中国の銀行が迫られる巨額の不良債権処理、外国人投資家は商機狙う

中国の銀行が迫られる巨額の不良債権処理、外国人投資家は商機狙う
9月9日、中国の銀行は大規模な不良債権の処理を再び迫られているが、処理の効率性は高まりそうにない。2011年1月撮影(2013年 ロイター/Carlos Barria)
[香港 9日 ロイター] - 中国の銀行は大規模な不良債権の処理を再び迫られているが、処理の効率性は高まりそうにない。不良債権買い取りに特化した外国人投資家が虎視眈々(たんたん)とチャンスを狙っているものの、中国当局が大々的に外資に門戸を開く兆候は見られない。
エコノミストの中には、1990年代後半のアジア金融危機を受けた前回の不良債権処理時に比べ、一段と大規模な不良債権処理が求められるとの見方もある。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)がメディア報道を基に算出したところによると、1999─2007年における銀行の不良債権処理額は約3230億ドルだった。
外国人投資家による不良債権買い取りを禁じる根拠はないが、不良債権処理の事情に詳しい関係者らによると、1999─2007年当時と同じぐらい外国人投資家にとっての環境は厳しいという。
PwCの推計によると、2006年までに外国人投資家が買い取った不良債権額は265億ドル、不良債権処理のため中国国有4大銀行により創設された4機関が売り出した不良債権全体の約18%に当たる。
2002年から2007年までにゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、UBSといった投資銀行はこれら4機関から数十億ドルの不良債権を買い取った。
公表されているデータによると、銀行業界全体の6月末時点の不良債権額は5395億元(881億ドル)、不良債権比率は0.96%となり、7四半期連続で上昇した。
豊富な資金を持つ外国人を締め出せば、中国の納税者が最終的に再び泥をかぶることになりそうだ。不良債権が金融システムを損なえば、中国の大手行は貸出ペースを落とすだろう。景気の主要なけん引役であり、雇用創出面での存在感も大きい中小企業の成長が損なわれかねない。
今のところ、中国が外国人への開放促進を検討していることを示す兆候はほとんどない。
ロイターは8月、中国がローン債権の流動化に向け新たな取引システムの導入を試験運用している、と報道。不良債権の流動化につながるとの観測が浮上した。ただ、現時点で外国人がこのシステムに参加できるかどうかは不明のままとなっている。

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