焦点:不透明感増す中国自動車市場、減税効果も短命か

焦点:不透明感増す中国自動車市場、減税効果も短命に終わる懸念
 11月20日、中国の自動車市場は今秋に実施された乗用車購入への減税措置が功を奏し、2016年は今年を上回るペースで成長する可能性がある。しかし、業界専門家の間では、販売の伸び悩みは長期化し、業界再編は避けられないとの指摘も出ている。写真は北京の自動車ディーラー、9月撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[広州 20日 ロイター] - 中国の自動車市場は今秋に実施された乗用車購入への減税措置が功を奏し、2016年は今年を上回るペースで成長する可能性がある。しかし、政策の支援効果が長く続くとの見方は少なく、業界専門家の間では、販売の伸び悩みは長期化し、業界再編は避けられないとの指摘も出ている。
来年の中国市場について、アナリストの成長予想は年率1%から8%まで分かれている。今年は2%程度の拡大が予想される一方、来年の見通しに大きな幅があるのは、政府が実施した小型車向け減税の効果がどこまで持続するか不透明感があるためだ。
伸び悩みが続く自動車販売のテコ入れ策として、中国政府は今年10月から2016年末までの期限付きで、排気量1600CC以下の小型車の自動車取得税を10%から5%に引き下げる減税措置を始めた。
この結果、10月の新車販売は前年同期比11.8%増の222万1600台に拡大、昨年12月以来の2ケタ増となった。しかし、急増の背景には減税期限をにらんだ駆け込み需要がある、というのが多くのアナリストの見方。2017年以降は自動車販売の不振が再び表面化し、自動車各社が戦略見直しに追い込まれかねないとの予想もある。
「そうなった場合には、中国政府にとっては(業界に)厳しい再編を容認する以外の方策はないだろう」と市場調査大手JDパワーのシニアアナリスト、John Humphrey氏は指摘。また、調査会社LMCオートモーティブは、中国政府の今秋の減税措置を受けて来年の中国自動車市場の伸びを8.2%と予想したが、それ以降の販売見通しは引き下げ、2017年については4.5%にとどめた。
中国自動車市場はこれまで数十年にわたって2ケタ成長を続けており、自動車業界が大規模な構造改革を迫られることはなかった。一時的に販売が落ち込む状況になっても、中国政府が何度となく減税や補助金などで需要喚起を支援してきた。しかし、国内経済が減速し、政府の新たな財政措置が見込めなくなる中、自動車各社はかつてない厳しい局面に直面している。
各社の間にはまだ長期的な製造・投資計画を縮小する動きは出ていないが、独フォルクスワーゲン(VW)や米ゼネラル・モーターズ(GM)はすでに値下げを発表。一方、国内大手の広州汽車グループ<601238.SS><2238.HK>は40万台の生産増強計画を2020年まで延期することを決めた。この半分は来年に実施されることになっていた。

Jake Spring記者 白水徳彦記者 翻訳編集:加藤京子 北松克朗

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