トヨタの今期、2割の営業減益予想 原材料高が1.5兆円下押し

トヨタの今期、2割の営業減益を計画 原材料高が1.5兆円下押し
 5月11日、トヨタ自動車は、2023年3月期の連結業績予想(国際会計基準)について、営業利益が前期比19.9%減の2兆4000億円になる見通しだと発表した。写真はジュネーブで2019年3月撮影(2022年 ロイター/Pierre Albouy)
[東京 11日 ロイター] - トヨタ自動車は11日、2023年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比19.9%減の2兆4000億円になる見通しと発表した。販売増加や円安の追い風となるが、原材料高騰が1兆5000億円近く圧迫する。
会社側の営業利益予想は、アナリスト25人による市場予想の平均値(IBESのコンセンサス予想)3兆3620億円を大幅に下回った。
売上高に当たる営業収益は同5.2%増の33兆円、純利益は同20.7%減の2兆2600億円を見込む。前提となる為替レートは1ドル=115円(同112円)、1ユーロ=130円(同131円)とした。
会見した近健太副社長は、資材高騰を「過去に例のないレベル」と表現。使用量の抑制や安価な材料への変更などで対応する方針を示した。高級車など車種を選んで価格転嫁する可能性はあるが、一律値上げはしないとした。
今期は資材高騰が営業利益を1兆4500億円押し下げる。これは前期(6400億円)の倍以上。原価改善のプラス効果を3000億円見込むものの、差し引き1兆1500億円の減益要因となる。一方、円安は1950億円の増益要因。販売台数の増加と利益率の高い車種の割合が増えることも5850億円のプラスに働く。
日野自動車とダイハツ工業を含む小売販売台数は世界で1070万台(前期は1038万台)を計画。このうち、北米は260万台(同239万台)、日本は205万台(同192万台)、アジアは167万台(同154万台)、欧州は110万台(同101万台)。トヨタ単体の世界生産は970万台(同857万台)を見込む。現時点で把握できる半導体不足などの影響を織り込んだ。
長田准執行役員は、今期の主要市場の予測は「いつも以上に難しい」とし、「コロナからの回復は全体としてはプラス」と指摘。資材高、インフレ、ウクライナ問題、半導体不足など懸念材料も多く「プラスとマイナスが混ざる」と述べた。地域別では、中国と米国は「前期を若干上回る勢いがある」とみており、日本とアジアは「前期並み」、欧州はウクライナ情勢の影響などで「前期を下回る」との見通しを示した。
ロシア事業は「ステークホルダーの理解や共感を得るという軸をぶらさず、今の戦況、ウクライナの状況を踏まえ、どう対応し続けるべきかを現段階では考え続けている」と述べるにとどめた。
前田昌彦副社長は、過去も原油高の際にハイブリッド車(HV)販売が伸びたことから、足元の原油高を踏まえると「グローバルでHV販売が伸びていく方向にある」との見通しを示した。電気自動車(EV)に関しては、相次ぐ各社の新車投入や各国規制、顧客からの期待もあり、「現時点ではしばらく市場が加速すると思える状況が増えてきているのは事実」としつつ、希少金属を使うEVは原料高の影響が大きく「不安要素もある」とした。
併せて発表した22年3月期の連結営業利益は前の期比36.3%増の2兆9956億円と過去最高を更新。営業収益は同15.3%増の31兆3795億円、純利益は同26.9%増の2兆8501億円だった。
(白木真紀 久保信博 編集:橋本浩、青山敦子)
*内容を追加しました。

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