国連安保理、米ロ合意に基づくシリア化学兵器廃棄の決議案で合意へ

国連安保理、米ロ合意に基づくシリア化学兵器廃棄の決議案で合意へ
9月23日、フランスのファビウス外相は、国連安保理は先のスイス・ジュネーブでの米ロ合意に基づき、シリアの化学兵器の廃棄に関する決議案で合意するとの見通しを明らかにした。写真は国連本部(2013年 ロイター/Eric Thayer)
[国連/ソチ(ロシア) 23日 ロイター] - フランスのファビウス外相は23日、国連安保理は先のスイス・ジュネーブでの米ロ合意に基づき、シリアの化学兵器の廃棄に関する決議案で合意するとの見通しを明らかにし、シリア政府が決議に従わない場合の懲罰的措置を決議案に盛り込むというフランスの要求を取り下げる姿勢を示した。
ケリー米国務長官とロシアのラブロフ外相は今月ジュネーブで会談し、2014年6月までにシリアが保有する化学兵器を廃棄することで合意した。
世界の首脳が集まる今週の国連総会では、シリア内戦が最大の議題となる。米英仏露中の安保理常任理事国5カ国は、先の米ロ合意に基づく決議案について協議する会合を重ねている。
一部の国連外交官は、安保理内での意見対立が激しく、決議案での合意が可能かどうかに懸念を示していた。フランスは、安保理決議草案を先に示した際、アサド政権が合意条件に従わない場合に懲罰的措置を講じると盛り込むことも提案していた。
だが、西側諸国は、シリアが決議に従わない場合に自動的に懲罰的措置が下される「トリガー」条項を盛り込むことを断念しつつあり、ロシアと西側諸国が決議草案で合意する見通しは改善している可能性がある。
国連外交官が匿名を条件にロイターに語ったところでは、決議草案に関するすべての協議は、24日のケリー国務長官とラブロフ外相による米ロ会談まで保留状態にある。この会談ではシリア問題についても協議されるとみられている。
フランスのファビウス外相は23日、ニューヨークで記者団に対し、「われわれはジュネーブで示された見通しをそのまま受け入れるべきだ。そのうえで、われわれは合意に達するべきだ」と発言。シリア問題の安保理決議草案に国連憲章第7章に基づく強制措置を盛り込まないというロシア側の要求受け入れに前向きであることを確認する姿勢を示した。
ジュネーブでの合意内容によると、米ロが定めたシリアの化学兵器廃棄計画にシリアが従わない場合にシリアに制裁を科すには、国連安保理による別の決議案の採択が必要になる。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab