EU首脳会議でシェールガス開発を協議、足並みそろわず

EU首脳会議でシェールガス開発を協議、足並みそろわず
5月22日、EU諸国は首脳会議で、シェールガス開発について協議したが、明確な結論は出なかった。写真はファンロンパイEU大統領。ブリュッセルで撮影(2013年 ロイター/Laurent Dubrule)
[ブリュッセル 22日 ロイター] - 欧州連合(EU)諸国は22日開催した首脳会議で、シェールガス開発について協議したが、明確な結論は出なかった。
国内でもシェールガス開発を進めるキャメロン英首相は、欧州は世界のシェールガス開発競争に取り残されてはならないと訴えた。
シェールガスブームでエネルギー価格が大幅に低下した米国を引き合いに出し「欧州は米国の75%程度の埋蔵量があるが、米国は欧州を100倍上回るスピードで掘削を進めている」と述べた。
シェールガス開発をめぐり、域内では温度差がある。英国のような推進派に加え、開発を一切認めない強硬な反対派、依然として賛成、反対の立場が定まっていない国が存在するなどさまざまだ。
ポーランドやリトアニアは、シェールガスの開発、もしくは米国からの輸入を通じて、ロシア産天然ガスへの依存度低下に最も前向きとされる。
欧州委員会は環境基準は維持されるべきとの立場であるため、潜在的な投資家にとっては、土地所有や鉱物開発に関する複雑な規制が投資への阻害要因となることも考えられる。
また欧州のシェールガスは米国よりも岩盤層の深い所にあり、掘削コストが米国の3倍に膨らむといった問題もあるとアナリストは指摘している。
ファンロンパイEU大統領は、欧州はすべてのエネルギー資源を活用する必要があり、エネルギーの選択はそれぞれの国の決定によるとの考えを示した。
「シェールガスも対象だ。一部の国では使用エネルギーの1つとなる可能性がある一方、その他に国にとってはそれほどでもないかもしれない」とし、「エネルギーを輸入に頼るのは、近い将来欧州だけになる可能性がある。家計はコスト高に苦しみ、産業界は域外の国・地域との競争が困難になる」と述べた。

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