中国による北海石油事業の権益取得、原油の国際価格に影響も

中国による北海石油事業の権益取得、原油の国際価格に影響も
7月23日、中国海洋石油(CNOOC)グループによるネクセン買収と、中国石油化工(シノペック)によるタリスマンの北海事業の権益取得を当局が認可すれば、中国は間もなく世界の原油相場に大きな影響を与える北海産原油の供給をかなりコントロールすることになるだろう。 写真は2010年9月、上海で撮影(2012年 ロイター/Aly Song)
[ロンドン 23日 ロイター] 中国海洋石油(CNOOC)グループ<0883.HK>によるネクセン買収と、中国石油化工(シノペック)<600028.SS><0386.HK>によるタリスマンの北海事業の権益取得を当局が認可すれば、中国は間もなく世界の原油相場に大きな影響を与える北海産原油の供給をかなりコントロールすることになるだろう。
CNOOCは23日、カナダのエネルギー大手ネクセンを約151億ドルで買収することで合意したと発表した。また、シノペックは、カナダのタリスマン・エナジーが保有する北海事業の権益49%を15億ドルで取得することで合意した。
CNOOCがネクセン株を市場価格に61%上乗せした水準で取得するなど、買収プレミアムは高水準となっている。一方、両社とも声明で、世界原油相場における北海産原油の重要性にはさほど触れていない。
コンサルタント会社ウッド・マッケンジーのリードアナリスト、リンゼー・ウェクセルシュタイン氏は「北海での原油生産のかなりのシェアを占めることになる」と指摘した。
ロイターの試算によると、ネクセンとタリスマンの事業を含めたCNOOCとシノペックの原油生産は日量約30万バレル。これは、英領北海で生産される原油(日量約100万バレル)の3分の1に相当する。
CNOOCが取得する資産の中でも、ネクセンが43.2%の権益を保有するBuzzard油田が最も注目される。Buzzard油田の生産量は世界全体の0.2%に過ぎない。ただ、Buzzard油田は、ブレントと同じ英領北海で生産される原油でブレント原油価格に影響を与えるフォーティーズ油田を構成する原油を最も多く供給する油田。そのため、フォーティーズ油田での原油生産の減少、特にBuzzard油田の減産は、原油価格に大きな影響を与える。
このことは、2011年から2012年にかけ、Buzzard油田の生産問題によりフォーティーズ油田からの出荷が大幅に遅れたり取り消されたことから、北海地域からの原油供給低下に伴う需給ひっ迫懸念が高まり、ブレント原油価格が上昇したことでもうかがえる。
当時、市場参加者の中には、出荷遅延や取り消しの情報を他よりもいち早く得ていた人もいた。あるトレーダーは「油田の権益を確保すれば独占的な情報に一歩近づいたことになる」と指摘し、CNOOCは今後ネクセンからすぐに情報を入手できるという利点があるとの見方を示した。

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