内容を追加しました。

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