民営化委、ゆうちょ・かんぽの限度額上げ容認 利便性向上を最重視

民営化委、ゆうちょ・かんぽの限度額上げ容認 便性向上を最重視
 12月25日、政府の郵政民営化委員会(委員長=増田寛也元総務相)は、ゆうちょ銀行の貯金限度額を現行の1000万円から1300万円に、かんぽ生命保険の加入限度額を現行の1300万円から2000万円に引き上げることを妥当とする報告書をまとめた。都内で11月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 25日 ロイター] - 政府の郵政民営化委員会(委員長=増田寛也元総務相)は25日、ゆうちょ銀行<7182.T>の貯金限度額を現行の1000万円から1300万円に、かんぽ生命保険<7181.T>の加入限度額を現行の1300万円から2000万円に引き上げることを妥当とする報告書をまとめた。利用者の利便性向上を最も重視し、引き上げを容認した。増田委員長は会見で、限度額の引き上げが企業価値の向上につながると述べた。
年明け以降、総務省や金融庁が郵政民営化法に基づく政令改正に着手し、政府が閣議決定する。ゆうちょ銀は1991年に700万円から1000万円に引き上げて以来、25年ぶり。かんぽ生命は、1000万円から1300万円に引き上げた86年以来、30年ぶりとなる。
ゆうちょ銀の限度額について、増田委員長は「300万円引き上げなら利便性向上に対応できる」と述べた。
民間金融機関は、ゆうちょ銀の限度額引き上げが預金流出を招くと懸念してきたが、民営化委の報告書は「今日のような超低金利下においては、その可能性の議論は説得力を感じがたい」と断言した。ただ、増田委員長は、実際に預金シフトが起きないか状況を確認していく方針を示した。
報告書はまた、「特段の問題が生じないことが確認できれば、必ずしも株式処分のタイミングにとらわれることなく、段階的に規制を緩和していくことが考えられる」とも指摘。増田委員長は会見で、ゆうちょ銀の次の限度額引き上げ時期について「1、2年後というイメージ」と述べた。
民営化委はかんぽ生命の加入限度額の引き上げも容認。しかし、ゆうちょ銀とは対照的に、システム改修の必要性や利用者のニーズの低さなどから、かんぽ生命の加入限度額の「再度の引き上げはしばらくない」(増田委員長)という。
民間金融機関は、政府が郵政株を保有する限り、金融2社には「暗黙の政府保証」があり、ビジネス展開の上で不公平だとしてきたが、報告書は、民営化後も暗黙の政府保証が残るという考え方は「明らかに誤解に基づくもの」で、「誤解は払しょくされなければならない」と明記した。
自民特命委は6月の提言で、ゆうちょの預入限度額を3000万円に、かんぽの契約限度額を2000万円に、それぞれ引き上げるよう政府に求めた。民営化委は、金融庁・総務省の要請に基づき、郵政上場に関連する諸課題の審議を続けてきた。
*内容を追加します

和田崇彦

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab