個人消費、弱さ脱しつつある 物価基調は着実に改善=日銀総裁

個人消費、弱さ脱しつつある 物価基調は着実に改善=日銀総裁
 10月16日、黒田東彦日銀総裁は都内で開かれた全国信用組合大会であいさつし、個人消費はひと頃の弱さから脱しつつあるとの認識を示した。写真は都内で6月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 16日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は16日、都内で開かれた全国信用組合大会であいさつし、個人消費はひと頃の弱さから脱しつつある、との認識を示した。物価の基調は着実に改善し、目標とする2%に向かって上昇率を高めていくと語った。
総裁は日本経済について「輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられる」としたが、「企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかな回復を続けている」との認識を示した。
企業部門は9月日銀短観を踏まえ、過去最高水準の企業収益が想定される中で「積極的な設備投資スタンスが維持されている」と指摘。家計部門も、個人消費について「各種の統計で、7─8月は4─6月対比で増加している」とし、「天候不順の影響などによる、ひと頃の弱さから脱しつつある」と語った。
物価情勢は、足元で消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率がゼロ%程度に低迷しているが、エネルギー価格の下落が要因と説明。一方でエネルギーを除いたコアCPIの上昇率が1%を上回っていることを示し、「物価の基調は着実に改善している」と強調した。先行きも、物価の基調は着実に高まり、「物価安定の目標である2%に向けて上昇率を高めていく」と述べた。
海外経済については「中国を始めとする新興国経済が減速している」としたが、「先進国経済は堅調に推移しており、世界経済全体としては緩やかな成長が続いている」との認識を示した。
また、日本の金融システムは「安定性を維持しつつ、機能度を高めてきている」とし、金融機関や機関投資家の有価証券投資も「運用の多様化を進めつつ、リスク・テークを進める動きがみられている」との見解を示した。

伊藤純夫 編集:田中志保

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