情報BOX:変わる自衛隊任務、安保法制のポイント

情報BOX:変わる自衛隊任務、安保法制のポイント
 9月19日、成立した安全保障の関連法制によって、自衛隊の任務は拡大する。写真は陸自戦車。御殿場の東富士演習場で8月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 19日 ロイター] - 19日に成立した安全保障の関連法制によって、自衛隊の任務は拡大する。主な変更点は以下の通り。
ー集団的自衛権の行使
密接な他国が攻撃を受けた場合でも、日本の存立が脅かされる事態と認められ、他の手段がなければ、必要最小限の武力で反撃できるようになる。これまでは、日本が直接攻撃を受けた場合に反撃する個別的自衛権の行使だけが認められていた。
ー平時の他国軍防護
日本周辺で哨戒や訓練を行う米軍機や艦船が攻撃を受けた場合、自衛隊が守れるようになる。オーストラリア軍など他国軍も対象。
ー後方支援の拡大(1)
朝鮮有事など日本に重要な影響が及ぶと認められる事態が発生した場合、そこで戦う米軍に対し、燃料や食料の補給などの兵たん活動ができる。オーストラリア軍など他国軍の支援も可能。これまで事実上設けられていた地理的な制約はなくなる。支援内容も弾薬の供給や発進準備中の戦闘機に対する給油にまで拡大する。活動地域は「非戦闘地域」から「現に戦闘が行われていない場所」に変わる。
ー後方支援の拡大(2)
日本の安全に直接的な影響がないものの、国際的な平和に影響する事態に対処する他国軍に対し、特別法を作らずに後方支援ができるようになる。
ーPKO任務の拡大
国連平和維持活動(PKO)に準じた活動にも参加を広げる。隊員の武器使用基準を緩和し、正当防衛だけでなく、任務を妨害する行為を排除するための威嚇射撃も認める。武装勢力に攻撃された他国部隊や国連職員を助ける駆け付け警護や、治安維持目的の巡回や検問ができるようになる。
ー邦人救助
海外でテロに巻き込まれた日本人の救出に、武器の使用が可能になる。

久保信博※

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