日米英の中銀イベント目白押し、円高リスクを警戒=今週の外為市場

[東京 14日 ロイター] - 今週の外為市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀決定会合、英イングランド銀行(BOE)の金融政策委員会と、中銀イベントが目白押しとなる。米国を中心に株価下落に対する警戒感が根強いことや、英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)を巡る協議が暗礁に乗り上げていることでリスク回避の環境が広がりやすく、円高リスクが意識されやすい。
予想レンジはドルが105━107円、ユーロが1.17―1.20ドル。
上田東短フォレックスの営業推進室長、阪井勇蔵氏は「米国株を筆頭に、株価はまだ落ち着きを取り戻していない。中銀イベントを受けた米金利動向と、不安定な株価の下方調整がさらに進むかどうかが相場の鍵となる」という。
英ポンドの動向も注視される。
EUは10日、英国に対し、EU離脱協定の一部条項を実質的に無効化する「国内市場法案」を直ちに撤回するよう求めた。ジョンソン英政権はこれを拒否し、計画を進める姿勢を示したが、ユーロ圏非公式財務相会合(ユーログループ)のドナフー議長(アイルランド財務相)は11日、英国がEUと通商協定を結びたいなら離脱合意を順守する必要があると指摘した。
英ポンド/円は1日に142.71円と直近の高値を付けた後、135円半ばまで下落したが、まだ底入れしておらず、クロス円での円高がドル/円の下げ余地を広げる可能性がある。
FXプライムbyGMO常務取締役の上田眞理人氏は、英ポンドについて「ハードブレグジットの可能性が残っているということ」と述べ、「ポンドは政治問題で動いているので要注意。ポンド売りの受け皿はユーロやドルになりそうだ」との見方を示した。
FRBは8月27日に発表した新戦略の下、インフレ率が「一時的に」2%を上回ることを容認し、長期的に平均2%の目標達成を目指すほか、最大雇用の確保を図ると表明。15―16日のFOMCでは新戦略の具体的な運営手法に関心が向けられている。
FRBのブレイナード理事は1日「向こう数カ月は新型ウイルス感染拡大に起因する向かい風に直面するとみられる中、金融政策が安定化から緩和にシフトすることが重要だ」とし、 こうした決定は新戦略に「導かれる」形で実施されると述べた。
米10年国債利回りはブレイナード発言が伝わった1日の0.73%台から、3日0.60%まで低下し、米長期金利の変化に敏感なドル/円の下押し要因となっていた。

為替マーケットチーム

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