鳥インフルで中国鶏肉消費に打撃、飼料用大豆にも悪影響

鳥インフルで中国鶏肉消費に打撃、飼料用大豆にも悪影響
4月25日、鳥インフル感染が拡大する中国では、消費者が鶏肉を遠ざけるようになっており、飼料に使われる大豆の需要も落ち込む可能性が出てきている。写真は浙江省の家禽市場で18日撮影(2013年 ロイター)
[シンガポール/中国 25日 ロイター] 鳥インフルエンザ「H7N9型」の感染が拡大する中国では、消費者が鶏肉を遠ざけるようになっており、家禽や家畜の飼料に使われる大豆の需要も、今後何カ月にも渡って落ち込む可能性が出てきている。
中国は世界で取引される大豆の60%を購入しているが、同国の大豆輸入は今年すでに前年比で約13%落ち込んでいる。今後さらに輸入を減らせば、シカゴで取引されている大豆価格の最近の上昇にブレーキをかけることになるだろう。
鳥インフル感染の拡大を受けて、当局はこれまで何万羽もの鳥を殺処分した。感染者は108人にのぼり、死者は22人となった。
アナリストや業界関係者によると、中国東部では家禽販売が80%落ち込み、他地域でも30%減っている。鶏肉の売り上げが減退することで、飼料用大豆やトウモロコシの需要も落ち込むことは確実だ。
北京オリエント・アグリビジネス・コンサルタントのアナリストWang Siaoyue氏は「鳥インフル感染が当分続けば、今年の鶏肉消費は20─30%減る」と予想する。
<飼料価格に打撃か>
ラボバンク(香港)の家畜業シニアアナリストYves Chow氏は「全飼料生産の半分近くを家禽が消費するため、鳥インフルエンザは大きな影響をあたえかねない」と指摘する。
同氏によると、政府が感染をどれだけ迅速に封じ込められるかにもよるが、3カ月から半年は飼料市場の鈍化が続く可能性がある。
昨年まで中国の大豆輸入は8年連続で伸びており、2012年には5839万トンと、2000年の5倍近くになった。中国は世界の豚肉消費の半分を占め、家禽生産では世界市場の約15%となっている。
豚肉消費の力強い伸びを背景に、2012/13年度も大豆の輸入量は前年度並みになると中国国立穀物植物油情報センターは予想している。
しかし今年の1─3月期には、大豆輸入はすでに前期比13%超の減少を示している。汚染鶏肉の問題や、ブラジルからの出荷遅れが原因だ。
これによって大豆の在庫が減少しているにも関わらず、シンガポールにいる市場関係者は「買いを急ぐ動きはない」と言う。「通常はこのような状況ならば積極的な買いが見られる筈だが」とその関係者は指摘する。
大豆はすり潰して、トウモロコシと混ぜて家畜の飼料として使われる。
全世界の大豆生産量の4分の1近くを購入する中国の輸入が減ることは、シカゴ商品取引所の大豆先物にとっては弱気材料となるはずだが、今のところは米国の穀物供給逼迫が理由で中心限月は上伸している。
今後の影響はまだ分からないが、トウモロコシ輸入にも波及する可能性がある。国内の供給減を背景に、10月から始まる2013/14年度には、トウモロコシ輸入は過去最高の600─700万トンに達すると見込まれていた。
中国は「H7N9型」のヒトへの最初の感染を3月下旬に発表した。

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