TPP対応、対策費より成長事業に財政投入=諮問会議民間議員提案

[東京 16日 ロイター] - 政府は16日、経済財政諮問会議を開催し、TPP(環太平洋連携協定)合意を受けて国内対応策のあり方などを検討した。基本的な考え方として民間議員から、農業への打撃緩和のためのいわゆる「対策費」という考え方はとらず、成長に向けた攻めの事業に歳出を充てるべきとの方針が示された。
民間議員は、TPPの意義として特に「規制緩和、貿易円滑化や投資サービス分野での制度標準化が重要」だとして、日本にとって主に非関税障壁での経済効果が大きいと位置づけた。日本はアジア太平洋地域で経済ルールメーカーとして主導的地位を確保することになるとして、最終的には東アジア地域包括的経済連携(RCEP)やアジア太平洋経済協力(APEC)などを含むFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を目指すべきとした。
農業については、「いわゆる対策費的な考え方ではなく、日本の農業の構造を着実に強化していくための改革工程・時間軸を明確にし、それに沿った対応が必要」と明記。農家保護のための単なる「対策費」には否定的な方針を示した。
TPP合意により、国民が安価な農産品を輸入できるメリットを挙げ、生産者には競争が激しくなる一方で、高付加価値農産品の輸出チャンスにもなるとして、農業の企業経営化や農地集約化、6次産業化、輸出促進に一層取り組むべきだとした。
またTPPを契機に「再興戦略」関連事項で前倒し実施すべき重点策が示された。
重点策としては挙げたのは、事業再編促進やコーポレートガバナンス強化、IT経営促進などの産業新陳代謝、地域ブランド化など地域構造改革、6次産業化による畜産・酪農の成長産業化、ジャパンブランドの推進、企業の海外展開支援、クールジャパン推進、対内直接投資活性化に向けた外国語表記や無料公衆WIFI整備等をあげた。

中川泉 編集:佐々木美和

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab