ブラジル主要都市で大規模デモ、行政や警察への不満広がる

ブラジル主要都市で大規模デモ、行政や警察への不満広がる
6月17日、ブラジルの主要都市では、数万人の市民が劣悪な公共サービス、警察による暴力、政界の汚職に抗議してデモ行進を行った。写真はベレンで撮影(2013年 ロイター/Paulo Santos)
[サンパウロ 17日 ロイター] - ブラジルの主要都市では17日、数万人の市民が劣悪な公共サービス、警察による暴力、政界の汚職に抗議してデモ行進を行った。今月初めにサンパウロで始まった小規模な抗議運動が各地に拡大し、勢いを増しつつある。
17日にはサンパウロ、リオデジャネイロ、ベロオリゾンテ、ブラジリアなどで道路が封鎖され、交通が遮断された。一連のデモは、主にソーシャルメディアを通じた呼び掛けで組織され、平和的でお祭りの雰囲気が漂うものが大半。ただ、ここ2週間で相次ぐデモに、ブラジルの景気低迷、高いインフレ率、暴力犯罪の急増に対する不安はさらに募っている。
デモは今月、サンパウロでバスや地下鉄料金の小幅な値上げに対する小規模な抗議運動として始まった。当初はデモ参加者が店を荒らしたり、地下鉄の駅やバスを破壊する行為に多くの中間層が冷たい目を向けていたが、警察がデモ鎮圧に強硬手段を用いたため、抗議運動は急速に支持を集め、拡大している。
こうしたなか、ブラジルでは、来年開催されるサッカーワールドカップのリハーサルを兼ねるコンフェデレーションズカップが週末に開幕した。ブラジル政府は2016年に同国で開催される夏のオリンピックと合わせ、一連の国際舞台で新興国としての存在感を示したい考えだ。
また今年7月には、ローマ法王フランシスコ1世が法王就任後初めての外遊で、カトリック教会の祭典「世界青年の日」が開催されるリオデジャネイロを訪れる予定で、ブラジル政府は200万人以上の訪問者を受け入れる準備を進めている。
デモ隊は、ブラジルの公共サービスが劣悪な状態にもかかわらず、新たなスタジアムの建設に多額の公的資金を注ぎ込んでいるとして、コンフェデレーションズカップをやり玉に挙げ、開幕試合が行われているスタジアムの外で警官と衝突した。
一連のデモは勢いを増しているものの、ルセフ大統領への支持が幅広く低下する様子は見られない。ただ、デモ拡大が浮き彫りにしているのは、ルセフ大統領やその後のブラジルの指導者が直面するとエコノミストが指摘する課題、増加する中間層の要求を満たす公共サービスの提供だ。
ユーラシア・グループの政治アナリスト、クリストファー・ガーマン氏はリポートで「成長率が一段と低下する環境で、有権者は公共サービス全般にますます不満を抱く可能性が高い」と指摘する。

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