アングル:23日からTPP首席交渉官会合、知的財産など難航も

アングル:23日からTPP首席交渉官会合、知的財産など難航も
 7月22日、TPPの首席交渉官会合が23日から米ハワイ州で始まるが、知的財産権をめぐって米国と新興国の対立が続いており、土壇場で難航する展開も。写真は米ペンシルバニア州スウィフトウォーターのワクチン工場。2009年9月撮影。提供写真(2015年 ロイター)
[東京 22日 ロイター] - 環太平洋連携協定(TPP)の首席交渉官会合が23日、米ハワイ州のマウイ島で始まる。参加12カ国間で残された問題を解決し、28日からの閣僚会合で大筋合意の成立を目指す。だが、知的財産権をめぐって米国と新興国の対立が続いており、土壇場で難航する展開も予想される。
最大の難関となっている知的財産権に関する問題では、新薬のデータ保護期間をめぐり、巨大医薬品メーカーを抱え、保護期間を長期化させたい米国と、後発医薬品を普及させたい新興国との間で激しい対立が続いている。
国有企業の扱いをめぐる問題でも、優遇措置をやめさせたい日米などと、国有企業を多く有するマレーシアやベトナムなどとの間で、なお攻防が予想される。
一方、日米間で協議されている関税の撤廃・削減問題は、甘利明TPP担当相とフロマン米通商代表部(USTR)代表との間で政治的決着が図られる見通し。
主食用のコメの輸入枠拡大の規模について、米国が17万5000トンを要請しているのに対し、日本は5万トンが限度だと主張している。
自動車・自動車部品では、日本からの輸出にかかる関税撤廃までの期間について調整が続いている。
関税に関する交渉で懸念要因となっているのが、カナダとニュージーランド。今年10月に総選挙を控えるカナダは、自国の農産品保護のため市場開放に消極的。甘利担当相は14日の記者会見で「間に合わない国は、後で参加してもらう選択肢もある」と述べ、カナダ抜きでの合意も暗にほのめかした。
同相は、ハワイの閣僚会合で大筋合意が成立する可能性について「70%」と見通しているが、12カ国全体で合意できるかどうか、不確定要素もまだ多く残されている。

宮崎亜巳 編集:田巻一彦

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