アングル:ディスプレーの主役、LCDからOLEDへの交代進まず

アングル:ディスプレーの主役、LCDからOLEDへの交代進まず
12月11日、液晶ディスプレー(LCD)スクリーンは徐々に衰退し、軽量で薄型、強度の高い有機発光ダイオード(OLED)パネルがスマートフォンからテレビまで、あらゆる製品に使用されるようになるはずだった。課題はOLEDのコストだ(2012年 ロイター/Lee Jae-Won)
[ソウル 11日 ロイター] 消費者向け電子機器業界ではこれまで、液晶ディスプレー(LCD)スクリーンは徐々に衰退し、最終的には姿を消す運命にある、とみられていた。それに代わって、軽量で薄型、強度の高い有機発光ダイオード(OLED)パネルがスマートフォンからテレビまで、あらゆる製品に使用されるようになるはずだった。
ところが、LCDは今も画質の向上が続いており、そう簡単には道を譲るつもりはないようだ。それに加えて、OLEDに力を入れているサムスン電子<005930.KS>やLG電子<066570.KS>などの各社は、OLEDの価格を大量生産が可能な水準まで引き下げられないでいる。韓国勢2社は今年、55インチ(140センチ)のOLED搭載テレビを披露したが、その価格は1万ドル程度と、LCD搭載の同等品の10倍の水準に上った。これでは、一般の消費者向けに販売するのは厳しいだろう。
<OLEDは高コストがネック>
サムスンのスマートフォン「ギャラクシーS」や「ノート」に使用されているOLEDディスプレーは、未来のディスプレーモデルともてはやされ、テレビからコンピューター、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなどあらゆる製品でLCDに取って代わるとみられている。OLEDはエネルギー効率やコントラスト画像の点でLCDよりすぐれている。また、非常に薄いことから、OLEDを使った携帯端末は壊れることがなく、新聞のように丸めることが可能になる、とされる。
しかし、それにはまず、サムスン・ディスプレーやLGディスプレー<034220.KS>などOLEDパネルメーカーは、LCDに対抗できる水準にコストを引き下げるという製造上の課題を解決しなければならない。
一方、テレビ10台中9台で使われているとされるLCDパネルは、技術の向上が続いており、世界標準をめぐる戦いに負ける兆しはない。
HI投資証券のアナリスト、チョン・ウォンソク氏は「OLEDが主流になるには、まだ道のりは遠い。サイズの拡大や画質向上が必要だ」と指摘。「少なくとも向こう2、3年は、OLEDの使用は小さいディスプレーに限られるだろう。テレビパネルに大々的に使われるようになるのは2014年以降。ただそうなっても、技術向上の続くLCDテレビとの間で、厳しい競争になる可能性がある」との見方を示している。
ディスプレーサーチによると、OLEDが世界のテレビ・スクリーン市場で、10%弱のシェアを勝ち取るには、あと4年かかる見通しだ。

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