デフレ脱却へ良い兆候、今後も金融政策で下支え=白井日銀審議委員

デフレ脱却へ良い兆候、今後も金融政策で下支え=白井日銀審議委員
 7月24日、白井さゆり日銀審議委員は23日に行われたシンガポールの講演で、日本にはデフレ脱却へ向けて良い兆候があると発言。写真の日銀本店ビルは2010年8月撮影(2014年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 24日 ロイター] - 白井さゆり日銀審議委員は23日にシンガポールで講演し、日本経済は昨年4月の量的・質的金融緩和(QQE)の導入以降、デフレ脱却に向けて良い兆候を示しており、今後も金融政策で下支えしていくことが重要だと語った。
日銀が24日、ホームページで講演内容を公表した。
白井委員は、QQEの導入以降、日本経済が「デフレからの脱却に向けた良い兆候を示しつつあるのは明白」と効果を強調。企業では販売価格を引き上げに「自信を強めている先もあるようだ」とし、家計も「雇用の拡大と名目賃金の改善を甘受する数が増えている」と語った。
もっとも、国民のデフレマインドとそれに伴うリスク回避的な経済行動が変わるには「それなりに時間がかかる」と指摘。今後も金融政策によって「この変化と景気回復をしっかり下支えしていくことが重要」との認識を示した。
そのうえで、日銀が目標に掲げる物価2%の「安定的な維持」は長期予想インフレ率を2%程度に安定化させることと「同義」とし、5年先などの長期の予想インフレ率が上昇傾向を示していることは「前向きな動き」と語った。もっとも、予想インフレ率は指標によっては「区々の動き」がみられるとし、「上昇傾向が続いていくのか注視していく必要がある」と指摘した。
また、日銀がマネタリーベースの増加額を金融市場調節の目標としているため、フォワードガイダンスも「QQE全体」に適用されていると指摘。マネタリーベースと長期国債を中心とした資産買い入れは「不可分」の関係にあるとし、「フォワードガイダンスによって、将来にわたってマネタリーベースの増額と資産買い入れを維持するとのメッセージを市場・国民に発信している」と語った。
リーマンショック後の世界的な金融危機をきっかけにマクロプルーデンス政策の重要性が高まっているが、「金融不均衡に対して中央銀行がとれるもう一つのアプローチとして、超過準備への付利あるいはリバースレポ金利を使って潤沢な流動性を抑制する考えも最近注目されている」と発言。中銀が超過準備をコントロールすることで、金融システムの安定に寄与する可能性があるとの考えも示した。

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